海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
予想もしなかった展開に驚いたとき、あるいは「そうなると思っていた」と納得したとき。出来事を前もって読めていたかどうかを、言葉にしたくなることはありませんか。
そんなときにぴったりの「see it coming」を、『フレンズ』シーズン2第20話の中盤、悲しい映画に打ちのめされたフィービーに、チャンドラーが突っ込むシーンから、一緒に見ていきましょう。
「see it coming」の意味とニュアンス
see it coming
意味:(前もって)予測がつく、そうなると分かる
see it coming は、出来事が起こる前に、その兆候から結末を予期することを表します。近づいてくるものが視界に入っていて、ぶつかる前に身構えられる、というイメージの表現です。
特徴的なのは、否定形で使われる頻度が非常に高い点です。didn’t see it coming(予想もしなかった)は、意外な展開を語る定番の言い回しになっています。映画のどんでん返し、突然の別れ、予期せぬ事件。そうした「まさか」を語るときに繰り返し登場します。
目的語の it は、that や具体的な名詞に置き換えることもできます。saw that coming、never saw it coming のように、指す対象を変えて柔軟に使えます。
【ここがポイント!】
- 核は「近づいてくるものが視界に入っている」、兆候から結末を読む一言
- 否定形 didn’t see it coming(予想外)で使う頻度が特に高い表現
- it は that や名詞に置き換え可能、目的語を差し替えて使えるのがコツ
『フレンズ』S02E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィービーは、祖母が長年ハッピーエンドに差し替えて見せていた映画の「本当の結末」を知り、悲しい現実に打ちのめされています。『打撃王』を観て、主人公が難病になる展開に衝撃を受けた彼女に、チャンドラーが突っ込みます。
Phoebe: I thought I was gonna see a film about Yankee pride, and then, boom, the guy gets Lou Gehrig’s disease.
(ヤンキースの誇りを描いた映画だと思ったら、いきなり主人公がルー・ゲーリッグ病になるのよ。)Chandler: Uh, the guy was Lou Gehrig. Didn’t you kind of see it coming?
(あのさ、その主人公がルー・ゲーリッグ本人なんだけど。なんとなく予想つかなかった?)Friends Season2 Episode20(The One Where Old Yeller Dies)
シーン解説と心理考察
チャンドラーの突っ込みは、この表現の使い方の見本になっています。主人公の名前がその病名の由来になった実在の人物なのだから、結末は兆候から読めたはず。see it coming が「予期できたはず」という意味で、フィービーの無邪気さをやんわり指摘しています。
面白いのは、フィービーが本気で結末を予想していなかった点です。タイトルという大きなヒントが目の前にあったのに、まったく気づかなかった。その素直さが、チャンドラーの理屈っぽい突っ込みと対になって、笑いを生んでいます。
見えていたはずの結末を見逃した人と、それを冷静に指摘する人。二人の温度差が、この短い掛け合いのおかしみを支えています。see it coming という一語が、その落差の要になっています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
遠くの地平線から、こちらへ向かって何かが近づいてくる情景を思い浮かべてみてください。それが「見える(see)」なら、ぶつかる前に身構えられます。see it coming は、まさにその「近づいてくるものが視界に入っている」感覚です。
逆に、真横から突然現れて避けられなかったのが didn’t see it coming。フィービーは、タイトルという地平線に結末がはっきり見えていたのに、まったく気づきませんでした。近づく影が見えるか見えないか。その一点で、肯定形と否定形を覚え分けられます。地平線に現れる点を見つめる視線を思い描けば、この表現の芯が体に残ります。
例文で覚える「see it coming」
see it coming は、予測の可否を語る場面で活躍します。肯定形と否定形、3つの使い方を見ていきましょう。
They broke up? I totally saw it coming.
(あの二人別れたの? 完全に予想してたよ。)
人間関係の噂を語る場面です。saw it coming と過去形にして、「予想通りだった」と振り返る基本の形になります。
The twist at the end—I didn’t see it coming at all.
(ラストのどんでん返し、まったく予想できなかった。)
映画や小説の感想を語る場面です。didn’t see it coming は、意外な展開を語る最頻出のパターンになります。
A: She quit without notice. B: Honestly, I saw that coming.
(A:彼女、予告もなく辞めたの。 B:正直、それは読めてたよ。)
予期していた結末を語る会話です。it を that に置き換えると、特定の出来事を名指しした口語的な響きになります。
あわせて覚えたい関連表現
out of the blue
(突然、思いがけなく)
出来事の予兆のなさ、唐突さそのものを表す副詞句です。see it coming が予測の可否を語るのに対し、out of the blue は状況が前触れなく起きたことを描写します。
catch someone off guard
(不意をつく)
didn’t see it coming の「予測できなかった」を、仕掛ける側から見た表現です。see it coming が予期する側の視点なのに対し、こちらは驚かせる側の視点に立ちます。
have a feeling
(そんな気がする)
結末を漠然と予感していたことを表します。see it coming が「兆候から読めた」という理屈を含むのに対し、have a feeling は根拠のない直感のニュアンスが強くなります。
Note|否定形 didn’t see it coming が主役の表現
see it coming という表現の面白さは、肯定形よりも否定形のほうが圧倒的によく使われる点にあります。didn’t see it coming、never saw it coming。この「予想もしなかった」という形が、実際の会話では主役を張っています。
理由は、この表現が語られる場面にあります。人が結末について口にするのは、たいてい「予想外だった」ときです。予想通りの出来事は、わざわざ言葉にする動機が薄い。ところが意外な展開に出くわすと、人は「まさかこうなるとは」と語りたくなります。だから、映画のどんでん返し、突然の別れ、予期せぬ事件を語る場面で、didn’t see it coming が繰り返し現れます。映画レビューでは、ネタバレを避けつつ「意外性」を伝える便利な決まり文句として定着しています。逆に肯定形の saw it coming は、「そうなると思っていた」という、少し得意げな、あるいは諦めのこもった振り返りに使われます。同じ表現が、否定と肯定で語り手の立ち位置を変えるのです。
このシーンでチャンドラーが使ったのは、疑問形の Didn’t you see it coming? でした。「予想できたはずでしょう」と、否定疑問で相手に問い返す形です。フィービーが結末を読めなかったことを前提に、その素直さを突く。否定形の守備範囲の広さが、この一言によく表れています。
予想できたか、できなかったか。その一点を語るために、この表現は今日も会話の中で働いています。
まとめ|見えていた結末を見逃した人へ
see it coming は、出来事の兆候から結末を予期することを表す表現です。近づいてくるものが視界に入っているか、というイメージを思えば、否定形が「予想外」を表す理由も見えてきます。
肯定形と否定形の使い分けを意識できるようになると、予測の可否を的確に伝えられるようになります。読めていたのか、まさかだったのか。語り手の立ち位置ごと表せます。
タイトルに答えが見えていたのに気づかなかったフィービーと、それを冷静に突いたチャンドラーの掛け合いを思い出しながら、see it coming を表現の引き出しに加えてみてください。


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