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可能性は低いとわかっていても、「ダメ元でやってみようかな」と一歩踏み出したくなる瞬間がありますよね。
その「望み薄の挑戦」を表す「a long shot」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第12話の後半、落ち込むペニーにレナードがオーディションを勧めるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「a long shot」の意味とニュアンス
a long shot
意味:可能性は低いが、当たれば大きい賭け・挑戦
a long shot は、成功の見込みは低いと分かったうえで「それでも狙う価値はある」というニュアンスを持つ表現です。完全に無理なのではなく、「望み薄だが、可能性はゼロではない」という点が核にあります。
競馬で勝ち目の薄い馬(大穴)を指したり、一発逆転を狙う挑戦を表したりと、ギャンブルや勝負の文脈になじみます。It’s a long shot, but…(望み薄だけど〜)の形で「ダメ元だけど」と切り出すのが定番の使い方です。一方で、否定形 not by a long shot になると「全然〜ない」という強い否定に意味が反転するので、ここは注意が必要です。同じ語句が肯定と否定で大きく表情を変える、覚えがいのある表現です。
【ここがポイント!】
- 遠くの的に放つ一発、当たりにくいが命中すれば大きい、それが核
- It’s a long shot, but… で「ダメ元だけど」と切り出すのが定番
- 否定形 not by a long shot は「全然〜ない」と意味が反転する点に注意
『ビッグバン★セオリー』S07E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
夢を諦めかけたペニーを励まそうと、レナードがネット応募できるスター・ウォーズのオーディションを勧めます。乗り気でないペニーに、レナードは可能性の低さを認めつつ食い下がります。
Penny: Come on Leonard, this is just a PR stunt.
(やめてよレナード、こんなのただの宣伝企画でしょ)Leonard: So? Even if it is, you have a huge advantage because you’re an actual actress. Look, maybe it is a long shot, but sometimes long shots happen.
(だから?仮にそうでも、君は本物の女優なんだから大きなアドバンテージがある。いいか、確かに望み薄かもしれない。でも、まれに大穴が当たることもあるんだ)Penny: Really, let it go.
(ほんと、もういいから)The Big Bang Theory Season7 Episode12(The Hesitation Ramification)
シーン解説と心理考察
レナードの “maybe it is a long shot, but sometimes long shots happen” には、可能性の低さを正直に認めながらも希望は手放さない、彼らしい不器用な励ましがにじみます。a long shot をそのまま繰り返して “long shots happen”(まれに当たることもある)とつなげる構成が、このフレーズの「低確率だがゼロではない」というニュアンスを会話の中で自然に伝えています。
ペニーの “Really, let it go”(もういいから)という冷めた返しが、二人の温度差を会話の温度として表しています。このあとレナードはルーク・スカイウォーカーが一度きりのチャンスでデス・スターを破壊した例えへと脱線し、ペニーの冷たい視線を浴びることになります。励まそうとして空回りするレナードの姿が、コミカルでありながらどこか愛おしく映る場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
はるか遠くの的に向かって、矢を一本だけ放つ場面を思い浮かべてください。距離があるぶん当たる確率は低い。けれど、もし命中すれば一発逆転――それが a long shot のイメージです。
long(遠い)+ shot(一撃)で「遠すぎて当たりにくい狙い」と捉えると、意味がすっと入ってきます。レナードが「望み薄かもしれないが、まれに当たることもある」とオーディションを勧め、ルークの一撃の例えに脱線する場面を思い出せば、「低確率 × 一発逆転 = a long shot」が記憶に残ります。否定形の not by a long shot が「全然違う」と反転することも、セットで押さえておくと混乱しません。
例文で覚える「a long shot」
「望み薄だが狙う価値はある」というニュアンスが、挑戦・お願い・否定の場面でどう使われるかを見ていきましょう。
It’s a long shot, but I’m going to apply anyway.
(望み薄だけど、ダメ元で応募してみるよ)
成功率の低い挑戦に踏み出す場面です。It’s a long shot, but… という定番の切り出しで、「うまくいかないかもしれないけれど」という前置きになります。
Not by a long shot.
(とんでもない、全然そんなことない)
強く否定する場面です。同じ a long shot でも、not by 〜 の形になると意味が反転し、「まったく〜ではない」という強い否定になる点に注意が必要です。
A: Do you think we can still win this contract?
B: I know it’s a long shot, but it’s worth trying.
(A:この契約、まだ取れると思う?)
(B:望み薄なのはわかってる。でも試す価値はあるよ)
成功率の低い案件を検討するビジネスの会話です。低い見込みを認めたうえで、なお挑む価値を見いだす使い方が見て取れます。
あわせて覚えたい関連表現
a slim chance
(わずかな見込み)
可能性の低さを淡々と示す表現です。a long shot が持つ「賭け」「一発逆転」のワクワク感は薄く、単に確率が低いという事実を述べる点で使い分けられます。
a shot in the dark
(当てずっぽう、やみくもな試み)
根拠のない「あてずっぽう」に焦点があります。a long shot が低確率でも「狙って」いるのに対し、こちらは手がかりのないまま試す点が違います。
against all odds
(あらゆる不利を覆して)
低い見込みを「実際に覆した」結果に焦点を当てる成句です。a long shot が挑む前の「望み薄な状態」を指すのに対し、こちらは困難を乗り越えた後を描く点で対照的です。
Note|a long shot ―― 命中しにくい「遠距離射撃」から
a long shot を「望み薄の挑戦」として覚えると、なぜ shot(一撃)が「見込みの低さ」を表すのか、由来を知ると腑に落ちます。
この表現は、文字どおり「遠くからの一撃」を指していたとされます。射撃や弓において、的までの距離が遠ければ遠いほど命中は難しくなります。そこから long shot(遠い一撃)が「成功率の低い試み」を意味するようになった、と説明されることが多い表現です。さらに後年、競馬の世界で勝ち目の薄い馬――いわゆる「大穴」――を long shot と呼ぶ用法も広まりました。配当は大きいが当たりにくい馬、という競馬のイメージが、「リスクは高いがリターンも大きい挑戦」というニュアンスを強めたと考えられます。射撃の「当たりにくさ」と、競馬の「大穴」という二つのイメージが重なって、現代の a long shot が持つ「望み薄だが一発逆転もありうる」という独特の温度感ができあがったわけです。レナードが “long shots happen”(まれに当たることもある)と言い添えたのも、まさにこの「低確率だがゼロではない」という核心を突いた表現でした。
由来をたどると、a long shot がただの「低確率」ではなく、狙う価値を含んだ言葉であることが見えてきます。
遠い的を狙う緊張と高揚が、そのまま言葉に残っているのですね。
まとめ|レナードの空回りから学ぶ一言
a long shot は、成功の見込みは低いけれど「それでも狙う価値はある」という、望み薄の挑戦を表す表現です。It’s a long shot, but… で「ダメ元だけど」と切り出すのが定番で、否定形 not by a long shot になると「全然〜ない」と意味が反転する点も押さえておきたいところです。
成功率の低い応募や提案、厚かましいお願いを切り出すとき、この一言があれば「難しいのは承知のうえで」という気持ちを添えられます。レナードがペニーを励まそうと空回りしたように、低い見込みでも希望を手放さない場面にぴったりの表現です。
ダメ元で挑みたい場面を思い浮かべながら、会話のレパートリーに加えてみてください。


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