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今回取り上げるのは、『CHUCK』シーズン5 第2話で、サラが呼び方の訂正を反論の入り口にする場面です。競合するヴァービンスキー社のガートルード・ヴァービンスキーから引き抜きを持ちかけられたサラは、「Miss」と呼ばれたことをまず正し、そこから本題へ切り返していきます。
誘いを先回りで退ける言い方、MissとMrs.の違い、そして失望と対抗の意思を一続きで伝える組み立てを、順に見ていきましょう。
誘いの裏にある目的を問い、先回りで退ける言い方
情報があると持ちかけられたサラは、ヴァービンスキーと会うことになります。用件を尋ねるサラに、ヴァービンスキーは自社に求人があると切り出し、サラを迎え入れたいと告げました。自社の規模を並べ、カーマイケル・インダストリーズを軽く見る発言まで重ねる相手に、サラはこう問い返します。
Sarah: What am I really doing here? We both know that I’m not going to leave my husband’s company.
(私は本当は、何のためにここにいるの? 私が夫の会社を離れるつもりがないことは、お互い分かっているでしょ。)CHUCK Season5 Episode2 (Chuck Versus the Bearded Bandit)
What am I really doing here? の really がポイントです。表向きの用件は求人の話ですが、その奥にある本当の目的を尋ねる問いだと分かります。続く We both know that ~ は、答えが双方にとって明らかだという前提を示す形です。誘いへの返事を求められる前に、結論を先に置いてしまう使い方だと言えます。
サラがさらに問いを重ねると、ヴァービンスキーは呼んだ理由をこう説明します。
Verbanski: I’m talking to you because you’re good, one of the best, but your company isn’t going to last, Miss Walker. You should switch while you can.
(あなたと話しているのは、あなたが優秀だから。一流の一人よ。でも、あなたの会社は長くはもたないわ、ミス・ウォーカー。乗り換えられるうちに乗り換えるべきね。)CHUCK Season5 Episode2 (Chuck Versus the Bearded Bandit)
まず相手の力量を認め、そのあとに but で厳しい見立てを続ける順番に注目したいところです。isn’t going to last は「長続きしない」という見通しを示します。while you can は「できるうちに」という意味で、今決めないと機会がなくなるという含みがあります。そしてこの発言の中で、ヴァービンスキーはサラを Miss Walker と呼んでいます。
「Miss」を「Mrs.」に正し、二段構えで本題へ移る言い方
この呼びかけに対して、サラが最初に返したのが次の一言でした。
Sarah: Well, first of all, it’s Mrs. , and second of all, I’m disappointed.
(そうね、まず一つ目。ミセスよ。それから二つ目、がっかりしているの。)CHUCK Season5 Episode2 (Chuck Versus the Bearded Bandit)
Miss は、伝統的に未婚の女性に付けられてきた敬称です。一方の Mrs. は既婚の女性に付ける敬称で、サラはこの言い分けによって、自分が結婚していることをはっきり示しています。なお、一般には婚姻の有無を問わない Ms. という敬称も使われますが、この場面に登場するのは Miss と Mrs. の二つだけです。
組み立ての面では、first of all で一点目に呼び方の訂正を置き、second of all で二点目の本題へ移ります。second of all は secondly よりくだけた響きのある、会話で耳にする形です。相手の言葉の細部を先に正すことで、反論の主導権を握る流れができあがっています。
サラはそのまま、二点目の中身を続けます。
Sarah: I really thought this was going to be the beginning of a friendly cooperation between business associates, but if it’s competition that you want, then I suggest you watch your back.
(本当は、これがビジネス仲間同士の友好的な協力関係の始まりになると思っていたのよ。でも、競争をお望みなら、背後に気をつけることね。)CHUCK Season5 Episode2 (Chuck Versus the Bearded Bandit)
I really thought this was going to be ~ は、こうなると見込んでいた期待を過去形で語る言い方です。見込みが外れた分だけ、失望が伝わります。後半の if it’s competition that you want は「あなたが望んでいるのが競争なら」と、相手の望みを強調したうえで、それを条件に変えました。then で受けて最後の一言につなげ、協力から対抗へと立場を切り替えたことが、ここで明確になります。
まとめ|呼び方の訂正を入り口にした切り返し
誘いを先回りで退ける問いかけから、MissとMrs.の言い分け、first of allとsecond of allで訂正から本題へ移る組み立てまでを見てきました。呼び方ひとつを正すことが、反論の足場になる場面です。
次回も『CHUCK』の会話とともに、英語表現の型を見ていきましょう。
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