海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
同じ言葉を何度もくり返されたり、ちょっとした癖を見せられたりして、地味にイライラさせられた経験、ありませんか。
そんなときにぴったりの「get on one’s nerves」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン8第6話で、坑道を再現した蒸気トンネルにこもりながらラージへの不満をこぼすシェルドンのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get on one’s nerves」の意味とニュアンス
get on one’s nerves
意味:〜の神経に障る、〜をイライラさせる、癪に障る
get on one’s nerves は、「誰かの神経(nerves)の上に乗る(get on)」という、なんとも感覚的なイメージから成り立つ表現です。敏感な神経を踏まれたり、その上に乗られたりするような、じわじわと続く不快感を表します。
ポイントは、激しい怒りというよりじわじわ蓄積するいらだちを指すことです。相手の言動が一発で爆発させるほどではないけれど、くり返されることで少しずつ我慢の限界に近づいていく——そんな日常的なイライラにぴったりはまります。原因になる相手や物事は主語に置き、His constant humming gets on my nerves.(彼がずっと鼻歌を歌っているのが癪に障る)のように使います。get on の代わりに grate on を使っても、ほぼ同じ意味になります。
【ここがポイント!】
- 核にあるのは「敏感な神経の上に乗られる」じわじわした不快感
- 激しい怒りではなく、くり返されて蓄積するいらだちを表す
- イライラの原因は主語に置く、get on のほか grate on も同じ意味
『ビッグバン★セオリー』S08E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
このエピソードのシェルドンは、坑道での研究を想定したシミュレーションとして、大学の蒸気トンネルにラージと二人でこもることにします。狭く暑い空間で、シェルドンは記録用の音声ログを取り始めるのですが、その第一声からさっそく相棒への不満があふれ出します。
Sheldon: Sheldon’s Mine Simulation Log, entry one. Koothrappali’s restating of the obvious is already getting on my nerves.
(シェルドンの坑道シミュレーション記録、エントリー1。コートラパリの「わかりきったことの繰り返し」が、早くも私の神経に障り始めている)Raj: I can hear you, you know.
(聞こえてるんだけど)The Big Bang Theory Season8 Episode6(The Expedition Approximation)
シーン解説と心理考察
シミュレーションが始まったばかりだというのに、シェルドンの「記録」はもう不満の表明になっています。already(早くも)という一語に、まだ何も始まっていないうちから募るいらだちがにじみ、get on one’s nerves が表す「じわじわ蓄積する不快感」の入口がよく見えてきます。
面白いのは、シェルドンが目の前のラージに直接言うのではなく、わざわざ「ログ」という形で吹き込んでいる点です。本人に聞こえているにもかかわらず観察記録のように不満を述べる、その大げさな自意識が、すかさず返すラージの一言で軽くいなされます。狭い空間に二人きりという状況が、これから募っていくイライラの予感を伝えてくる場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
むき出しになった神経の上を、誰かが土足でそっと踏んでくる——そんな少しヒヤッとする絵を思い浮かべてください。一度や二度なら耐えられても、何度もくり返されればたまりません。その「神経の上に乗られる(get on one’s nerves)」感覚が、この表現の核です。
蒸気トンネルでシェルドンが、ラージの当たり前の指摘にいちいち神経を逆なでされていたように、「敏感な神経を踏まれてイラッとする」しぐさとセットで覚えると、意味が体の感覚として残ります。
例文で覚える「get on one’s nerves」
じわじわ蓄積するいらだちを表す get on one’s nerves は、日常のちょっとした不満から職場の場面まで幅広く使えます。3つの場面で見ていきましょう。
The dripping faucet is really getting on my nerves.
(水がぽたぽた垂れる蛇口に、本当にイライラさせられる)
日常のささいなストレスを表す場面です。一つひとつは小さくても、くり返されることで神経に障っていく、という典型的な使い方です。
My coworker keeps interrupting me, and it’s starting to get on my nerves.
(同僚がしょっちゅう話をさえぎってきて、だんだん癪に障ってきた)
職場での人間関係の場面です。starting to(〜し始める)と組み合わせると、いらだちが少しずつ高まっていく様子が伝わります。
A: Could you stop tapping your pen? It’s getting on my nerves.
B: Oh, sorry — I didn’t even notice I was doing it.
(A:そのペンをカチカチするの、やめてもらえる? 神経に障るのよ)
(B:あ、ごめん。自分でも気づいてなかった)
身近な相手とのやり取りです。無意識の癖をやんわり指摘する場面で、get on one’s nerves が自然にはまります。
あわせて覚えたい関連表現
drive someone crazy / nuts
(〜をひどくイライラさせる、おかしくさせる)
get on one’s nerves よりも勢いの強い口語表現です。「もう耐えられない」というレベルのいらだちには drive someone crazy、じわじわ系のいらだちには get on one’s nerves、と強さで使い分けられます。
rub someone the wrong way
(〜をいらだたせる、神経を逆なでする)
こちらは「最初の印象からなんとなく気に障る」というニュアンスを持つ表現です。猫の毛を逆方向になでるイメージから来ており、特定の言動というより「相手の雰囲気そのものが癪に障る」場面で使われます。
bug someone
(〜をうざがらせる、悩ませる)
とてもカジュアルな口語で、「ちょっとうっとうしい」程度の軽いいらだちに向きます。Stop bugging me.(うるさく言わないで)のように、軽い抗議の場面で頻繁に登場します。
Note|なぜ英語は「神経の上に乗る」とイライラなのか
get on one’s nerves の面白さは、英語がいらだちを「神経」という身体の部位でとらえている点にあります。
nerve(神経)は、もともと体じゅうに張りめぐらされ、刺激を脳へ伝える敏感な組織です。英語ではこの「敏感さ」のイメージを使って、心がチクチク刺激される状態を nerve に結びつけてきました。その神経の上に何かが get on(乗っかる)、つまり敏感な部分が圧迫され続けるとなれば、不快に感じるのは自然な発想だと言えます。痛点を押されるような身体感覚が、そのまま「イライラする」という心理の比喩になっているわけです。
英語には、この nerve を使った表現が他にもいくつかあります。たとえば hit a nerve(痛いところを突く)は、触れられたくない話題に踏み込まれて心がうずく状態を表します。have the nerve to do(ずうずうしくも〜する)になると、nerve は「神経の太さ=ずぶとさ」を指し、また違った顔を見せます。同じ nerve でも、「敏感さ」を強調すれば get on one’s nerves のいらだちに、「図太さ」を強調すれば have the nerve の厚かましさに転ぶ——この振れ幅を知っておくと、nerve まわりの表現がぐっと立体的に見えてきます。
シェルドンが蒸気トンネルでラージに神経を逆なでされていたのも、まさにこの「敏感な神経を刺激され続ける」状態でした。
まとめ|シェルドンの「ログへの不満」から学ぶ、いらだちの表し方
get on one’s nerves は、相手の言動がじわじわと神経に障り、少しずついらだちが募っていく状態を表す表現です。「敏感な神経の上に乗られる」という身体感覚が核にあり、激しい怒りではなく、くり返されて蓄積する日常のイライラにぴったりはまります。
ちょっとした癖や同じ言葉のくり返しに「地味にイライラする」と感じた瞬間に get on one’s nerves を思い出せれば、その微妙ないらだちを言葉にできます。シェルドンがログに吹き込んだラージへの不満のように、神経に障る場面は日々くり返し訪れるもの。強すぎず弱すぎないいらだちを伝える表現として、会話のレパートリーに加えてみてください。


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