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準備に抜かりがなく、細かいところまで何ひとつ見逃さない——そんな抜け目のない人を前に、思わず感心してしまった経験はありませんか。
そんな「抜かりのなさ」を映す「miss a trick」を、『CHUCK』シーズン3第11話の中盤、試験官役にまわったサラがチャックの張り込み準備を確かめるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「miss a trick」の意味とニュアンス
miss a trick
意味:(主に否定形で)抜かりがある、好機を逃す
「trick」はここで「ひと手・好機・うまい手」を指し、「miss a trick」で「打つべき一手を逃す」という意味になります。実際の会話では、否定形の「not miss a trick(何ひとつ見逃さない、抜け目がない)」の形で使われることが圧倒的に多い表現です。
ポイントは、この表現がほぼ否定文専用だという点にあります。「彼は抜け目がない」と言いたいときに「He doesn’t miss a trick.」のように使い、肯定形で「彼は好機を逃した」と単独で使う例はまれです。
観察力の鋭さ、準備の周到さ、商機を逃さない目ざとさなど、「細部まで抜かりなく押さえている」さまを褒める場面で活躍します。ビジネスの文脈でも、抜け目のなさを評価する言い回しとして頻繁に登場します。
【ここがポイント!】
- 「miss a trick」の核は、打つべき一手・好機を取りこぼすイメージ
- ほぼ否定形「not miss a trick(抜け目がない)」で使うのがコツ
- 観察力・準備の周到さ・目ざとさを褒める一言
『CHUCK』S03E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ソロのスパイテストに臨むチャックを、サラは「観察し記録する」試験官の立場で見守ります。張り込みの準備をひととおり終えたチャックに、サラは段取りに抜かりがないことを認める言葉をかけます。すると直後、チャックは「ジャジャーン!」とシャンパンを取り出し、過剰な演出で場を和ませます。
Sarah: Everything looks good. It doesn’t seem like you’ve missed a trick.
(準備は完璧みたいね。抜かりはなさそう。)Chuck: There is one more thing, though. Ta-da! No one throws a stakeout like Chuck Bartowski.
(でも、もうひとつあるんだ。ジャジャーン! 張り込みにかけちゃ、このチャック・バートウスキーの右に出る者はいないよ。)
シーン解説と心理考察
試験官として一歩引いた立場をとりながら、サラの内心にあるチャックへの信頼がにじむ場面です。「抜かりはなさそう」という評価は、観察役に徹しようとする彼女が思わずこぼした、率直な称賛として響きます。
その言葉を受けたチャックが、すかさずシャンパンを取り出して「ジャジャーン!」と演出するあたりに、彼らしいサービス精神が表れています。最後の任務を少しでもロマンチックにしたい——そんな思いが、過剰なまでの段取りの良さに重なっています。
サラの「miss a trick」という抜け目なさを認める一言が、二人の関係の温度をやわらかく見せています。観察し記録するだけのはずが、つい本音の評価が口をついて出る。その小さなほころびに、彼女がまだチャックに向けている気持ちがにじむ場面です。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
トランプのゲームで、配られた手札を一枚も無駄にせず、取れる札はすべて確実に取っていく——そんな抜け目のないプレイヤーの姿を思い描いてください。ひと勝負(trick)も逃さない。その「取りこぼしのなさ」が「miss a trick」のイメージです。
サラが「抜かりはなさそう」と言ったのも、チャックが準備のひと手も取りこぼしていない、という意味でした。手札を一枚も逃さないカードプレイヤーの像と、否定形で使うことが多いという特徴を重ねれば、このフレーズが記憶に残りやすくなります。
例文で覚える「miss a trick」
否定形「not miss a trick」で「抜け目がない」と使うのが定番です。場面の違う3つの例文で、フレーズの幅を体感してみましょう。
Our new manager doesn’t miss a trick — she notices everything.
(うちの新しい上司は抜け目がない、何でも気づくのよ。)
人の鋭さを褒める、最も典型的な使い方です。細かいことまで見逃さない観察力を、感心とともに伝えています。
The kids thought they could sneak out, but Grandma never misses a trick.
(子どもたちはこっそり抜け出せると思ったが、おばあちゃんはお見通しだった。)
目ざとさを語る家庭的な場面です。「何ひとつ見逃さない」というニュアンスが、温かみのある形で表れています。
A: How did the competitor launch the same feature so fast?
B: They watch the market closely. They don’t miss a trick.
(A:競合はどうしてあんなに早く同じ機能を出せたんだ?)
(B:市場をよく見てるのさ。あいつらは抜け目がない。)
ビジネスで相手の目ざとさを語り合う会話です。商機を逃さない周到さを、評価のニュアンスとともに伝えられます。
あわせて覚えたい関連表現
not miss a beat
(よどみなく対応する、動じない)
「miss a trick」と形は似ていますが、こちらは「リズムを外さない」イメージで、会話や動作のなめらかさ・冷静さを表します。「trick」が「好機・利」を指すのに対し、「beat」は「流れ・調子」を指す点が違いです。
on the ball
(有能で抜け目がない、しっかりしている)
仕事や状況に機敏に対応できることを表します。「not miss a trick」と近い褒め言葉ですが、こちらは「ボールから目を離さない」スポーツ由来のイメージを持ちます。
sharp
(鋭い、目ざとい)
頭の回転や観察力の鋭さを一語で表す形容詞です。「miss a trick」が「抜かりのなさ」という行動の結果に焦点を当てるのに対し、こちらは資質そのものを指します。
Note|「トリック」はなぜ「抜け目なさ」になったのか
「miss a trick」の「trick」は、手品やいたずらの「トリック」とは少し違う顔を持っています。この表現の出どころをたどると、カードゲームの卓に行き当たります。
「trick」はトランプのゲームで、各プレイヤーが一枚ずつ出した札のまとまり、つまり「一巡分の取り札」を指す言葉として古くから使われてきました。ブリッジやホイストといったゲームでは、この trick をいくつ取れるかが勝敗を分けます。腕のいいプレイヤーは、取れるはずの trick をひとつも逃しません。逆に、油断して取り損ねることが「miss a trick」でした。この「取れるはずの一手を取りこぼす」というカードゲームの感覚が、やがて日常へと広がり、「好機やうまい手を逃す」という比喩になります。そして興味深いのは、この表現が肯定形よりも否定形で定着したことです。「あの人は trick をひとつも逃さない=何ひとつ見逃さない」という褒め言葉として使われるうちに、「not miss a trick」がほぼ決まり文句のようになりました。一手も取りこぼさない卓上の名手の姿が、抜け目のない人物像へと重ねられていったわけです。
この成り立ちを知ると、サラのセリフの含みが見えてきます。チャックが「ひと手も取りこぼしていない」と認めることは、彼を一人前のプレイヤーとして見ているということでもあるのです。
取れる一手を逃さない目が、抜け目なさをかたちづくるのですね。
まとめ|抜かりのなさを映す一言
「miss a trick」は、打つべき好機やうまい手を逃すことを表し、否定形で「抜け目がない」という褒め言葉になる表現です。カードの取り札をひとつも逃さないという卓上のイメージが、この言葉に説得力を与えています。
鋭い観察力を持つ人を評したいとき、準備の周到さに感心したとき、商機を逃さない目ざとさを認めたいとき。「not miss a trick」の一言があれば、その「何ひとつ見逃さない」さまをくっきりと伝えられます。
サラのさりげない一言が、抜け目のなさを認める評価として響く——そんな表現と読み取れます。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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