海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
経験は浅いけれど熱意はある。そんな相手に「よし、一度チャンスをやってみよう」と機会を与える場面は、仕事でも身近な人間関係でもありますよね。
その気持ちにぴったりの「give someone a shot」を、『フレンズ』シーズン5第17話の後半、レイチェルが面接で必死に自分を売り込み、採用担当が決断を下す場面から、一緒に見ていきましょう。
「give someone a shot」の意味とニュアンス
give someone a shot
意味:(人に)チャンス・機会を与える
shot には「試み」「一発の挑戦」という意味があり、give someone a shot で「人に試す機会を与える」ことを表します。自分が挑戦する give it a shot に対して、こちらは「他者に機会を与える」側の言い方です。とりわけ採用や起用の場面で、「実力は未知数だが、一度やらせてみよう」という決断を表すときによく使われます。chance を使った give someone a chance とほぼ同じ意味ですが、shot のほうがややくだけていて、「一発やらせてみる」という思い切りのニュアンスがにじみます。
【ここがポイント!】
- 「shot」は「一発の挑戦・試み」、それを人に手渡すのが give someone a shot
- 自分が試す give it a shot と、向きが逆になる点に注意したい一言
- 採用や起用など、「一度やらせてみよう」という決断の場面でなじむ表現
『フレンズ』S05E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
面接で一度はしくじったレイチェルが、再挑戦の場で自分の長所を懸命にアピールします。その熱意に押された採用担当のゼルナー氏が、リスクを承知で下した決断に、フレーズが顔を出します。
Rachel: I really, really want this job, and I think I would be really good at it.
(この仕事が本当に欲しいんです。それに、きっとうまくやれると思います)Zelner: You know what? I may regret this, but I’m going to give you a shot.
(そうだな、後悔するかもしれないが……君にチャンスをやろう)Rachel: Oh, you are? Really? Oh, thank you.
(え、本当ですか? やった、ありがとうございます)Friends Season5 Episode17(The One with Rachel’s Inadvertent Kiss)
シーン解説と心理考察
「後悔するかもしれないが(I may regret this, but)」とわざわざ前置きしてから give you a shot と続けるところに、ゼルナーの心境が表れています。彼はレイチェルの実力を確信しているわけではなく、その勢いと熱意に賭けてみようとしているのです。半信半疑のまま、それでも一歩を踏み出す管理職のリアルな判断が、この一言ににじんでいます。一度の失敗を乗り越えて食い下がったレイチェルの必死さが、相手の慎重な心を動かした瞬間でもあります。give you a shot の「一発やらせてみる」という思い切りが、ゼルナーのためらいと期待の両方を同時に伝えているのが見どころです。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
shot を「一回きりのチャンスの弾丸」とイメージすると、give someone a shot が記憶に残ります。ゼルナーがレイチェルに手渡したのは、まさに「一発撃たせてやる=試させてやる」という貴重な一回。give you a shot は、その一発を相手の手に握らせてやる絵です。「後悔するかもしれないが」という彼のためらいごと思い出せば、shot が「賭けに近いチャンス」を意味することも、あわせて頭に入ります。
例文で覚える「give someone a shot」
人にチャンスを与える場面で幅広く使える表現です。与える側・与えられる側、どちらの視点でも使える点を押さえてみましょう。
I know he’s inexperienced, but let’s give him a shot.
(彼は経験が浅いけど、チャンスをやってみよう)
採用や起用を検討する場面です。ドラマと同じく、「実力は未知数だが一度任せてみる」という決断を表す使い方になります。
Thanks for giving me a shot — I won’t let you down.
(チャンスをくれてありがとう。期待は裏切りません)
機会を与えられた側がお礼を言う場面です。give someone a shot は、受け手の視点から感謝を伝えるときにも自然に使えます。
A: I’m not sure this new supplier is reliable.
B: Let’s give them a shot and see how the first order goes.
(A:この新しい取引先、信頼できるか微妙だな)
(B:一度チャンスをやって、最初の発注がどうなるか見てみよう)
仕事の相談をする会話です。人だけでなく取引先や新しい方法など、「試してみる対象」にも同じ形で使えます。
あわせて覚えたい関連表現
give it a shot
((自分が)試してみる)
主語自身が挑戦する言い方です。give someone a shot が「他者に機会を与える」のに対し、こちらは自分がやってみる側で、機会を与える向きが逆になります。
give someone a chance
((人に)チャンスを与える)
意味はほぼ同じで言い換えが可能です。give someone a shot のほうがややくだけていて「一発試す」感覚が強く、chance は中立的で幅広く使えます。
take a chance on someone
((人に)賭けてみる・思い切って任せる)
リスクを承知で賭けるという点に力点があります。give someone a shot より「賭け」の色が濃く、ためらいながら決断したゼルナーの心境に近い表現です。
Note|shot が「一発」から「チャンス」になるまで
give someone a shot の shot は、もともと「発砲」「一発撃つこと」を指す言葉です。それがなぜ「チャンス」や「試み」を意味するようになったのでしょうか。
鍵になるのは、「一発撃つ」という行為が持つ「一回きりの挑戦」というイメージです。銃であれ、ゴールを狙うシュートであれ、shot は「ねらいを定めて放つ、その一回」を表します。この「一度きりの試み」という核が比喩へと広がり、「やってみること」「機会」という意味を帯びていきました。give it a shot(試しにやってみる)、take a shot at(〜に挑戦してみる)、long shot(可能性の低い賭け)、a shot at the title(タイトルへの挑戦)など、チャンスや挑戦に関わる shot の表現群は、いずれもこの「一発の試み」というイメージを共有しています。give someone a shot も、その一発を自分が撃つのではなく、相手に撃たせてやる──つまり「試す機会を与える」という発想から生まれた言い回しです。
ゼルナーがレイチェルに渡した a shot も、まさに「一度きりの挑戦の機会」でした。shot の根っこにある「ねらって放つ一回」というイメージを知っておくと、チャンス系のさまざまな表現がひとつながりに見えてきます。
一発の重みが、そのまま機会の貴重さに重なっているのですね。
まとめ|レイチェルの再挑戦から学ぶ「チャンスを与える」一言
「give someone a shot」は、実力が未知数の相手に「一度やらせてみよう」と機会を与える表現です。shot が持つ「一発の挑戦」というイメージが、そのまま「貴重なチャンス」の重みに重なっています。
この表現を知っておくと、誰かに機会を与える場面でも、逆に与えられて感謝を伝える場面でも、思い切りのある一言で気持ちを表せるようになります。ビジネスの場面でも出番の多いフレーズです。
食い下がったレイチェルと、賭けに出たゼルナーのやり取りを思い出しながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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