海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
大事な場面を前に「今のままじゃ足りない、もう一段ギアを上げないと」と自分を奮い立たせたこと、ありませんか。
そんな気持ちにぴったりの「take it up a notch」を、『CHUCK』シーズン1第11話の中盤、恋人の両親に会うことになったモーガンが、背伸びを決意するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take it up a notch」の意味とニュアンス
take it up a notch
意味:(レベルや強度を)一段上げる、ギアを上げる
take it up a notch は、今の状態から質・強度・盛り上がりなどを「もう一段引き上げる」ことを表します。鍵になるのが notch という単語で、これはベルトの穴やダイヤルの「刻み目・目盛り」を指します。その一目盛りぶん上へ持ち上げる、というイメージから「一段レベルを上げる」という意味が生まれました。
努力やパフォーマンスを上げたいとき、イベントをもっと盛り上げたいとき、料理や作品のクオリティを高めたいときなど、幅広い場面で使えます。it の部分を具体的な目的語に置き換えて、take our pitch up a notch(提案を一段上のレベルにする)のように言うこともできます。「ほんの少しではなく、はっきり一段」という、段階を上げる感覚が核にあります。
【ここがポイント!】
- notch は「刻み目・目盛り」、その一段ぶん上へ引き上げるイメージ
- 努力・盛り上がり・クオリティなど幅広い対象に使える表現
- it を具体的な目的語に変えて take 〜 up a notch とも言えるのがコツ
『CHUCK』S01E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
恋人アナの両親に会うことになったモーガン。レスターから「素のままじゃダメだ、自分以上の自分になれ」とけしかけられ、すっかりその気になります。take it up a notch と step it up を立て続けに口にして気合いを入れる、空回りの予感が漂う場面です。
Lester: You can’t be yourself. You have to be better than yourself. By, like, a factor of ten.
(素のままじゃダメだ。自分以上の自分にならなきゃ。10倍はな。)Morgan: I got to take it up a notch. I got to step it up. Who should I be?
(ギアを一段上げなきゃ。レベルアップだ。誰になればいい?)Chuck Season1 Episode11(Chuck Versus the Crown Vic)
シーン解説と心理考察
モーガンの take it up a notch には、前向きな決意と、危うい背伸びが同居しています。本来は努力やクオリティを健全に引き上げる表現ですが、ここでは「自分以上の誰かになる」という方向に転がってしまっているのが、このシーンの可笑しさです。
レスターの「10倍」という無責任な煽りを真に受けて、モーガンは一段どころか別人になろうと意気込みます。「誰になればいい?」という問いが、すでに地に足のついていない決意を物語っています。前向きな「一段上げる」という言葉が、空回りのコメディへの伏線として置かれている点が見どころです。実際、このあとモーガンは「自分以上の自分」を演じようとして見事に失敗します。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
ベルトの穴を一つきつく締め直す動作を思い浮かべてみてください。あるいは、音量や明るさのダイヤルを一目盛りだけ上げる手の動き。その「カチッと一段上げる」感覚が、notch の正体です。
モーガンが「自分を10倍に」と鼻息荒くギアを上げる滑稽な姿を、この一目盛りの動作と重ねておくと忘れにくくなります。ポイントは「ほんの少し」でも「いきなり全開」でもなく、はっきり一段という刻みの感覚。take it up a notch の notch を、いつもベルトやダイヤルの刻み目として思い描けば、意味がすっと出てきます。
例文で覚える「take it up a notch」
take it up a notch は、努力からイベントの盛り上げまで幅広く使えます。対象を変えながら、3つの例文で使い方を見ていきましょう。
The team needs to take it up a notch in the second half.
(チームは後半でギアを一段上げる必要がある。)
スポーツや仕事で、もっと力を出す必要がある場面です。今のペースでは足りない、というニュアンスが伝わります。
To win this client, we’ll have to take our presentation up a notch.
(この顧客を獲得するには、プレゼンを一段上のレベルにしないといけない。)
ビジネスでクオリティを引き上げる場面です。it を our presentation に置き換えて、具体的な対象を示しています。
A: The party feels a little flat, doesn’t it?
B: Yeah, let’s take it up a notch and put on some music.
(A:パーティー、ちょっと盛り上がりに欠けるよね?)
(B:だね、一段盛り上げよう。音楽でもかけようか。)
場の空気を上げようと相談する会話です。盛り上がりを「一段上げる」という、楽しい方向の使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
step it up
(ペースや努力を上げる)
劇中でモーガンが take it up a notch の直後に口にした表現です。ほぼ同じ意味ですが、「刻み目」の比喩はなく、より一般的に「もっと頑張る」と言いたいときに使えます。
kick it up a notch
(一気に一段上げる)
take を kick に替えた形で、より勢いや即効性を強調します。料理番組から広まった言い回しで、スパイスを効かせて味を一段上げるような場面でよく登場します。
raise the bar
(基準や水準を引き上げる)
こちらは一回の努力というより、「期待される標準そのもの」を高く設定する意味合いです。take it up a notch が今の自分を上げるのに対し、raise the bar は全体の基準を上げる点が違います。
Note|notch(刻み目)から生まれた「一段上げる」の比喩
take it up a notch の核にある notch という単語は、もともと木やベルトなどに刻まれた「切り込み・刻み目」を指します。なぜこの素朴な言葉が「レベルを一段上げる」という意味につながったのでしょうか。
notch は古くから、量や程度を一段ずつ調整するための物理的な目印として使われてきました。ベルトの穴を一つ移せば締まり具合が一段変わり、ダイヤルやレバーを一目盛り動かせば強さが一段変わります。この「一目盛りぶん、はっきりと段階が変わる」という感覚が、そのまま努力や質の段階的な向上の比喩になりました。同じ発想から、kick it up a notch という派生表現も生まれています。これはアメリカの料理人エメリル・ラガッセが番組で繰り返した決め台詞として広まり、料理の味を一段引き上げるイメージで一般に定着したと言われています。notch という一語が、物理的な刻み目から、努力や盛り上がりを測る目盛りへと意味を広げてきたわけです。
モーガンが take it up a notch と意気込むとき、彼の頭の中でも「今の自分から、一段上のレベルへ」という目盛りが動いているはずです。notch の刻み目のイメージを持っておくと、このセリフの勢いがより鮮明に感じられます。
一目盛りの感覚をつかむと、上げ幅まで思い描けます。
まとめ|モーガンの空回りから学ぶ「一段上げる」
take it up a notch は、今の状態から質や強度、盛り上がりを「はっきり一段上げる」ことを表す表現です。notch の刻み目のイメージを軸にすると、その上げ幅の感覚までつかめます。
このフレーズが使えるようになると、自分を鼓舞するときも、チームやイベントに発破をかけるときも、「もう一段上へ」という前向きな気持ちを軽やかに伝えられます。step it up や kick it up a notch とあわせて覚えておくと、表現の幅も広がります。
一段上げようと意気込んで空回りするモーガンを思い出しながら、会話のレパートリーに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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