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『フレンズ』シーズン4第7話では、カフェのセントラルパークで演奏するロスとフィービーの間で、どちらがステージに立つのかをめぐる話が何度か持ち上がります。
「自分はもうやめる」と言い出した相手には、引き止めるのか、引き受けるのか、返し方に迷うものです。出番を断る言い方、身を引こうとする相手を止める言い方、代わりを頼む言い方を、三つの場面から拾っていきます。
「I’m not playing tonight」出番を断る
場面はカフェのセントラルパークです。ロスが店で演奏を終えたあと、モニカがフィービーに次の出番のことを尋ねます。
Monica: Hey, aren’t you up next?
(ねえ、次はあなたの番じゃない?)
Phoebe: Oh, no. I’m not playing tonight.
(ううん。今夜は弾かないの。)
Rachel: Why not?
(どうして?)
Phoebe: I can’t follow Ross.
(ロスの後になんて出られないもの。)
Friends Season4 Episode7(The One Where Chandler Crosses the Line)
up next は「次の番で」という意味で、ステージの出番や順番待ちの場面で使われる言い方です。Aren’t you ~? の否定疑問は、「〜じゃなかった?」と、そうだと思っていることを確かめる響きになります。
フィービーの I’m not playing tonight. は、現在進行形で今夜の予定を伝える形です。「今夜は出ない」とすでに決めていることを、予定として言い表しています。
理由を聞く Why not? に対して返ってくるのが I can’t follow ~. の形です。ここでの follow は「ついて行く」ではなく、「〜の後に続いて出る」という意味で、演奏や発表の順番について使われます。フィービーはこの回でロスの演奏をほめ続けており、ここでも「あの演奏の後では自分の出番は務まらない」という意味で使っていると読み取れます。順番の話をしながら、断る理由まで一言で伝えています。
「How could I live with myself」身を引こうとする相手を引き止める
後の場面で、カフェで演奏を終えたロスにフィービーが「本当によかった」と声をかけます。ロスは、フィービーがもう演奏したくないと思っているとモニカから聞いたと言い、本人に確かめます。
Ross: Is that true?
(本当なのか?)
Phoebe: Kind of, yeah. Yeah.
(まあ、そうね。うん。)
Friends Season4 Episode7(The One Where Chandler Crosses the Line)
ロスはモニカから聞いた話を持ち出し、Is that true?(本当なのか?)と本人に確かめます。答えの Kind of は「まあね」と、はっきり言い切らずに認める返しです。このあと、フィービーは理由を打ち明けます。
Phoebe: Yeah, I mean, you know and I was trying to be really, you know, okay and upbeat about it but I feel so… dwarfed by your musical gift.
(ええ、つまりね、私だって本当に平気で、明るくしていようとしてたの。でも、あなたの音楽の才能の前だと、自分がすごく……ちっぽけに思えちゃって。)
Ross: See, but Pheebs that is the exact opposite intent of my music. My music is meant to inspire and if it bothers you this much then I… I won’t play anymore.
(いや、でもフィーブス、それは俺の音楽が目指すものと正反対だよ。俺の音楽は人に刺激を与えるためのものなんだ。そんなに気になるなら、俺は……俺はもう弾かないよ。)
Phoebe: Oh, no. No, no, no. Don’t do that. How could I live with myself if I knew I was depriving the world of your music?
(ああ、だめ。だめだめ。そんなことしないで。あなたの音楽を世の中から奪ってるって分かってて、私が平気でいられるわけないじゃない。)
Ross: Yeah, okay.
(そうか、分かった。)
Friends Season4 Episode7(The One Where Chandler Crosses the Line)
dwarfed by ~ は「〜の前で小さく見える」という意味です。
ロスの If it bothers you this much, I won’t play anymore. は、相手のために自分が身を引くと申し出る言い方です。これに対するフィービーの Don’t do that. は、まず短く止める一言です。続く How could I live with myself if I knew ~? は「〜と分かっていて、どうして平気でいられるだろう」という仮定の問いかけで、そんなことはさせられないという気持ちを強く伝えます。最後のロスは Yeah, okay. の一言で、申し出を取り下げています。
「Can you finish my set?」代わりを頼む
エピソードの最後の場面でも、同じカフェでロスが演奏しています。弾き終えたロスは、フィービーにこう切り出します。
Ross: You know, I’m not going to play anymore. Would you…? Can you finish my set?
(あのさ、俺はもう弾かないことにするよ。頼めるかな……?残りの演奏、代わりにやってくれないか?)
Phoebe: After that? Yeah! No, I mean, if I can help.
(あの後に?やる!ううん、その、力になれるなら。)
Friends Season4 Episode7(The One Where Chandler Crosses the Line)
set はここでは、ステージで続けて演奏する曲のひとまとまりを指します。Can you finish my set? で、途中の出番を代わりに引き受けてほしいと頼んでいます。言いかけた Would you…? を、より直接的な Can you ~? に言い直している点も分かりやすい流れです。
フィービーの After that? の that は、直前のロスの演奏を指しています。最初の場面で I can’t follow ~. と出番を断ったときとは反対に、今度はすぐに Yeah! と答え、そのあと No, I mean, if I can help.(ううん、その、力になれるなら)と控えめに言い直します。No, I mean は、言い過ぎた一言をやわらげて言い直すときのつなぎです。フィービーが演奏に向かったあと、ロスはモニカとレイチェルに種明かしをします。
Ross: I played bad on purpose, guys.
(わざと下手に弾いたんだよ、みんな。)
Monica: Okay, so, you were trying to play bad this whole time?
(なるほど、じゃあ今までずっと、わざと下手に弾いてたってこと?)
Ross: No, just that last song.
(いや、最後の曲だけだ。)
Friends Season4 Episode7(The One Where Chandler Crosses the Line)
on purpose は「わざと」、this whole time は「その間ずっと」です。ロスが just that last song と答えることで、それまでの演奏は本気だったという意味になり、ここで話にオチがつきます。
まとめ|身を引く相手への返し方
up next と I can’t follow ~ で出番を断り、Don’t do that. と How could I live with myself if ~? で身を引く相手を止め、Can you finish my set? で代わりを頼む流れを見てきました。順番や役目を譲り合う会話で使える形です。
ステージをめぐるロスとフィービーの言葉から、遠慮と本音の英語が見えてきます。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、ロスの演奏をめぐる別の場面を扱っています。


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