海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
漠然とではなく、頭の中にもうはっきりした計画がある。それを口に出す前に、心の中で思い描いていた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
そんなときにぴったりの「have in mind」を、『フレンズ』シーズン2第23話の中盤、久しぶりに再会した恋人フィービーに、ライアンが計画していたことを打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「have in mind」の意味とニュアンス
have in mind
意味:(具体的に)考えている、心づもりがある
漠然と考えるのではなく、特定の案やイメージがすでに頭の中にある状態を表します。単に think about が「これから考える、ぼんやり考える」なら、have in mind は「もう具体的な絵が頭に置いてある」感覚です。
便利なのは、中身を明言せずに「思い描いていた」ことだけを伝えられる点です。何を計画していたか言わなくても、have in mind の一語で「はっきりしたイメージがあった」ことが伝わります。ほのめかしや含みを持たせたいときに向いています。
What do you have in mind?(何か具体的な案は?)のように、相手の心づもりを問う定型でも頻出します。この形は、漠然とした提案を一歩具体化させる、会話のギアチェンジの役割を果たします。
【ここがポイント!】
- 核は「頭の中にもう具体的な絵が置いてある」という一言
- 中身を言わずに「思い描いていた」ことだけ伝えられる表現
- What do you have in mind? で相手の心づもりを引き出せるのがコツ
『フレンズ』S02E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
久しぶりに再会したフィービーとライアン。ところがフィービーは水疱瘡にかかっていて、二人は触れ合うことができません。顔を見せることをためらっていたフィービーが意を決したあと、ライアンが、計画していたことは、もっと近づかないとできないものばかりだったと嘆く場面です。
Phoebe: Alright, okay, alright, you can see. This is me.
(わかった、いいわよ、見て。これが今の私)Ryan: I had the most amazing two weeks planned for us. And almost everything I had in mind we had to be a lot closer than this.
(最高の2週間を計画してたんだ。それに、僕が考えてたことのほとんどは、こんな距離じゃ無理なやつなんだ)Phoebe: Okay, this is the most romantic disease I’ve ever had.
(まあ、これって私がかかった中で一番ロマンチックな病気ね)Friends Season2 Episode23(The One With the Chicken Pox)
シーン解説と心理考察
ライアンの台詞では、have in mind が絶妙な役割を果たしています。彼は具体的に何を計画していたかを口にしません。それでも had in mind の一語で、彼の頭の中にはっきりしたイメージがあったことが伝わってきます。言葉にしにくい心づもりを、婉曲にほのめかす働きです。
中身をぼかしているぶん、聞き手の想像に委ねられる余白が生まれています。フィービーが「一番ロマンチックな病気」と返すことで、二人が同じ絵を思い描いていたことも、それとなく示されます。
この場面が印象的なのは、物語のラストで呼応が用意されているからです。終盤、フィービーが同じ have in mind を使ってライアンに応える瞬間があり、冒頭の心づもりが最後に噛み合います。言葉にしなかったイメージが、二人のあいだで静かに重なる構成が見どころです。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
have in mind は、頭の中にすでに一枚の設計図やスケッチが置いてある様子を思い浮かべると覚えやすくなります。think about が「これから考える」なら、have in mind は「もう具体的な絵が頭の引き出しに入っている」状態です。
ライアンの頭の中には、2週間の詳細な計画の絵がありました。それを口に出さずに、had in mind の一語で示した。そしてラストで、フィービーが同じ絵を差し出します。二枚の設計図が最後に重なる。この情景ごと覚えておくと、have in mind が持つ「具体的な心づもり」の感覚が身につきます。
例文で覚える「have in mind」
have in mind は、具体的な心づもりを示したり、相手のそれを尋ねたりする場面で活躍します。3つの使い方を見ていきましょう。
What kind of restaurant did you have in mind?
(どんなお店を考えてたの?)
相手の具体的な希望を尋ねる場面です。過去形にすると、すでに頭にあった案を引き出す形になります。
Do you have a particular candidate in mind for this role?
(この役職に、具体的に念頭にある候補者はいますか?)
採用や人選の打ち合わせの場面です。particular を添えると、具体性がいっそう強調されます。
A: Let’s redecorate the living room.
B: Great — what did you have in mind?
(A:リビングを模様替えしよう)
(B:いいね、どんなイメージ?)
相手の構想を引き出す会話です。漠然とした提案を、具体的な話へと進めるギアチェンジの役割を果たします。
あわせて覚えたい関連表現
think of
(思いつく、考える)
think of は「思い浮かべる、思いつく」という行為を指します。have in mind が「すでに具体案を保持している」状態を表すのに対し、こちらは案の輪郭がまだ定まっていない段階でも使えます。
picture (something)
(思い描く、イメージする)
picture は視覚的にありありと想像するニュアンスを持ちます。have in mind が案の有無や内容に焦点を置くのに対し、こちらは頭の中に映像を結ぶ感覚が強い表現です。
plan on
(〜するつもりだ)
plan on は実行の意図が強い表現です。have in mind が「案として頭にある」段階にとどまるのに対し、こちらは実際にそうするつもりだという決意を含みます。
Note|mind を「入れ物」として捉える英語の発想
ライアンが口にした have in mind を直訳すると、「心(mind)の中に持っている(have)」となります。この言い方の背景には、心を一種の容器とみなす英語の発想があります。
英語には、mind を物を出し入れする入れ物のように扱う句が数多くあります。have in mind(心の中に持っている=考えている)、keep in mind(心の中に留めておく=覚えておく)、bear in mind(心の中に抱える=心に留める)。いずれも、mind という器の中に何かを入れたり、留めておいたりする動作として表現されています。call to mind(思い出す)や slip one’s mind(うっかり忘れる)まで含めると、この「容器としての心」という発想が、英語の広い範囲に行き渡っていることが見えてきます。
日本語でも「心に留める」「頭に入れる」といった言い方はあります。ただ英語の場合、in mind という前置詞句が定型として非常に多くの動詞と結びつき、心を空間として扱う感覚がより体系的に現れます。考えは心の中に「置かれ」、記憶は心の中に「留められ」、忘却は心から「滑り落ちる」。心が容器であるという一つの発想が、これだけ多くの表現を束ねているのです。
have in mind を使うとき、話し手は自分の心の引き出しから、すでにそこにある案を取り出そうとしています。ライアンの頭の引き出しにあった計画の絵も、まさにその一つでした。
まとめ|言葉にしなかった心づもり
have in mind は、漠然とではなく具体的な案が頭にある状態を表す表現です。心を容器とみなす英語の発想に支えられ、「頭の中に置いてある案」を示します。中身を言わずに、思い描いていたことだけを伝えられるのが持ち味です。
相手の具体的な希望を尋ねる What do you have in mind? から、自分の心づもりをほのめかす使い方まで、幅広く応用できます。ライアンとフィービーのように、言葉にしなかったイメージが、いつか誰かと重なる瞬間もあるかもしれません。
頭の中にもう絵があるのに、まだ言葉にできないとき。have in mind を思い出してみてください。表現の引き出しに加えてみてください。


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