海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第8話のダンフィー家には、双子に会いに来たディランの母ファラーが滞在しています。そこへ、ディーディーの夫ジェリーもあいさつにやって来ます。
同じ家で過ごす相手や訪ねてきた相手には、ちょっとした注文や断りの一言にも気をつかうものです。注文のつけ方、頼みのかわし方、迎えるときのあいさつまで、3つの場面から、気をつかいながらも本音がのぞく英語を拾っていきます。
「Do you have to ~ right here?」で注文をつけ、頼みをかわす
家の中でドラムの音が響くと、クレアがファラーに声をかけます。
Claire: Farrah! Do you have to do that right here?
(ファラー! それ、ここでやらなきゃいけないの?)
Farrah: Oh, I am so sorry.
(あら、本当にごめんなさい。)
Modern Family Season11 Episode8 (Tree’s a Crowd)
Do you have to ~? は直訳すると「〜しなければならないの?」ですが、実際には「わざわざ〜しなくてもいいでしょう」という不満を含んだ問いかけとして使われます。right here の right は「まさに」を表し、「よりによってここで」という気持ちが加わります。言い方によってはとげが立つため、もう少し柔らかくしたい場面では Would you mind doing that in another room? のような頼み方が選ばれることが多いでしょう。
ファラーの I am so sorry. は、I’m を縮めずに言う形です。ただしこの場面では素直な謝罪ではなく、ファラーはこのあと、止められたことへの不満をにじませる言葉を続けます。丁寧な謝罪の形でも、言い方と文脈しだいで皮肉に聞こえることが分かる場面です。
別の場面では、ファラーがクレアにある頼みごとをします。クレアの返事はこうです。
Claire: Doesn’t sound like me.
(私の柄じゃないわね。)
Claire: But I might know someone who could help you out.
(でも、手伝ってくれそうな人なら心当たりがあるかも。)
Modern Family Season11 Episode8 (Tree’s a Crowd)
Doesn’t sound like me. は、主語の It を省いた口語の形で、「私らしくない」「私のやることじゃない」という断り方です。相手の頼みを否定するのではなく、自分の性分に合わないという理由にしている点で、やんわりとした断り方になります。続く I might know someone who could help you out は、別の人の存在をほのめかして頼みをかわす言い方です。help ~ out は「〜を手伝って助ける」を表します。
訪ねてきた側と迎える側のひと言
ジェリーが家に着くと、ジェリーとフィルの間でこんなやりとりが交わされます。
Jerry: Sorry.
(すまない。)
Jerry: I would’ve knocked, but you know I abhor violence.
(ノックしようと思ったんだけど、ほら、僕は暴力が大嫌いだからね。)
Phil: Hey.
(やあ。)
Phil: Oh
(おっと)
Phil: sorry, I was grinding polenta for our lunch.
(ごめん、お昼用にポレンタを挽いてたもんで。)
Phil: My arm’s kinda tender.
(腕がちょっと痛くてさ。)
Jerry: Polenta elbow is a real thing.
(ポレンタひじっていうのは本当にあるからね。)
Modern Family Season11 Episode8 (Tree’s a Crowd)
I would’ve knocked, but ~ は「本当はノックするところだったけど」という仮定の形で、実際にはしなかったことを詫びる前置きです。ジェリーはその理由に「暴力が嫌い」を挙げ、ドアをたたくことさえ避けたいという言い分にしています。abhor は「ひどく嫌う」を表す、かなり硬い語です。
フィルの sorry, I was ~ing は、謝ったあとに直前まで何をしていたかを添える形です。tender は「触ると痛い」を表し、kinda は kind of の口語の綴りで「ちょっと」と程度を和らげます。
ジェリーの is a real thing は「本当にあることだ」という口語の言い方です。Polenta elbow は tennis elbow(テニスひじ)と同じ形の言葉で、ジェリーはそれを本当にある症状として受け止めます。訪ねてきた側が Sorry. と切り出し、迎える側も sorry と理由を添える、気づかいの言葉が行き交う一幕です。
近況を尋ねる「How you doing?」と答え方
少しして、クレアがジェリーに近況を尋ねます。
Claire: So, Jer, how you doing?
(それで、ジェリー、元気にしてる?)
Jerry: I’m hanging in there.
(なんとかやってるよ。)
Jerry: Very happy to see you both.
(二人に会えて本当にうれしいよ。)
Modern Family Season11 Episode8 (Tree’s a Crowd)
how you doing? は How are you doing? の are を落とした口語の形で、親しい相手への気軽なあいさつです。クレアは名前を縮めて呼びかけ、打ち解けた調子で話しかけます。
ジェリーの I’m hanging in there. は「なんとかやっている」「どうにか持ちこたえている」という答え方です。命令形の Hang in there. は「がんばって」と相手を励ます言葉なので、使い分けに注意が要ります。I’m fine. のような決まり文句よりも、楽ではないけれど大丈夫、という含みが出る答えです。
Very happy to see you both. は I’m を省いた形で、二人に向けた歓迎の気持ちを返す一言です。How you doing? には Good. や Not bad. のような短い答えも一般的ですが、ジェリーのように近況を一言で伝えてから会えたうれしさを続けると、あいさつが一往復で終わらず、そのまま会話につながります。
まとめ|注文・断り・あいさつの英語
Do you have to ~ right here? で注文をつけ、Doesn’t sound like me. で頼みをかわし、I’m hanging in there. で近況に答える。家で一緒に過ごす相手とのやりとりには、気づかいの言葉と、その裏にのぞく本音の両方が表れます。
にぎやかになったダンフィー家の会話を観ながら、身近な人との言葉の交わし方に耳を傾けるのも、この回の楽しみ方です。
この回のほかのコラムでは、短いひと言で突っぱねる英語や、思いやりをめぐる言い返し方も取り上げています。


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