「beat around the bush」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S02E21で学ぶ英会話

「beat around the bush」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

会議や雑談で、相手がなかなか本題に入らず、思わず「で、要するに何が言いたいの?」と感じてしまう場面があります。言いにくいことを切り出せずに、周辺の話ばかりが続く——そんなもどかしい瞬間は、誰にでもあるはずです。

そんなときにぴったりの「beat around the bush」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第21話の中盤、言葉を濁すレナードに、ラージが「もっとはっきり言えよ」とつっこむシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「beat around the bush」の意味とニュアンス

beat around the bush
意味:遠回しに言う、核心を避けて話す、なかなか要点を言わない

「beat around the bush」は、言いたいことをはっきり言わず、その周辺をぐるぐると話す様子を表すイディオムです。直訳すると「茂みの周りを叩く」で、肝心の中心には触れず、まわりばかりをつついている、というイメージから来ています。

実際の会話では、否定文や命令文で使われることがとても多い表現です。Don’t beat around the bush(遠回しにしないで)、Stop beating around the bush(もったいぶらずに言って)のように、「核心を避けるのをやめて、はっきり言ってほしい」と相手を促す形でよく登場します。

言いにくいことを切り出せずにいる人にも、わざと話をぼかしている人にも使えます。前置詞は around が一般的ですが、イギリス英語では beat about the bush と about を使う形も見られます。会話でもビジネスでも出番のある、覚えておくと便利な定番表現です。

【ここがポイント!】

  • 茂みの中心に触れず周りばかり叩く、その姿が「核心を避ける」の比喩になった表現
  • Don’t / Stop と組んで「はっきり言って」と促す否定・命令の形が会話で頻出
  • around がアメリカ式、about がイギリス式と、前置詞に地域差が出るのも押さえどころ

『ビッグバン★セオリー』S02E21のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。落ち込んだハワードを元気づけてほしいと、レナードはバーで出会った女性ミカエラに頼もうとしますが、肝心の部分をなかなか口にできずにいます。そこへ、いつもは女性とまともに話せないラージが、珍しく強気でつっこむのがこの場面です。

Leonard: …we’ve got this friend, and he’s kind of down in the dumps, and we thought that maybe you could cheer him up.
(友達がちょっと落ち込んでて、元気づけてくれないかと思って)

Raj: With sex.
(セックスで)

Leonard: I think she knows what I meant.
(言いたいことは、もう伝わってると思うよ)

Raj: How can she when you beat around the bush. She’s from the mean streets where they shoot from the hip and keep it real.
(お前が遠回しに言うから伝わるわけないだろ。彼女はずばずば言って本音で生きる、ストリート育ちなんだぞ)

The Big Bang Theory Season2 Episode21(The Vegas Renormalization)

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シーン解説と心理考察

依頼の核心をぼかし続けるレナードを、ラージが beat around the bush(遠回しに言う)とずばり指摘する場面です。続けてラージは、ミカエラを「shoot from the hip(ずばずば言う)、keep it real(本音で生きる)ストリートの女」と評し、レナードの回りくどさと真っ向から対比させています。

おかしいのは、ふだん女性の前ではひと言も話せないはずのラージが、この場面に限ってやけに堂々と「率直さ」を説いているところです。立場が逆転したようなキャラのちぐはぐさが、会話の温度を一気に軽くしています。beat around the bush というひと言が、優柔不断で言い淀むレナードの姿を的確に突くキーワードとして機能しています。

遠回しなレナードと、妙に強気なラージ——二人のずれが、このシーンのおかしみをやわらかく見せています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

狩りの場面を思い浮かべてみましょう。獲物が潜む茂み(bush)に、いきなり踏み込むのではなく、まわり(around)を棒でバシバシ叩いて様子をうかがう——その「核心に直接触れず、周辺ばかりをつつく」動作が、そのまま「遠回しに言う」の比喩になっています。

劇中では、「sex」という言葉をなかなか言えずにモジモジするレナードを、ラージが beat around the bush とひと言で斬っていました。気まずくて本題を切り出せないレナードの姿を思い出すと、「はっきり言えずに、まわりをうろうろする」というイメージが鮮明に残ります。茂みの周りを叩く手の動きごと、声に出してなぞってみると定着しやすくなります。

例文で覚える「beat around the bush」

「はっきり言って」と促す場面で活躍する表現です。3つの場面で確認してみましょう。

Stop beating around the bush and tell me what happened.
(遠回しはやめて、何があったのか言ってよ)
相手がなかなか本題を言わず、もどかしくなったときの一言です。Stop …ing の形で、「核心を避けるのをやめて」とストレートに促せます。

Let’s not beat around the bush; we need to cut costs.
(遠回しはやめましょう、コスト削減が必要です)
会議で核心に切り込みたいときの表現です。Let’s not で始めると、相手を責めるトーンを抑えつつ、丁寧に本題へ入る合図になります。

A: So, um, I’ve been meaning to talk to you about the schedule, and, well, it’s kind of…
B: You’re beating around the bush. Just tell me straight.
(A:その、スケジュールのことで話したかったんだけど、えっと、なんというか…)
(B:遠回しになってるよ。はっきり言って)
相手が言い淀んでいるのを指摘する会話の場面です。be動詞+beating around the bush の進行形で、「今まさに遠回しにしている」状態を伝えられます。

あわせて覚えたい関連表現

get to the point
(要点を言う、本題に入る)
beat around the bush とほぼ正反対の表現です。「核心を避ける」のが beat around the bush、「さっさと本題に入れ」が get to the point。セットで覚えると対比がつかめます。

mince words
(言葉を濁す)
近い意味ですが、否定形の not mince words(歯に衣着せず言う)の形で使われることが多い表現です。beat around the bush は肯定でも否定でも使える点が異なります。

beat about the bush
(遠回しに言う)
イギリス英語でよく使われる形です。around がアメリカ英語、about がイギリス英語という違いだけで、意味は同じ。同じイディオムの地域差を知る好例です。

Note|茂みを叩く狩人たち——beat around the bush の由来

beat around the bush は、なぜ「茂みを叩く」が「遠回しに言う」を意味するようになったのでしょうか。今回はこの表現の成り立ちを、もう少し詳しく見ていきましょう。

このイディオムは、中世ヨーロッパの狩猟に由来するとされています。鳥などの獲物を狩るとき、勢子(せこ)と呼ばれる役の人たちが、茂みのまわりを棒で叩いて鳥を追い立て、本番の捕獲役に備えたと言われます。つまり「茂みを叩く」のは、獲物を直接つかまえる前の、いわば準備段階の作業でした。ここから、「本題(=獲物)に直接入る前に、まわり(=茂み)をつついて回る」という連想が生まれ、「核心を避けて遠回しに話す」という現在の意味につながったとされています。一説には、危険な動物が潜んでいるかもしれない茂みに、慎重に近づこうとして周りから叩いた、という説明も語られます。いずれにせよ、「いきなり中心に踏み込まず、まわりから様子をうかがう」という狩りの所作が、言葉のふるまいに重ねられたわけです。

劇中でラージがレナードに使ったのも、まさにこの「中心に踏み込めず、周辺をうろうろする」姿への指摘でした。語源を知ると、ラージのつっこみがいっそう的確に感じられます。

何気ないイディオムの奥に、はるか昔の狩りの風景が隠れています。

まとめ|核心を避ける話し方を、ひと言で言い表す

beat around the bush は、言いたいことをはっきり言わず、その周辺ばかりを話す様子を表すイディオムです。Don’t や Stop と組み合わせて、「遠回しにしないで、はっきり言って」と相手を促す形で特によく使われます。

相手の話がなかなか核心に届かないとき、あるいは自分が言いにくいことを切り出せずにいると気づいたとき、この表現を知っていると状況をひと言で言い表せます。対になる get to the point とあわせて押さえておくと、率直さと回りくどさを自在に語り分けられる表現と言えます。

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