海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
BONESシーズン4 第14話の冒頭、ブレナンの晴れ舞台となる式典に向けて、ブースはタキシードに身を包みます。ただしそのタキシードは自前ではなく、借りてきたものです。本人もそれを隠すどころか、得意げに口にしています。
正装は買わずに借りる、という感覚はアメリカではどのように受け止められているのでしょうか。劇中の会話を手がかりに、正装をめぐる文化と言葉を見ていきます。
「お金で借りられる最高の一着」という自慢
鏡の前でネクタイを整えながら、ブースは電話の向こうのブレナンにこう言います。
Booth: I bet you are looking beautiful, huh? Because I am in the finest tux that money can rent.
(きっときれいなんだろうな。なにしろ俺は、金で借りられる最高のタキシードを着てるんだから。)BONES Season4 Episode14 (The Hero in the Hold)
英語には「お金で買える最高のもの」と品質を誇る決まった言い方があり、ブースはその「買える」をrent(借りる)に置き換えています。高級品を自慢する定番の型を、レンタル品に当てはめて笑いを取っているわけです。tuxはtuxedo(タキシード)の短縮形で、日常会話ではこちらのほうがよく耳にします。
アメリカでは、タキシードを一着持っている男性はそれほど多くないとされ、高校の卒業ダンスパーティーであるプロムや結婚式、改まった式典などの機会に、専門店で借りるのが一般的とされています。ジャケットとズボンに、シャツや蝶ネクタイ、ベストなどの小物まで一式でそろえられるのが特徴です。結婚式では新郎と付き添い役の男性たちがそろいのタキシードを借りることも多いと言われます。行事の数日前に受け取り、終わったら店に返すという流れで、借りる際に保証金を預ける店もあるとされています。年に何度も着ないものだからこそ、借りて済ませるという考え方が広く受け入れられていることが読み取れます。
電話の終わり近くには、ブースが自分の装いを改めてこう念押しします。
Booth: …and the snazzy rented tux. Someone’s knocking on my door.
(……それに、しゃれた借り物のタキシードだ。誰かがドアをノックしてる。)BONES Season4 Episode14 (The Hero in the Hold)
直前でブースは、自分のことを派手なベルトのバックルを着けた男だと説明していました。snazzyは「しゃれた、派手でかっこいい」を表すくだけた形容詞です。借り物であることを堂々と言いながら、トレードマークのバックルで自分らしさを足すところに、ブースの人柄が表れています。
正装をめぐる英語と、からかいの一言
物語の中盤、正装のままのブースの前に、陸軍時代の部下テディが現れます(劇中では、その存在をはっきりさせない描き方がされています)。テディは再会の第一声のあと、真っ先にブースの装いに触れます。
Teddy: I’m gonna go with real. Nice monkey suit by the way.
(本物ってことにしとくよ。それにしても、いいサルの衣装だね。)BONES Season4 Episode14 (The Hero in the Hold)
monkey suitは、タキシードや堅苦しい正装をからかい半分に呼ぶくだけた言い方です。直訳すると「サルの衣装」で、着慣れない正装を窮屈そうに着ている様子を笑うニュアンスがあるとされています。親しい間柄の軽口として使われる表現で、改まった場では避けたほうが無難とされています。
正装まわりの英語を整理すると、次のようになります。
| 英語 | 意味 | ひとこと |
|---|---|---|
| tuxedo / tux | タキシード | tuxは会話でよく使う短縮形 |
| black tie | タキシード着用の服装指定 | 招待状に書かれることがある |
| monkey suit | 正装のくだけた呼び方 | からかい半分の響き |
| rent / rental | 借りる・レンタル | rented tuxで「借り物のタキシード」 |
招待状のblack tieは、男性ならタキシード着用を求める服装指定とされています。tuxedoという呼び名は、ニューヨーク州の地名に由来するという説が知られています。正装することそのものはdress up(着飾る、改まった服装をする)と言い、式典の夜に向けて身支度を整えるブースの姿は、まさにこの動詞が当てはまる場面です。ブースの晴れ着とテディの軽口を並べてみると、正装が特別な日の装いであると同時に、仲間内ではからかいの種にもなる存在だということが分かります。
まとめ|借りた一着にも文化がのぞく
借りて着るのが一般的とされるタキシードの文化と、tux、rented tux、monkey suit、black tieといった言葉を、ブースの自慢とテディの軽口からたどってきました。ふたりのやり取りからは、正装との距離感まで伝わってきます。
式典や結婚式の場面が出てくる海外ドラマを観るときは、登場人物の装いにも目を向けると、新しい発見がありそうです。
この回の他のコラムでは、遅れそうなときの電話の英語や、感謝を言い直す英語も取り上げています。


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