海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
正式な手続きや記録には残さず、こっそり内々で進めたい――仕事でもプライベートでも、そんな「表沙汰にできない話」を持ちかけられた経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「off the books」、つまり公式記録に残さず非公式に、という意味の表現を、『CHUCK』シーズン4第14話の前半、ベックマン将軍がチームに極秘の任務を切り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「off the books」の意味とニュアンス
off the books
意味:公式記録に残さず、非公式に、帳簿外で
off the books は、正式な記録や帳簿に載せずに、非公式に何かを行うことを表す表現です。the books は「会計帳簿」や「公式の記録」を指し、その off(外)にある――つまり「記録の埒外で処理される」というイメージが核にあります。
もともとは給与や取引を帳簿に記載しない、という会計・労務の文脈でよく使われてきました。現金手渡しで記録を残さない仕事を an off-the-books job と呼ぶのがその典型です。そこから意味が広がり、公式には存在しないことになっている活動全般――諜報の極秘任務、組織が表向き認めない動きなどにも使われるようになりました。
反対に、法や記録にきちんと載っていることは on the books と言います。off the books は「表の記録には残らない」という一点で、後ろ暗さから単なる内々の話まで、幅広い温度で使える表現です。
【ここがポイント!】
- 核は「the books(公式記録)の外」という帳簿外のイメージ
- 給与・取引の未記載から、極秘任務まで幅広く使える一言
- on the books(記録に載っている)と対で覚えるのがコツ
『CHUCK』S04E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
任務のない日々に物足りなさを感じたチャックたちが、「国や将軍のために何かできることはないか」とベックマンに尋ねます。すると彼女は、いつになく歯切れの悪い様子で任務の存在を認めつつ、それが表沙汰にできない性質のものであることを打ち明けます。
Chuck: We were just wondering if there was anything that you or our country needed from us.
(何か、あなたや国のために僕たちにできることはないかと思いまして。)Beckman: Actually, I do have a mission, but it would be off the books. You would have no support, and it would be extremely dangerous.
(実は、任務が一つあるの。ただし記録には残らない。支援は一切なし、しかも極めて危険よ。)Chuck: We’re in.
(やります。)Chuck Season4 Episode14(Chuck Versus the Seduction Impossible)
シーン解説と心理考察
いつもは毅然と任務を下すベックマンが、ここでは言葉を選びながら任務を切り出します。off the books という一言に、「これは正式には命じられない、私的な頼みに近いもの」という後ろめたさがにじんでいるのが見どころです。
支援なし、記録なし、そして極めて危険――条件を並べられてなお即答するチャックたちの反応と、それを言い出すベックマンの逡巡が対照的に描かれています。off the books が単なる「非公式」を超えて、「公にはできない個人的な事情が絡んでいる」ことを暗示しており、この後の物語の伏線として効いていると言えます。フレーズ一つで任務の性質と将軍の心境を同時に伝える、巧みな使い方です。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
分厚い会計帳簿(the books)を思い浮かべてください。すべての正式な取引はそのページの中に記録されます。off the books は、その帳簿を閉じて、ページの「外」でこっそり物事を進める姿です。記録に残るインクの線から、そっと外れたところで動く――そのビジュアルが、この表現の核です。
劇中では、ベックマンが「記録には残らない任務」を off the books と表現していました。あの、帳簿を開かずに内々で頼みごとを切り出す将軍の姿ごと覚えておくと、「公式記録の外で」という意味が語感ごと記憶に残ります。
例文で覚える「off the books」
会計から内緒ごとまで幅広く使えるこの表現を、3つの場面で見てみましょう。
He was paid off the books, so there was no record of his employment.
(彼は記録に残らない形で給料を受け取っていたので、雇用の記録は一切なかった。)
労務の場面です。給与を帳簿に載せない、という最も元来の使い方です。
Let’s keep this deal off the books for now.
(この取引は、今のところ記録に残さないでおこう。)
ビジネスの内々の相談です。表沙汰にせず内密に進めたい、というニュアンスがよく出ています。
A: Can you help me with something? It has to stay quiet.
B: Sure. Completely off the books, I promise.
(A:ちょっと手を貸してくれない? これは内密にしないといけないんだ。)
(B:もちろん。完全に記録に残さない、約束するよ。)
信頼できる相手に頼みごとをする会話です。「一切表に出さない」と請け合う場面で自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
under the table
(こっそり、不正に)
under the table も「隠れて行う」点で近いですが、賄賂や違法な裏取引など、より後ろ暗いニュアンスを帯びやすい表現です。off the books は「記録に残さない」という一点が中心で、必ずしも違法とは限りません。
off the record
(オフレコで、記録に残さないで)
off the record は主に発言について「公式な記録・報道にしないで」という意味で使います。off the books が活動や取引全般を指すのに対し、こちらは「今の話は書かないで」と情報の扱いに焦点がある点で異なります。
behind closed doors
(密室で、非公開で)
behind closed doors は「人目につかない場所で」という物理的・比喩的な密室性を表します。off the books の「記録に残らない」とは角度が違い、公開されない場での決定や交渉を指すときに使われます。
Note|off the books / under the table / off the record ―― 「非公式」を表す3表現の距離感
「非公式に」「内々で」を英語で言おうとすると、off the books のほかにも under the table、off the record といくつも候補が浮かびます。どれも「表に出さない」点は同じですが、隠す場所が微妙に違うことで、合法性やニュアンスがそれぞれ変わってきます。
off the books は「帳簿(the books)の外」。記録に残さないことが中心で、未申告の給与のようにグレーな場合もあれば、極秘任務のように単に公式化されていないだけの場合もあります。under the table は「テーブルの下」。人目を盗んで手渡しする賄賂の像から、違法・不正の色がもっとも濃い表現です。off the record は「記録(the record)の外」。こちらは主に発言に使い、「今の話は報道・議事録にしないで」という、情報公開をめぐる約束を指します。同じ「非公式」でも、帳簿・テーブル・記録という隠れ場所の違いが、後ろ暗さの度合いをきれいに分けているわけです。
こうして並べると、ベックマンが選んだ off the books が「違法ではないが、公にはできない」という絶妙な位置にあることが見えてきます。under the table でも off the record でもない、その中間の非公式さが、あの任務の性質そのものでした。
隠す場所が変われば、非公式さの色も変わる。そう知っておくと使い分けに迷いません。
まとめ|ベックマンの「記録に残らない任務」に学ぶ非公式の伝え方
off the books は、正式な記録や帳簿に載せずに、非公式に何かを行うことを表す表現です。the books(公式記録)の外、という発想が核にあり、給与の未記載から極秘任務まで幅広く使えます。on the books と対で覚えておくと、「記録に載る/載らない」の対比がすっきり整理できます。
この一言を知っておくと、「これは表沙汰にできない話なんだ」という含みを、英語らしい比喩でそのまま伝えられるようになります。内密の相談を切り出すときにも、記録に残らない事情を説明するときにも役立つ表現です。
歯切れ悪く極秘任務を切り出すベックマンの逡巡とセットで、この「非公式に」の一言を、あなたの英語の引き出しに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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