海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
大きな夢に挑むとき、「自分に本当にその力があるのだろうか」と誰かに問いかけたくなる瞬間がありますよね。
その切実な問いを表す「have what it takes」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第12話の中盤、出演シーンをカットされて落ち込むペニーが、レナードに正直な意見を迫るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「have what it takes」の意味とニュアンス
have what it takes
意味:(成功・達成に)必要な素質や能力を備えている
have what it takes は、ただ漠然と「能力がある」のではなく、「ある困難な目標を成し遂げるのに必要なものが揃っている」ことを表します。
鍵になるのは what it takes(それに必要なもの)という部分です。ここには才能だけでなく、努力・根性・覚悟といった要素が、中身を特定されないまま丸ごと含まれています。だからこそ、プロを目指す、難関に挑む、適性を見極める、といった挑戦や競争の文脈でよく使われます。it takes の it は「成功」「達成」を漠然と指し、「成功が要求してくるもの」を持っている、という構造です。Do you have what it takes to…? と問えば「〜をやり遂げるだけのものが君にあるか」という、相手の本質を問う重い問いかけになります。
【ここがポイント!】
- 目標達成に必要なもの一式が手元に揃っている、それが核
- 才能だけでなく努力・覚悟まで中身を特定せず丸ごと指す表現
- it takes の it は「成功・達成」を漠然と指すと押さえるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S07E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
テレビ出演のシーンをまるごとカットされ、自信を失ったペニーが、レナードに「100%正直な意見」を求めます。女優としての自分の適性そのものを問う、緊張感のあるやり取りです。
Penny: Do you think I have what it takes to really make it as an actress?
(私に、本当に女優としてやっていけるだけのものがあると思う?)Leonard: Yes.
(あるよ)Penny: So you think I’ll be on TV and in movies and win awards.
(じゃあ、私がテレビや映画に出て、賞も獲ると思うのね)Leonard: Honestly?
(正直に言うと?)The Big Bang Theory Season7 Episode12(The Hesitation Ramification)
シーン解説と心理考察
ペニーの “Do you think I have what it takes…?” は、単なる励ましを求める問いではなく、「本当のところ、自分にその資質があるのか」を知りたいという切実さがにじむ場面です。have what it takes が持つ「目標達成に必要なもの一式」という重みが、女優として生きていけるかという問いの大きさにそのまま重なっています。
レナードはとっさに “Yes” と答えますが、続くペニーの畳みかけに “Honestly?”(正直に言うと?)と口ごもり、二人の間に気まずい間が生まれます。励ましたい気持ちと、正直でありたい気持ちの板挟みになるレナードの「ためらい」が、この一言に表れています。第12話の英題が The Hesitation Ramification(ためらいの余波)であることとも響き合う、エピソードの核心と言えるシーンです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
採用試験の「合格に必要なものリスト」を思い浮かべてみてください。才能、経験、覚悟――その項目が全部、自分の手元に揃っている。それが have what it takes のイメージです。
what it takes を「それ(目標達成)が要求してくるもの一式」と捉えるのがコツです。中身を一つひとつ数え上げなくても、「必要なものは全部ある」とまとめて言えるのがこの表現の便利なところ。ペニーがレナードに「私にそれだけのものがある?」と必死に問う姿を思い浮かべれば、「目標に必要なものを丸ごと備えている」という意味がそのまま結びつきます。
例文で覚える「have what it takes」
「目標達成に必要な資質を備えている」という意味が、肯定・不安・評価の場面でどう使われるかを見ていきましょう。
She definitely has what it takes to lead this team.
(彼女には間違いなく、このチームを率いる資質がある)
人材を評価したり推薦したりするビジネスの場面です。第三者の能力を力強く肯定する、前向きな使い方です。
I’m not sure I have what it takes to finish a marathon.
(マラソンを完走できるだけのものが、自分にあるか自信がない)
自分の力に不安を感じる場面です。否定や不安の文脈でも頻出で、挑戦を前にした迷いを表せます。
A: Do you really think I can become a professional?
B: Honestly, yes — you have what it takes.
(A:私、本当にプロになれると思う?)
(B:正直に言って、なれるよ。君にはそれだけのものがある)
適性を問う相手に、確信を持って答える会話です。劇中のペニーとレナードのやり取りに近い、相手の本質を肯定する使い方が見て取れます。
あわせて覚えたい関連表現
be cut out for
(〜に向いている、適性がある)
生まれつきの「向き・不向き」に焦点を当てた表現です。have what it takes が努力で備える要素も含むのに対し、こちらは資質の相性を問う点でやや異なります。
be up to the task
(その任に堪える、こなせる)
目の前の具体的な仕事をこなせるかどうかに焦点があります。have what it takes がより長期的で包括的な適性を指すのに対し、こちらは個別のタスク単位で使い分けられます。
have the right stuff
(必要な資質を備えている)
have what it takes とほぼ同義の口語表現です。やや古風で格好いい響きがあり、宇宙飛行士の適性を描いた作品名としても知られています。
Note|what it takes ―― 「必要なもの一式」を畳み込む表現
have what it takes を日本語にしようとすると、「必要な素質」「やっていけるだけのもの」など、文脈ごとに訳を変える必要があることに気づきます。
その理由は、what it takes という部分が、目標達成に要るものを中身を特定せずひとまとめに指しているからです。たとえば女優を目指すなら演技力・容姿・運・粘り強さ、起業するなら資金・人脈・決断力・体力――挑む対象によって「必要なもの」の中身はまるで違います。それでも英語は、それらを一つひとつ列挙せず what it takes という一語句に畳み込んでしまいます。it takes(それが要求する)という無人称の構文が、「目標の側が要求してくるもの」という発想を生み、その総体を what(〜なもの)で受けているわけです。日本語にはこの「中身を特定しないまま必要条件の総体を指す」言い方がぴたりと対応する形を持たないため、文脈に応じて「素質」「実力」「覚悟」などと訳し分けることになります。一語で必要条件を丸ごと抱え込むこの包括性こそ、have what it takes が挑戦や適性の話で重宝される理由です。
中身を数え上げずに「必要なものは全部ある」と言える――この畳み込みの感覚をつかむと、訳に迷わなくなります。
挑戦を語るときに、これほど頼りになる言い回しもそうありません。
まとめ|ペニーの問いから学ぶ一言
have what it takes は、ある困難な目標を成し遂げるのに必要な素質・能力を備えている、という意味の表現です。what it takes が才能・努力・覚悟を中身を特定せず丸ごと指すため、挑戦や適性を語る場面で幅広く使えます。
夢に挑むとき、人を評価するとき、自分の力に迷うとき――この一言があれば、「必要なものが揃っているか」という問いを的確に言い表せます。ペニーがレナードに自分の適性を必死に問うたように、人生の岐路で交わされる重い問いかけにふさわしい表現です。
大きな目標を思い描く場面で、表現の引き出しに加えてみてください。


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