「make up with」の意味と使い方|『フレンズ』S03E16で学ぶ英会話

「make up with」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

ケンカをしたまま何日も口をきいていない相手がいて、「そろそろ仲直りしたいけれど、どう切り出せばいいんだろう」と迷った経験はありませんか。謝るほどでもない、でもこのままにもしておけない。そんな宙ぶらりんの時間は、誰にでも訪れます。

そんなときに使える「make up with」を、『フレンズ』シーズン3第16話の序盤、深刻な打ち明け話を聞かされたジョーイとチャンドラーが思わず本音をこぼすシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「make up with」の意味とニュアンス

make up with
意味:〜と仲直りする

ケンカや言い争いのあとで、こじれた関係を元の状態に戻すことを表す句動詞です。仲直りする相手は with のあとに置きます。恋人同士でも、友人でも、家族や同僚でも使える、間口の広い日常表現です。

この make up は「作り上げる」ではなく、「壊れていたものを組み直して、元の形に戻す」という感覚に近いものです。関係そのものを一度バラバラになったパーツとして捉え、それを組み立て直すイメージが根にあります。だからこそ、一度も壊れていない関係については使いません。あくまで「揉めたあと」が前提の表現です。

相手が文脈から明らかな場合は、with を省いて make up だけでも成立します。二人が言い争ったあとに Let’s make up. と言えば、それだけで「もう仲直りしよう」という意味になります。逆に、相手をはっきり示したいときには with を添える、という使い分けになります。

なお、同じ make up でも後ろに続く形が変わると意味が大きく変わります。この点は記事の後半でまとめて整理します。

【ここがポイント!】

  • 核は「壊れた関係を組み直す」イメージ。揉めたあとにしか使えない一言
  • 仲直りの相手は with のあと。相手が明らかなら with を省いて make up だけでもOK
  • 深刻な謝罪から軽い仲直りまで幅広くカバーする、温度の調整がきく表現

『フレンズ』S03E16のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

レイチェルとの関係がこじれていたロスが、前の晩に自分がしてしまったことを、ジョーイとチャンドラーの部屋で打ち明けた直後の場面です。二人はロスが姿を消していた理由をまるで別のものだと思っており、その思い込みのままジョーイが口を開きます。「てっきり仲直りしに行ったんだと思ってた」という一言が、事態の深刻さを逆に浮かび上がらせます。

Joey: We figured when we couldn’t find you, you’d gone to make up with Rachel. Which is probably what you should have done, huh?
(お前が見つからなかったからさ、てっきりレイチェルと仲直りしに行ったんだと思ってたよ。まあ、そうしとくべきだったよな?)

Ross: You think? God, I’m in hell. I mean, what am I gonna do?
(だろ? ああ、地獄だよ。どうすればいいんだ?)

Chandler: First, we should address the more important question: how dumb are you?
(その前に、もっと大事な問題を片付けようか。お前、どれだけバカなんだ?)

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シーン解説と心理考察

ジョーイの一言は、ロスを責める意図から出たものではありません。純粋に「見つからなかったから、そう思っていた」という報告です。しかし、その素朴さこそが、ロスにとっては最も痛い刃になっています。本来あるべきだった選択肢を、悪意なく目の前に置かれる残酷さがこの一言ににじむ場面です。

Which is probably what you should have done と続けたところで、ジョーイ自身も事の重さに気づき始めています。語尾の huh? に、確認というより気まずさをやわらげようとする気配が表れています。

受けるロスの You think? は、反論ではなく完全な同意です。皮肉の形を借りた自嘲であり、言われるまでもなく本人が一番わかっている、という諦めが会話の温度を変えています。そこへチャンドラーが how dumb are you? と切り込むことで、深刻な空気が一度だけ笑いへ逃がされます。重い話題を茶化して受け止めるのが、この三人の距離感だと言えます。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

make up with は、割れた皿を二人で拾い集めて、破片を一つずつ組み直していく動作でイメージすると定着します。皿を割ったのはケンカ、拾い上げて形を戻す作業が make up、そして向かい側でいっしょに破片を持っている相手が with のあとに来る人です。

このシーンでは、ジョーイが「本来はその皿を拾いに行くはずだったんだよな」と口にしています。拾いに行かなかった結果、破片はさらに増えてしまった。組み直す作業を後回しにするほど、拾うべき破片が増えていくという構図ごと覚えてしまうと、この句動詞は忘れにくくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「make up with」

仲直りは、切り出す側にもタイミングがあります。3つの例文で、この表現が会話のどのあたりに置かれるのか、そして誰を with のあとに連れてくるのかを見ていきましょう。

I finally made up with my sister after our big fight.
(大ゲンカのあと、やっと姉と仲直りした。)
しばらく気まずかった家族との関係が、ようやく元に戻ったときの一言です。finally があることで、そこに至るまでに流れた時間の長さと、切り出せずにいた気まずさがまとめてにじみます。

It took months, but they eventually made up with each other.
(何か月もかかったけれど、二人は結局仲直りした。)
こじれた友人同士の関係を、周りから見守っていた人が振り返る場面です。make up with each other とすると、どちらか一方が折れたのではなく、双方が歩み寄ったことが伝わります。

A: Have you made up with Tom yet?
B: Not yet. I’m still figuring out how to start the conversation.
(A:トムとはもう仲直りしたの?)
(B:まだ。どう切り出すか考えてるところ。)
友人の近況をそっと尋ねるカジュアルな会話です。現在完了の have you made up with 〜 yet? は「もう済ませた?」と進み具合を聞く形で、仲直りの話題では定番の切り出し方になります。

あわせて覚えたい関連表現

patch things up
(関係を修復する)
ほころびた布を継ぎ当てするイメージの表現です。make up with とほぼ同じ場面で使えますが、こちらは「完全に元通り」というより「とりあえず繕った」という含みが少し残ります。

kiss and make up
(わだかまりを水に流して仲直りする)
make up を含んだ決まり文句で、「もういいから仲直りしなよ」と軽く促すときに使われます。実際にキスをする必要はなく、make up with よりくだけた、からかい混じりの響きになります。

bury the hatchet
(和解する、矛を収める)
手斧を土に埋めて戦いを終える、という比喩から来た表現です。make up with が日常のケンカにも使えるのに対し、こちらは長く続いた対立に区切りをつける、重みのある和解に向いています。

Note|make up 三兄弟の見分け方

英語学習者が句動詞でつまずく場面の代表格が、この make up です。同じ二語なのに、後ろに何が続くかで意味がまったく別物になります。ジョーイの一言を正確に読むためにも、ここで一度整理しておきましょう。

見分ける鍵は、make up の直後に「人が来るか、物事が来るか、それとも前置詞が挟まるか」の一点です。

まず、make up with + 人。これが今回の「〜と仲直りする」です。with のあとに来るのは、揉めた相手です。I made up with Rachel. なら「レイチェルと仲直りした」となります。

次に、make up for + 物事。こちらは「〜の埋め合わせをする」です。for のあとに来るのは、相手ではなく、埋め合わせるべき失敗や不足です。I made up for my mistake. なら「自分のミスを埋め合わせた」で、仲直りの意味はありません。

そして、make + 物事 + up、あるいは make up + 物事。これは「〜をでっち上げる、作り話をする」です。He made up an excuse. なら「彼は言い訳をでっち上げた」となります。関係を組み直すのではなく、事実でないものをゼロから組み立てる、という方向に意味が振れています。

このほか、化粧を意味する makeup が名詞形として存在するのも、同じ「組み立てる」感覚が別の方向に育った結果です。

三つを並べると、共通しているのは「何かを組み立てる」という動作で、違いは「何を組み立てるか」だけだとわかります。関係を組み直せば仲直り、失われた分を組み直せば埋め合わせ、事実でないものを組み立てればでっち上げ。ジョーイのセリフを for に置き換えれば意味が通らなくなることからも、with が「相手」を連れてくる目印になっているのが見えてきます。

後ろに何が続くかを見る。それだけで、この三兄弟は迷わず見分けられます。

まとめ|ジョーイの一言が刺さる理由

make up with は、壊れた関係を相手と一緒に組み直す表現です。揉めたあとにしか使えないという前提があるからこそ、この一言が出てくる場面には必ず、その前の時間が積み重なっています。

仲直りを切り出すのは、どの言語でも気後れするものです。それでも、have you made up with 〜 yet? と誰かに聞かれることで、先延ばしにしていた一歩を思い出すことがあります。この表現を知っていると、自分の関係修復についても、友人のそれについても、責める調子を混ぜずにやわらかく話題にできるようになります。仲直りしたかどうかを尋ねる形は、相手を追い立てずに近況を確かめる、便利な間合いでもあります。

ケンカのあとの気まずい時間を動かす一言として、表現の引き出しに加えてみてください。

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