海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
子供のころに憧れた大人や、今も手本にしている先輩を、心の中で「すごいな」と見上げてきた経験はありませんか。あの人のようになりたい、と自然に背筋が伸びる、そんな存在です。
その気持ちをそのまま言葉にしたのが「look up to」、尊敬する・手本として慕う、という句動詞です。
このフレーズを、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第22話、夢の中で亡き恩師と再会したシェルドンが、強がりの仮面を外してようやく本心を漏らすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「look up to」の意味とニュアンス
look up to
意味:〜を尊敬する、手本として慕う
look up to は、文字どおりの「見上げる」から転じて、人を「尊敬する・あこがれる」を表す句動詞です。物理的に視線を上に向ける動作が、そのまま「相手を自分より上の存在として敬う」という心理に重なっています。
目下の者が目上の人物を敬う、という方向性を持つのが特徴です。そのため、ロールモデルや年長者、恩師など、自分が手本としたい相手に対してよく使われます。反対の意味を持つのが look down on(見下す)で、視線の向きがそのまま敬意と侮蔑を分けています。
尊敬する人物について語るとき、憧れの対象を描写するときに自然に使える表現です。look up to A as a role model(Aをロールモデルとして尊敬する)の形もよく登場します。
【ここがポイント!】
- 「見上げる」動作が、そのまま「尊敬する」気持ちに重なる句動詞
- 目下から目上へ、という敬意の方向を持つのが特徴
- 反対は look down on(見下す)、視線の上下で敬意が反転する
『ビッグバン★セオリー』S07E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。映画鑑賞中に眠ってしまったシェルドンは、夢の中で「フォースの霊」となった恩師アーサーと言葉を交わします。強がってきた彼が、ようやく本心を漏らす場面です。
Sheldon: And now you’re gone, too. It’s like all the men I’ve looked up to have gone away.
(そして今度はあなたも逝ってしまった。まるで、私が尊敬してきた男たちが皆いなくなってしまったようだ)Arthur: Well, you know, it’s okay to be sad about them.
(あのね、彼らのことで悲しんでいいんだよ)The Big Bang Theory Season7 Episode22(The Proton Transmogrification)
シーン解説と心理考察
このセリフは、エピソード全体の感情的な核を担っています。それまで「悲しんでなどいない」と平静を装い続けてきたシェルドンが、夢という安全な場所で、初めて喪失の痛みを言葉にする瞬間です。
直前で彼は、祖父を5歳のときに、父を14歳のときに亡くしたと語ります。そしてアーサーの死。自分が look up to してきた年長の男性たちを、次々と失ってきたのだ、と。強がりの仮面がそっと外れ、本音がこぼれ落ちるこの一言に、シェルドンの抱えてきた孤独が凝縮されています。
look up to(見上げる)という表現が、ここでは特別な響きを帯びます。物理的に「見上げる」相手を一人また一人と見送ってきた、という喪失の感覚が、尊敬という言葉の奥からにじみ出てくるのが見どころです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
look up to は、小さな子供が大きな大人を物理的に「見上げる」姿を思い浮かべると、そのまま意味に直結します。視線が上を向く、つまり相手を自分より上に置く、それが「敬う」につながる——この一本道のイメージが覚え方の軸です。
反対の look down on(見下す)とペアにすると、視線の上下で敬意の方向が決まる感覚が一気に掴めます。シェルドンが夢の中で「look up to してきた男たちが皆いなくなった」と漏らした、あの仮面の外れる瞬間を重ねれば、言葉に込められた喪失の重みごと記憶に残ります。
例文で覚える「look up to」
look up to は、身近な憧れの人から社会的なロールモデルまで、幅広く使えます。フォーマル度を変えながら、三つの例文で感覚をつかんでみましょう。
I’ve always looked up to my older sister.
(私はずっと姉を尊敬してきた)
身近な憧れの人について話すカジュアルな場面です。always と現在完了を組み合わせると、「ずっと尊敬してきた」という継続の気持ちが自然に表せます。
Many young scientists look up to her as a role model.
(多くの若手科学者が、彼女をロールモデルとして尊敬している)
著名人や指導者への敬意を述べるフォーマルな場面です。look up to A as a role model の形は、尊敬の対象を明確に示す王道の言い回しです。
A: Why does he work so hard to impress his coach?
B: Because he really looks up to him. He’s been his hero since childhood.
(A:なんで彼はあんなにコーチに認められようと頑張るの?)
(B:本気で尊敬してるからだよ。子供のころからの憧れの人なんだ)
尊敬の理由を説明する会話です。look up to の後ろに人を置き、その人物への憧れの深さを語る流れで、感情のこもった使い方ができます。
あわせて覚えたい関連表現
admire
(称賛する、敬服する)
能力や業績、人柄などを「すばらしい」と評価して敬う動詞です。look up to が「自分より上の存在として仰ぐ」上下関係を含むのに対し、admire は対等な相手や年下にも使え、上下のニュアンスが薄いのが違いです。
idolize
(崇拝する、偶像視する)
look up to よりはるかに強く、「神聖視するほど熱烈に憧れる」ことを表します。やや過剰・盲目的な響きを持つことがあり、欠点まで見えなくなるほどの傾倒を指す点で、敬意の度合いが一段上です。
look down on
(見下す、軽蔑する)
look up to のちょうど反対の表現です。視線を下に向ける、つまり相手を自分より下に置くことで「軽んじる」を表します。up と down の対比で、敬意と侮蔑が鏡のように対になっているのが面白いところです。
Note|視線の上下で決まる、look up to と look down on
シェルドンが漏らした look up to という一語には、英語の句動詞が持つ巧みな仕組みが隠れています。
look up to(見上げる=尊敬する)と look down on(見下す=軽蔑する)は、視線の向きがそのまま心理的な上下関係を表す、見事に対になった句動詞です。up を down に替えるだけで、敬意がそっくり侮蔑へと反転します。たった一語の方向を表す副詞が、感情の正負を切り替えるスイッチになっているのです。この発想は、英語の句動詞を理解するうえで格好の手がかりになります。たとえば stand by(そばに立つ=支える)、turn one’s back on(背を向ける=見捨てる)のように、英語には身体の動作や姿勢が、そのまま態度や感情を表す句動詞が数多くあります。具体的な体の動きが、抽象的な心理へと橋を架けている、と考えられます。look up to もその一例で、「見上げる」という誰もが知る動作を起点にしているからこそ、意味が直感的に理解できるのです。
この「視線の上下=敬意の方向」という感覚を一度つかんでおけば、look up to と look down on を取り違えることはなくなり、似た構造の句動詞にも応用が利きます。
体の動きをたどれば、言葉の意味は驚くほど素直に見えてきます。
まとめ|シェルドンが夢で漏らした本音を一言で
look up to は、人を手本として仰ぎ、心から尊敬する気持ちを表す句動詞です。「見上げる」という体の動作がそのまま意味に重なるため、一度イメージを掴めば忘れにくいのが、この表現の心強いところだと言えます。
憧れの人や恩師について語るとき、この一言があれば、敬意の気持ちを自然に伝えられます。強がりを脱ぎ捨てたシェルドンが、失ってきた人々を「look up to してきた男たち」と呼んだあの場面を思い出せば、言葉に宿る温度まで一緒に思い出せるはずです。
尊敬の気持ちを伝える一言として、表現の幅を広げてみてください。


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