海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
人から言われた何気ない一言を、つい深刻に受け止めて、頭から離れなくなってしまった経験はありませんか。
そんな心の動きを表す「take to heart」を、『CHUCK』シーズン2第3話の冒頭、サラの元恋人が街に現れて落ち着かないチャックが、姉エリーに胸の内をこぼすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take to heart」の意味とニュアンス
take to heart
意味:〜を真に受ける、深刻に受け止める、心に刻む
「take(取り込む)」と「to heart(心へ)」が組み合わさって、聞いた言葉や起きた出来事を、軽く聞き流さずに心の奥まで持ち込む、という意味になります。
このフレーズには二つの方向があります。一つは、批判やからかいを「気にしすぎる」というニュアンス。もう一つは、助言や約束を「しっかり胸に刻む」という前向きなニュアンスです。どちらの場合も共通しているのは、その言葉が話し手の心に深く入り込んでいる、という点です。
そのため、”Don’t take it to heart.”(真に受けないで)のように否定形で「気にしすぎないで」と慰める使い方と、”He took her advice to heart.”(彼は彼女の助言を心に刻んだ)のように肯定形で「真剣に受け止めた」と評価する使い方の、両方で登場します。
【ここがポイント!】
- 核は「言葉を心の奥まで運び込む」イメージで、聞き流さない状態を指す一言
- 批判を気にしすぎる方向にも、助言を大切にする前向きな方向にも転がる表現
- 否定形 “Don’t take it to heart” は、相手を慰めるときの定番フレーズになるのがコツ
『CHUCK』S02E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
サラの元恋人ブライスが街に現れ、平静を装いつつも内心穏やかでないチャック。姉エリーと義兄オーサムを前に、ブライスがまだサラに気があるのではという不安を、軽口めかして打ち消そうとします。そこで飛び出すのが、このフレーズです。
Ellie: Does he know that you and Sarah are dating?
(あの人、あなたとサラが付き合ってるって知ってるの?)Chuck: Yeah. I just think he’s taking the whole “we can still be friends” thing to heart.
(うん。ただあいつ、「友達でいよう」ってやつを真に受けてるだけだと思うんだ。)Chuck Season2 Episode3(Chuck Versus the Break-Up)
シーン解説と心理考察
ここでのチャックの言い方には、彼自身の警戒心がにじんでいます。「友達でいよう」という別れ際の社交辞令を、ブライスが本気で受け止めている、という見立てを口にすることで、不安を相手側の問題にすり替えているように読み取れます。
本当に気にしているのは自分の方なのに、「真に受けているのはあいつだ」と語るあたりに、チャックらしい強がりと自己防衛が同居していると言えます。一人称が「僕」のままおどけてみせる口調からは、余裕を装いきれない揺れも伝わってきます。
このフレーズが、誰かの言葉を「重く受け止めている」状態を指すことを思えば、その重さを相手に押し付けて自分を軽く見せようとするチャックの心理が、より立体的に見えてくる場面です。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
「take to heart」は、言葉を耳で受け止めるのではなく、わざわざ心(heart)の奥の部屋まで運び込んで、そこに置いてしまうイメージで覚えるのがおすすめです。
チャックが、ブライスの何気ない態度をいちいち深読みして気に病んでいる、あの落ち着かない様子を思い出してみてください。聞いた言葉を心の奥に持ち込んで離せなくなっている状態そのものが、「真に受ける」という意味と重なります。
似た形の「learn by heart(暗記する)」と混同しやすいのですが、「by」は手段、「to」は方向。心に「向かって」運ぶのが take to heart だと整理すると、すっきり区別できます。
例文で覚える「take to heart」
否定形で慰めるときにも、肯定形で評価するときにも使える表現です。3つの場面で感覚をつかんでいきましょう。
Don’t take his criticism to heart; he says that to everyone.
(彼の批判を真に受けないで。誰にでもそう言うんだから。)
落ち込んでいる同僚や友人を慰める場面です。否定の命令形とセットで「気にしすぎないで」と伝える、最も典型的な使い方になります。
She really took the feedback to heart and rewrote the whole report.
(彼女はフィードバックを真剣に受け止めて、レポートをすべて書き直した。)
職場で前向きに助言を取り入れた様子を描く場面です。同じフレーズでも、こちらは「しっかり胸に刻んで行動に移した」というポジティブな評価になります。
A: I hope you didn’t take what I said yesterday to heart.
B: No worries, I knew you were just joking.
(A:昨日言ったこと、真に受けてないといいんだけど。)
(B:大丈夫、冗談だってわかってたから。)
言いすぎたかなと気にする相手とのやり取りです。会話の中では、このように相手を気づかう一言として自然に差し込まれます。
あわせて覚えたい関連表現
take … personally
(〜を個人的な攻撃として受け取る)
take to heart が前向きな意味にもなるのに対し、こちらは「自分への当てつけだと受け取る」という否定的な方向に限られます。慰める場面では “Don’t take it personally” もよく使われます。
dwell on …
(〜をくよくよ考え続ける)
take to heart が受け止めた瞬間の心の動きを指すのに対し、dwell on は過去の失敗などを長く引きずる、時間的な継続を表します。
let it get to you
(〜に参ってしまう、こたえる)
口語的な表現で、相手の言葉や状況に精神的なダメージを受けることを指します。take to heart より「動揺・消耗」の度合いが強いのが違いです。
Note|heart が「感情の置き場所」になった英語の歴史
take to heart の heart は、文字どおりの心臓ではなく「感情や記憶のしまい場所」として使われています。この発想は、英語の中でとても古くから根づいてきたものです。
英語では heart を「感情・勇気・記憶の中心」とみなす表現が数多くあります。take to heart のほかに、learn by heart(暗記する=心に刻んで覚える)、heartfelt(心からの)、lose heart(気落ちする)、by heart(そらで)など、いずれも heart を「思いや記憶が宿る器」として扱っています。古代から続く、感情を心臓に結びつける見方が、これらの言い回しの土台にあるとされています。一方で、現代では感情や記憶は脳の働きと理解されていますが、言葉の上では今も heart が感情の置き場所として生き続けている点が、英語の面白いところです。
この背景を知っておくと、take to heart が単に「気にする」ではなく、「その言葉を心という器にしまい込む」という、もう一歩踏み込んだイメージで捉えられるようになります。
言葉を心のどこに置くか——その感覚が、このフレーズには詰まっています。
まとめ|チャックの強がりから学ぶ「take to heart」
take to heart は、聞いた言葉や起きた出来事を、軽く流さずに心の奥まで受け止めることを表す表現です。批判を気にしすぎる方向にも、助言を大切にする前向きな方向にも使える幅があります。
この一言を知っていると、落ち込む相手に “Don’t take it to heart.” と声をかけたり、誰かが助言を真剣に受け止めた様子を “took it to heart” と描写したり、心の受け止め方を細やかに言い分けられるようになります。
ブライスの態度を気にしすぎているのは、本当はチャック自身——そんな彼の揺れる心を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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