「get over」の意味と使い方|『CHUCK』S02E06で学ぶ英会話

「get over」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

何年も前に終わったはずの恋や失敗を、ふとした瞬間に思い出して、まだ心のどこかで引きずっている——そんな経験はありませんか。

そんな心の状態にぴったりの「get over」を、『CHUCK』シーズン2第6話の冒頭、5年前の失恋をいまだに忘れられないチャックが、姉エリーにたしなめられるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「get over」の意味とニュアンス

get over
意味:(失恋・つらい経験などを)乗り越える、忘れる、立ち直る

over はもともと「〜を越えて」という空間的な意味を持つ語です。get(到達する)と組み合わさることで、「障害を越えた状態に達する」、つまり「乗り越える」という発想が生まれます。

実際の会話では、失恋・別れ・喪失といった感情的なダメージから立ち直る文脈で非常によく使われます。「もう忘れて前を向く」「ショックから回復する」というニュアンスで、つらい過去を過去のものにして気持ちを切り替える場面で活躍します。

風邪などの軽い病気から「回復する」という意味でも使われ、I’m still getting over the flu(まだ風邪が抜けきらない)のように体調の文脈にも広がります。命令形の get over it は「もういいかげん忘れろ」という決まり文句として定着しています。

【ここがポイント!】

  • 「get over」の核は、目の前の壁を越えて向こう側へ歩き出すイメージ
  • 失恋・苦境・病気まで、幅広い「乗り越える」をカバーする表現
  • get over it は励ましにも突き放しにもなる、トーン次第の一言

『CHUCK』S02E06のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

スタンフォードを追われ、恋人のジルにも去られた過去を、チャックは5年経ってもまだ引きずっています。見かねた姉エリーと親友モーガンが、いいかげん前に進むよう促す場面。エリーの一言に、チャックが投げやりに返します。

Ellie: Stanford was five years ago. You need to move on.
(スタンフォードはもう5年も前のことよ。そろそろ前に進まなきゃ)

Chuck: Fine, I’ll get over Jill tomorrow.
(わかったよ、明日にはジルのこと忘れるから)

Chuck Season2 Episode6(Chuck Versus the Ex)

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シーン解説と心理考察

エリーの「move on(前に進め)」に対して、チャックが「明日には get over する」と返すやり取りには、彼の本音が透けて見えます。「明日には忘れる」という言葉は、裏を返せば「今日はまだ忘れられていない」という告白にほかなりません。

軽口めかして返してはいるものの、5年間断ち切れずにいる未練の深さがこの一言ににじむ場面です。姉として弟を気づかうエリーの距離感と、それをかわそうとするチャックの照れが、短いやり取りの中に表れています。

この未練は物語の引き金でもあります。のちにジルと再会したチャックが I knew that I hadn’t gotten over you yet(まだ君を忘れられていなかったんだ)と本心を打ち明ける展開へとつながっていきます。冒頭の get over が、エピソード全体の伏線として響いていると言えます。

『CHUCK』流・覚え方のコツ

道の真ん中に大きな壁が立ちふさがっている様子を思い浮かべてみましょう。その壁は、つらい過去や失恋そのものです。壁を「越えて(over)」向こう側へ歩き出せば、もう壁は背中の後ろにある——これが get over の「乗り越える・吹っ切る」のイメージです。

チャックは、ジルという壁をまだ越えられずに立ち止まっています。だからこそ「明日には越える」という言葉が、まだ越えられていない今の彼を逆に映し出しているのです。壁を越えた先に新しい一歩がある絵で覚えておくと、感情・病気・苦手なことなど、幅広い「乗り越える」に応用できます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「get over」

失恋から病気まで、何かを「乗り越えて前に進む」場面で使えるのが get over です。3つの例文で使い方の幅を見ていきましょう。

It took me months to get over the breakup.
(その別れを乗り越えるのに、何ヶ月もかかった)
友人に過去の恋愛を打ち明けるような場面です。失恋から立ち直るまでの時間の長さを率直に伝える、get over の最も典型的な使い方です。

I’m still trying to get over this cold.
(まだこの風邪を治しきれていないんだ)
体調を尋ねられて近況を返すような場面です。感情だけでなく、病気から「回復する」という意味でも自然に使えることがわかります。

A: You still think about your ex?
B: No, I’m completely over it. I got over her a long time ago.
(A:まだ元カノのこと考えてるの?)
(B:いや、もう完全に吹っ切れてるよ。とっくに忘れたさ)
友人同士の軽い会話です。be over it(吹っ切れている)と get over(乗り越えた)を組み合わせると、立ち直った状態を自然に表現できます。

あわせて覚えたい関連表現

move on
(前に進む、次に進む)
get over が「特定のダメージから回復する」ことに焦点を当てるのに対し、move on は「過去を後にして次の段階へ進む」前進のニュアンスです。劇中でもエリーが move on、チャックが get over と対で使っています。

come to terms with
(受け入れる、折り合いをつける)
get over が「乗り越えて忘れる」のに対し、こちらは「忘れるのではなく受け入れて折り合う」表現です。完全には消えない喪失や現実に向き合うときに使われ、ややフォーマルな響きがあります。

put something behind one
(〜を過去のものにする、水に流す)
get over と意味は近いものの、こちらは「意識的に過去として後ろに置く」という能動的なニュアンスを持ちます。get over がより自然な回復の過程を表すのに対し、決意のこもった表現です。

Note|get over / move on / get past の使い分け

「乗り越える」を表す英語表現は一つではありません。今回の get over に加えて、move on と get past も近い意味を持ちますが、それぞれ視点が少し違います。

get over は「ダメージからの回復」に焦点があります。傷ついた状態から立ち直り、痛みが癒えていく過程を表します。一方 move on は「次へ進む前進」を表し、過去そのものより、その先に踏み出す動きに重心があります。get past は「障害を通り過ぎる」イメージで、目の前の困難をくぐり抜けて先へ行くニュアンスです。失恋を例にすると、傷が癒える段階が get over、新しい生活へ歩き出す段階が move on、相手のことが気にならなくなって通り過ぎる段階が get past、と並べて整理できます。

劇中のチャックは、まだ get over の段階にすら届いていません。だからこそエリーが先回りして move on を促しているのです。3つの距離感を知っておくと、自分の気持ちがどの段階にあるのかを英語で言い分けられるようになります。

立ち直り、前へ進み、やがて通り過ぎる。心の回復には段階があるのですね。

まとめ|チャックの「明日には忘れる」が教えてくれること

get over は、つらい過去や失恋という壁を越えて、その先へ歩き出すことを表す句動詞です。感情のダメージから病気の回復まで、幅広い「乗り越える」をひとことでカバーします。

この表現を知っておくと、「もう立ち直ったよ」「まだ引きずっている」といった心の状態を、自然な英語で伝えられるようになります。日常会話でも頻出する、覚えておいて損のない一語です。

チャックの「明日には忘れる」という軽口の裏に、まだ越えられていない壁が見え隠れしていました。あなたの会話の引き出しにも、この get over を加えてみてください。

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