海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第12話には、家族の軽口をめぐる短いやりとりが2つあります。ひとつはマニーが母グロリアに、父への軽口をやめてほしいと頼む場面。もうひとつは、グロリアがジェイに、マニーをからかわないよう念を押す場面です。
同じからかいでも、言われる側と言う側では呼び方が変わります。その言い分けと、やめると約束するときの英語を、順に見ていきます。
「pot shots」は思いつきの当てこすり
マニーの父ハビエルが訪ねてくる日、マニーは母にこう切り出します。
Manny: Please stop taking pot shots at his expense.
(父さんをネタに当てこするのは、もうやめてよ。)
Gloria: Pot shots are the only thing that we can take at his expense.
(あの人のお金で手に入るものなんて、当てこすりくらいしかないじゃない。)
Modern Family Season11 Episode12 (Dead on a Rival)
pot shot は、もとは狙いを定めずに近くから撃つ一発を指す言葉で、そこから「安易な批判」「思いつきの当てこすり」という意味で使われるようになったと言われます。take pot shots at ~ の形で「〜を狙って軽口をたたく」となり、言われた側やその家族から見た、あまり好ましくない冗談を表すのが特徴です。
マニーの台詞では at his expense が続きます。at someone’s expense は「〜を犠牲にして」「〜をだしにして」という意味で、joke at someone’s expense のように、誰かを笑いの種にする場面でよく組み合わされます。
グロリアの返しは、この expense に「費用」の意味もあることを利用しています。「彼をだしにした当てこすり」を「彼のお金で手に入るもの」にずらし、頼みごとをかわす返しです。言葉遊びとして読むと、短い一文の中で2つの意味が重なっていることが分かります。
学習者にとっては、pot shots という呼び方そのものに「やめてほしい」という評価が含まれる点が押さえどころです。自分の冗談を説明するときには、まず選ばれない言葉と言えます。
「good-natured ribbing」と言い換えて約束する
やりとりの末、マニーははっきりと約束を求めます。
Manny: Promise me.
(約束して。)
Gloria: Okay, fine, I promise.
(わかった、いいわよ、約束する。)
Gloria: If my good-natured ribbing is making you uncomfortable, I will refrain.
(私の悪気のないからかいが嫌なら、控えるわ。)
Modern Family Season11 Episode12 (Dead on a Rival)
ribbing は動詞 rib(からかう)から来た名詞で、親しい間柄での冗談めいたからかいを指します。good-natured は「気立てのよい」「悪気のない」という形容詞で、合わせると「愛嬌のあるからかい」という響きになります。
ここで面白いのは、同じ軽口をマニーは pot shots、グロリアは good-natured ribbing と呼んでいる点です。言われる側は「当てこすり」と受け取り、言う側は「悪気のない冗談」だと考えています。呼び方の違いに、2人の受け止め方の差が表れていると読み取れます。
約束の部分では、Promise me. と I promise. の短いやりとりに続いて、I will refrain が使われています。refrain は「控える」「差し控える」を表すやや改まった動詞で、refrain from ~ing の形で「〜するのを控える」とも言えます。気軽な I’ll stop よりも、きちんと身を引く印象を与える言い方です。
If ~ is making you uncomfortable も、相手の気持ちを先に認めてから譲歩する組み立てとして使いやすい形です。
「Promise you’re going to be nice」と念を押す
マニーの服をめぐる別の場面では、立場が入れ替わります。今度はグロリアが、ジェイに念を押します。
Gloria: Jay, don’t make him self-conscious.
(ジェイ、あの子が人目を気にしちゃうようなこと言わないで。)
Gloria: Promise you’re going to be nice.
(やさしくするって約束して。)
Modern Family Season11 Episode12 (Dead on a Rival)
self-conscious は「人の目が気になる」「自意識過剰になる」という意味で、make someone self-conscious は「相手に人目を気にさせる」となります。からかいの言葉そのものより、言われた側が気にしてしまうことを止めたい、という頼み方です。
Promise you’re going to be nice. は、Promise (that) ~ の形で、約束の中身まで指定しています。マニーがグロリアに言った Promise me. と同じ「約束して」の流れが、今度はグロリアの口から出ています。
グロリアの頼みのあと、同じ場面の終わりで、ジェイはマニーに声をかけます。
Jay: I gotta tell him.
(これは言ってやらないと。)
Jay: Manny, put the outfit back on!
(マニー、その服もう一回着てくれ!)
Modern Family Season11 Episode12 (Dead on a Rival)
I gotta は I’ve got to のくだけた形で、「どうしても〜しなきゃ」という気持ちを表します。言わずにいられない冗談を前にした一言として、からかう側の本音がのぞく場面になっています。
まとめ|呼び方で変わる、からかいの受け止め方
pot shots は言われる側から見た当てこすり、good-natured ribbing は言う側から見た悪気のないからかいです。約束の I will refrain や Promise you’re going to be nice もあわせて押さえると、冗談の線引きを英語で話し合いやすくなります。
家族の軽口が飛び交う『モダンファミリー』を観ながら、からかいの言葉の温度差に耳を澄ませると、会話の見え方が変わってきます。
この回のほかのコラムでは、長年の仕事仲間の引退や、大きすぎる贈り物の断り方も取り上げています。


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