海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『BONES』シーズン5エピソード22では、インターンのデイジーが、指導役のブレナンに報告書の見落としを伝えようとして、言葉選びに四苦八苦します。今回はこのやりとりを起点に、wrong・inaccurate・erroneousという「間違い」を表す3つの語の温度差と、目上の人に切り出すときの前置きの英語を紹介します。
相手の間違いを指摘するのは、英語でも日本語でも気をつかう場面です。どの言葉を選ぶかで、同じ内容でも伝わり方が大きく変わります。
前置きを重ねて切り出すデイジー
研究所で白衣のボタンを留めながら歩くブレナンを、デイジーが呼び止めます。いきなり本題には入らず、まずは前置きから始めます。
Daisy: Excuse me, Dr. Brennan. If I could just have a moment. And I’d like to preface my statement with a caveat. Your unquestionable brilliance–
(すみません、ブレナン博士。少しだけお時間をいただけますか。それから、お話の前にひとつお断りをさせてください。博士の疑いようのない才能は――)Brennan: What is it, Ms. Wick?
(何なの、ミス・ウィック?)BONES Season5 Episode22 (The Beginning in the End)
If I could just have a moment.は「少しお時間をいただけますか」と、話を聞いてもらう許可を求める丁寧な言い方です。prefaceは「前置きをする」という動詞で、I’d like to preface my statement with ~と続けると、「〜を前置きとして申し上げます」というかしこまった響きになります。
デイジーはさらにブレナンをほめる言葉を重ねようとしますが、短いWhat is it?(何なの?)でさえぎられます。前置きが長くなるほど、聞く側は本題を待ちきれなくなることがよく分かる場面です。
デイジーは報告書の一文を持ち出し、内容を確かめます。
Brennan: That’s correct.
(そのとおりよ。)Daisy: “That”– meaning what I said, or “that” meaning what you said? I’ll read what you wrote verbatim.
(「そのとおり」というのは、私が言ったことですか、それとも博士が言ったことですか?博士の書いた文をそのまま読み上げます。)Brennan: That’s not necessary.
(その必要はないわ。)BONES Season5 Episode22 (The Beginning in the End)
verbatimは「一語一語そのまま」という意味です。ブレナンの短い返事が何を指しているのかまで確かめようとするところに、デイジーの緊張ぶりが表れています。
wrong・inaccurate・erroneousの温度差
いよいよ本題です。デイジーは「間違っていた」とは言わず、仮定の形でたずねます。
Daisy: How angry would you be if it were not correct?
(もしそれが正しくなかったら、博士はどれくらいお怒りになりますか?)Brennan: You mean if I were wrong?
(私が間違っていたら、という意味?)Daisy: I would never state it in those kind of bald terms. Does inaccurate sound better? No. Um, erroneous?
(そんな身もふたもない言い方は絶対にしません。「不正確」のほうがいいでしょうか?いえ、ええと、「誤りがある」とか?)Brennan: What have you found, Miss Wick?
(何を見つけたの、ミス・ウィック?)Daisy: You’ll know instantly when I point it out.
(お見せすれば、すぐにお分かりになります。)BONES Season5 Episode22 (The Beginning in the End)
How angry would you be if …?は、まだ起きていないことを仮定してたずねる言い方です。not correct(正しくない)と否定の形で包むことで、wrongと言い切るよりも柔らかく聞こえます。ところがブレナンは、その遠回しな言い方をあっさりwrongと言い直します。bald termsは「むき出しの言葉、身もふたもない言い方」という意味で、デイジーがwrongという語の強さを気にしているのが伝わってきます。
3つの語の違いを整理しておきます。
| 語 | 意味 | 響き |
|---|---|---|
| wrong | 間違っている | 日常的でストレート。人に向けると責める響きになりやすい |
| inaccurate | 正確ではない | 情報や数字の精度の問題として述べる、やや改まった言い方 |
| erroneous | 誤りを含む | 書き言葉寄りのかたい語。報告書や論文で使われることが多い |
会話で目上の人に伝えるなら、I think there might be a small inaccuracy in the report.(報告書に少し不正確なところがあるかもしれません)のように、inaccurateの名詞形inaccuracyを使い、I thinkやmightでさらにやわらげる形が使いやすいと言えます。erroneousは会話では堅苦しく響くため、デイジーが最後にこの語を持ち出すところに、言葉を探して迷走する様子がにじみます。
まとめ|言い切らずに、伝わる言葉を選ぶ
wrongはストレートに、inaccurateは精度の問題として、erroneousはかたい書き言葉として、それぞれ温度の違う「間違い」を表します。If I could just have a moment.のような前置きや、if it were not correctという仮定の形と組み合わせると、目上の人にも角を立てずに切り出せます。
デイジーとブレナンのやりとりを観ながら、言葉の温度の違いを感じ取っていきましょう。
同じエピソードのほかのコラムでは、また別の場面の会話から英語を読み解いています。


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