海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『BONES』シーズン10エピソード18のセリフから、「give up on」という表現を取り上げます。
日常の人間関係にも深く関わる言葉なので、ニュアンスをしっかり押さえておきたいですね。
実際にそのシーンを見てみよう!
死刑執行まで48時間を切った死刑囚アレックス・ロックウェルが、刑務所の独房に収監されているシーンです。
看守が最後の面会の手続きについて声をかけますが、ロックウェルは静かに、しかし重くその孤独を打ち明けます。
Guard: Final 48 hours are approaching. Means you get one visit with your family and a priest, but… you got to fill out this form first.
(最後の48時間が近づいている。家族と神父に、それぞれ1回ずつ面会できるぞ。まずはこの用紙に記入してくれ。)Rockwell: I know the rules. I have no family and no priest.
(ルールは知ってる。私には家族も神父もいない。)Rockwell: They gave up on me a long time ago.
(彼らはとうの昔に私を見捨てたんだ。)Guard: Listen. The warden can assign you a chaplain if you want one…
(刑務所付きの神父に来てもらうこともできるが…)BONES Season10 Episode18(The Verdict in the Victims)
シーン解説と心理考察
48時間という極限のカウントダウンの中で、ロックウェルが語るのは恨みでも叫びでもなく、静かな諦めです。
「ルールは知っている」という言葉には、長い収監生活で感情を殺してきた人間の凄みがあります。
そして「they gave up on me a long time ago」というセリフには、家族や神父がかつて彼を信じようとしていたこと、そしてその努力がついえた過去が凝縮されています。
もし単に「They left me.(彼らは去った)」と言えば、物理的な離別にとどまります。
しかし「gave up on」という言葉を選んだことで、何度も期待と失望を繰り返したあげくの「見切り」という経緯が浮かび上がります。
感情を抑えた静かなセリフだからこそ、その奥にある孤独の深さが胸に刺さる場面ですね。
「give up on」の意味とニュアンス
give up on
意味:〜を見捨てる、〜への期待を諦める、〜に見切りをつける
「give up」単体では「諦める・やめる」という意味ですが、後ろに「on」を付けて対象を明確にすることで、「その人や物事への期待・希望を完全に手放す」というニュアンスが加わります。
特に人を対象にした場合は、信じ続けてきたけれどもう無理だと判断する、重く悲しい含みを持つことが多い表現です。
【ここがポイント!】
「give up on」の「on」は「接触・圧力・負担」という英語独特の感覚を持っています。
“He cheated on me.”(浮気された)、”She told on me.”(告げ口された)のように、相手の行為が自分への不利益としてのしかかってくる時に「on」が選ばれます。
「give up(諦める)という重りが、対象の上に(on)圧しかかったまま残される」というイメージが、このフレーズの持つ孤独感と決別の重さを作り出しています。
実際に使ってみよう!
Please don’t give up on me. I promise I will change.
(私のことを見捨てないで。変わるって約束するから。)
相手に見限られそうな時に引き留める、切実な表現です。人間関係の修復を願う場面でよく使われます。
The doctors gave up on him, but he miraculously recovered.
(医師たちは彼を諦めていましたが、奇跡的に回復しました。)
医療の場面でも使える表現です。「回復の見込みがないと判断する」というニュアンスで、医療ドラマにも頻繁に登場します。
I finally gave up on that old car and bought a new one.
(あの古い車はとうとう見切りをつけて、新しいものを買いました。)
物に対しても使えます。何度も修理して大事にしてきたけれど、これ以上は難しいと判断した時の自然な表現です。
『BONES』流・覚え方のコツ
薄暗い刑務所で、ロックウェルが力なく「They gave up on me」と告げる姿を思い浮かべてください。
家族や神父が背を向けて立ち去り、「見捨てられた」という見えない重り(gave up)が彼の上に(on)ドスンとのしかかったまま残される映像をイメージしましょう。
「去った人たちではなく、残された側に重さが乗り続ける」——その感覚とセットにすることで、フレーズが持つ孤独感がしっかりと記憶に定着します。
似た表現・関連表現
abandon
(見捨てる、放棄する)
give up on が「期待を捨てる」という心理的な見切りを含むのに対し、abandon は物理的に置き去りにしたり、責任を完全に放棄したりする、より直接的で強い響きを持ちます。
lose hope in
(〜への希望を失う)
give up on と近い意味ですが、行動として「見切りをつける」よりも、心の中の「希望の光が消えていく」という内側の状態そのものに焦点を当てた表現です。
walk out on
(〜を見捨てて立ち去る)
パートナーや家族など、本来責任を持つべき相手のもとから突然離れていく、という実際の行動を伴う強い拒絶を表す際によく使われます。
深掘り知識:「不利益」を運ぶ前置詞「on」の働き
学校では「〜の上に」と習う前置詞「on」ですが、ネイティブの感覚では「接触・圧力・負担」という意味合いが強く出ることがあります。
今回の give up on もその一例で、「諦めがその人に重くのしかかる」というイメージです。
このパターンは他にも見られます。”He cheated on me.”(浮気された)、”She told on me.”(告げ口された)、”He hung up on me.”(電話をガチャンと切られた)。
どれも、相手の行為が自分への「負担・不利益」としてのしかかってくる感覚が共通しています。
前置詞のこうした側面を理解すると、熟語を丸暗記しなくても言葉の意味を論理的に推測できるようになります。
まとめ|言葉の奥にある孤独と決別
今回は、ロックウェルが48時間前の独房で静かに打ち明けた一言から「give up on」の意味と使い方を見てきました。
単なる「諦める」を超えて、人と人の間にあった期待や信頼、そしてその喪失までを一言で表現できる、奥深いフレーズです。
「誰かを信じ続けたけれど、もう無理だと判断した」その心の重さを、このフレーズはすくい取っています。
科学的証拠しか信じないブレナンでさえ揺らいだこのエピソードは、「信じる」とはどういうことかを問い続ける話でもありました。
give up on の反対側にあるものが何かを考えながら、ドラマを見返してみてください。

