海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第8話では、家族がそれぞれ、自分の「有名人に会った話」を持ち出します。洗車場で見かけた話、名前を伏せたまま語る話、相手にすぐ打ち消される話と、語り方もさまざまです。
有名人を見かけた話は、英語の雑談でも盛り上がりやすい話題のひとつです。話の切り出し方から、名前のぼかし方、見間違いの正し方まで、劇中の家族の会話から順に拾っていきます。
「One time I saw ~」と「brush with celebrity」で切り出す
キャメロンは、自分の有名人体験をこう話し始めます。
Cameron: One time I saw Jack Nicholson at the car wash.
(前に洗車場でジャック・ニコルソンを見かけたことがあるんだ。)Modern Family Season9 Episode8 (Brushes with Celebrity)
One time I saw ~ at ~ は「前に〜で…を見かけたことがある」と、過去の出来事を一つ取り出して話すときの切り出し方です。one time は「あるとき」の意味で、回数の「1回」を強調しているわけではありません。I once saw ~ と言い換えることもできます。場所を at the car wash(洗車場で)、at the airport(空港で)のように添えると、話の場面が相手に伝わりやすくなります。
一方のジェイは、陪審員として呼ばれたときの話をこう切り出します。
Jay: Oh, here’s a brush with celebrity I can actually talk about.
(おっ、これなら本当に話せる有名人との遭遇だ。)Modern Family Season9 Episode8 (Brushes with Celebrity)
brush には「軽く触れる」という意味があり、a brush with celebrity で「有名人とのちょっとした遭遇」を表します。この回の英題にもなっている表現です。
同じ形の a brush with fame も、有名人とすれ違った程度の体験を指すときに使われることがあります。What’s your best brush with celebrity?(有名人と遭遇した話でいちばんのものは?)のように、相手に話を振る質問にも使えます。here’s ~ I can actually talk about の actually は「実際に・本当に」の意味で、「これなら人に話せる」という含みを添える働きがあります。
「I can’t name names」で名前をぼかす
ジェイには、名前を伏せたまま語る遭遇談もあります。
Jay: Being in the closet business, I met a lot of famous people.
(クローゼットの商売をしてたから、有名人にはたくさん会ったよ。)Jay: I can’t name names, but let’s just say it’s someone who’s the boss.
(名前は出せないが、まあ「ボス」とだけ言っておこう。)Gloria: You met Bruce Springsteen?
(ブルース・スプリングスティーンに会ったの?)Jay: No, Tony Danza.
(いや、トニー・ダンザだ。)Gloria: Oh, from the TV show? Nah, she was the boss.
(ああ、あのテレビ番組の? でも、ボスは彼女のほうだったじゃない。)Modern Family Season9 Episode8 (Brushes with Celebrity)
name names は「(関わった人の)名前を具体的に挙げる」という言い方で、I can’t name names なら「名前は出せない」という意味です。続く let’s just say ~ は「〜とだけ言っておこう」と、ヒントだけ出して核心をぼかす前置きです。Let’s just say it didn’t go well.(うまくいかなかった、とだけ言っておくよ。)のように、詳しく話したくない出来事にも使えます。
ジェイの「ボス」というヒントから、グロリアは You met ~?(〜に会ったの?)と推測を口にします。ジェイは No, ~. と別の名前を挙げて訂正し、グロリアはテレビ番組の話を持ち出してそのヒントに異を唱えます。ヒントを出す側と当てようとする側の掛け合いは、雑談を広げる型としても参考になります。名前を伏せた話は、聞き手が推理を始めるきっかけにもなることが、このやりとりから分かります。
見間違いを「Not him.」で打ち消す
キャメロンの洗車場の話を聞いたミッチェルは、すぐにこう返します。
Mitchell: I can’t go through this again.
(またこれに付き合うのは無理だよ。)Modern Family Season9 Episode8 (Brushes with Celebrity)
go through ~ は「〜を経験する、耐える」の意味で、I can’t go through this again は「これをもう一度味わうのは無理だ」という意味になり、聞き飽きた話を遮るときの一言として働きます。again から、同じ話を前にも聞いていることが読み取れます。このあとミッチェルは、相手が乗っていた車の特徴を挙げて、本人のはずがないと打ち消します。
語りの続きでも、キャメロンの話にミッチェルが割って入ります。
Cameron: And then, I saw Daniel Day-Lewis at our dry cleaner.
(それから、うちのクリーニング店でダニエル・デイ=ルイスを見かけたんだ。)Mitchell: Not him.
(その人じゃない。)Mitchell: No.
(違う。)Mitchell: Uh, the time we actually saw a celebrity was last December when we were shopping for gardening supplies.
(えっと、本当に有名人を見たのは、去年の12月にガーデニング用品を買いに行ったときだよ。)Modern Family Season9 Episode8 (Brushes with Celebrity)
Not him. は「その人じゃない」と、相手の挙げた人物を短く否定する形です。続けて No. と重ねることで、打ち消しの調子がいっそう強まります。
続く the time we actually saw ~ was ~ は「本当に〜を見たのは…のときだ」と、正しい話に置き換える構文です。The time I actually met him was at a wedding.(彼に本当に会ったのは結婚式のときだ。)のように、記憶違いを正すときにも応用できます。キャメロンの話を打ち消したうえで、ミッチェル自身が本当の遭遇談へ話を引き取る流れです。
まとめ|有名人の話を語る英語
One time I saw ~ や a brush with celebrity で話を切り出し、I can’t name names, but let’s just say ~ でぼかし、Not him. と the time we actually saw ~ で話を正す。語り手と聞き手の掛け合いから、雑談を組み立てる言い回しが見えてきます。
次回も『モダンファミリー』と一緒に、家族の会話から英語を学んでいきましょう。
読書会で本を語る英語や、陪審員の制度をめぐる英語は、同じ回のほかのコラムで取り上げています。


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