海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン12 第5話から、よかれと思った先回りが行き違いを生む場面の英語を取り上げます。発端は、シェルドンがエイミーの知らないところで、大学の学長に彼女を他のプロジェクトから外すよう頼んだことです。
責める側の「そんな権利はない」と、責められる側の「助けになると思った」。立場ごとに選ばれる表現を、二つの場面に分けて見ていきます。
「You had no right」と「I thought I was helping」
エイミーが自分の研究室でパーク博士に用件を尋ねると、パーク博士はこのプロジェクトに配置換えになったと答えます。学長から、エイミーの研究室を in the interim(当面の間)引き継ぐよう言われたとも説明します。その場に居合わせたシェルドンが、それこそ自分の「いい知らせ」だと明かします。
Amy: You got me removed from my own project?
(私を自分のプロジェクトから外させたの?)Sheldon: Yeah, and it wasn’t easy. Apparently, you’re very difficult to replace.
(ああ、簡単ではなかった。どうやら君は代わりの利かない人材らしい。)TBBT Season12 Episode05
You got me removed from ~? は「get + 人 + 過去分詞」の形で、「人が〜される状態にした」と働きかけた相手を問いただしています。シェルドンの返事は苦労を語る内容で、問い詰められている受け答えにはなっていません。
パーク博士がその場を離れると言った後、二人のやり取りはこう続きます。
Amy: Sheldon, you had no right.
(シェルドン、あなたにそんな権利はなかったはずよ。)Sheldon: What… I thought you said you were spread too thin. You said that you wished you had more time to focus on our research. I thought I was helping.
(何だと……君は手一杯だと言っていたはずだ。僕たちの研究に集中する時間がもっと欲しいとも言っていた。僕は助けているつもりだった。)Amy: Well, you’re not. I mean, I have years invested in this work, and now someone’s gonna come in and take it over? I mean, how would you feel if I let Leonard take over your super-asymmetry project?
(助けになってないわ。この研究には何年も注いできたのよ。それなのに誰かが来て引き継ぐなんて。もし私があなたの超非対称性のプロジェクトをレナードに引き継がせたら、どう思う?)TBBT Season12 Episode05
You had no right. は直訳すると「あなたには権利がなかった」で、相手が自分の領分に踏み込んだことを責める表現です。対する I thought I was helping. は、過去進行形で「助けているつもりだった」と善意を示す弁明になっています。
シェルドンが根拠に挙げた spread too thin は「手を広げすぎて余裕がない」という意味で、シェルドンによれば、エイミー自身がそう話していたことになります。エイミーは How would you feel if ~? で立場を入れ替え、シェルドンに考えさせています。
学長の前での「You had no right to ~」
別の場面で、シェルドンとエイミーはシーバート学長をつかまえて話をします。
Amy: You had no right to reassign my project.
(私のプロジェクトを配置換えする権利はなかったはずです。)Sheldon: Yeah, no right at all.
(そうだ、権利などまったくない。)Siebert: Dr. Fowler, I don’t understand. Dr. Cooper assured me this is what you wanted.
(ファウラー博士、分からないな。クーパー博士は、これが君の望みだと請け合ったんだが。)TBBT Season12 Episode05
今度は to + 動詞 が付き、何をする権利がなかったのかが具体的になっています。学長の返事から、担当替えを頼んだのがシェルドン本人だったことが改めて示されます。頼んだ当人のシェルドンが Yeah, no right at all. とエイミーに同調している点も、この場面のおかしみになっています。その後シェルドンは学長を非難する側に回りますが、エイミーは短くこう返します。
Amy: Sheldon, this is your fault.
(シェルドン、これはあなたのせいよ。)TBBT Season12 Episode05
this is your fault は、責任の所在を名指しする言い方です。学長はエイミーに I would like to sincerely apologize(心からお詫びしたい)と謝罪します。それでも、プロジェクトを戻せるかと聞かれると I’m afraid it’s not that simple.(残念ながら、そう簡単ではない)と答え、話は決着しないまま進みます。I’m afraid ~ は、相手の期待に沿えないことを伝える前置きとして、仕事の場面でも広く使われます。
まとめ|責める言葉と、善意の弁明
今回は、越権を責める You had no right (to ~)、善意を示す I thought I was helping、立場を入れ替える How would you feel if ~?、責任を名指しする this is your fault を見てきました。責める側と弁明する側の表現を対で押さえると、行き違いの場面も整理しやすくなります。
次回も『ビッグバン★セオリー』と一緒に、場面ごとの英語を見ていきましょう。
このエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、同じ回の別の会話も扱っています。


コメント