海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
良い点を並べていって、最後にもう一つ「おまけに、これもあるんだ」と付け足したくなる——そんな瞬間は、会話の中でよくあるものです。
その「おまけに」をひとことで言い添える「to boot」を、スパイコメディ『CHUCK』シーズン5第10話の終盤、ボー・デレクの正体をチームで整理するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「to boot」の意味とニュアンス
to boot
意味:おまけに、その上、さらに
文末に置いて、直前に述べた内容に「しかも〜でもある」ともう一点を付け加える副詞句です。多くは「良い点をさらに」「困った点をさらに」と、同じ方向の情報を畳みかけるときに使います。also や as well より口語的で、少し軽い駄目押しの響きがあるのが特徴です。この boot は履き物の boot とは別語で、「おまけ・上乗せ」を意味する古い言葉に由来するとされます。文の最後にぽつりと置く、その定位置もセットで覚えると使いやすくなります。
【ここがポイント!】
- 直前の内容に「しかも〜でもある」ともう一点を足す、文末専用の一言
- 良い点にも困った点にも、同じ方向の情報を畳みかけて使える
- also/as well より口語的で、軽い駄目押しの響きが出るのがコツ
『CHUCK』S05E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
正体不明だったボー・デレクが敵の手先で、しかもスパイだったと判明します。チャックは情報を整理しながら、「スパイだ」という驚きに、「しかも、よくしゃべるスパイだ」と一言付け足します。秘密を守るべきスパイなのに内情を明かしてしまうボー・デレクへの、あきれ半分のツッコミです。
Casey: Bo Derek’s a spy?
(ボー・デレクがスパイだと?)Chuck: I know, right? And a talky one to boot.
(だよな? しかも、よくしゃべるスパイときてる。)Chuck Season5 Episode10 (Chuck Versus Bo)
シーン解説と心理考察
驚きの事実に、チャックがすかさず軽口を上乗せする様子が表れています。to boot を使って「スパイだ、しかも(to boot)おしゃべりなスパイだ」と畳みかけることで、秘密を守るべき立場なのにべらべら喋ってしまうボー・デレクへの、あきれと可笑しみがにじみます。緊迫した情報整理の場面に、チャックらしい軽妙な合いの手が、コメディの緩みを添えているのが見どころです。驚きに一段ツッコミを重ねる、そのテンポの良さが表れた場面と言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
この boot は「長靴」ではなく、「おまけ・上乗せ」を意味する古い言葉が由来とされ、化石のように慣用句の中に残っている単語です。買い物で「これに、おまけをもう一つ付けて」と、最後にポンと足す——そのイメージで to boot をとらえると残ります。劇中でチャックが「スパイだ、しかも(to boot)よくしゃべるスパイだ」と、驚きにもう一段あきれを上乗せする場面に、荷物の山へ最後の一個をひょいと足すコマを重ねてみましょう。文の最後に置く、この定位置も一緒に覚えると、使うときに迷いません。
例文で覚える「to boot」
to boot は、すでに述べた内容に「おまけに〜も」ともう一点を足す場面で使えます。場面を変えた3つの例文で、その使い勝手を確かめてみましょう。
The apartment is spacious and cheap, and close to the station to boot.
(そのアパートは広くて安いし、おまけに駅も近い。)
物件の長所を並べる場面です。利点を畳みかけて、最後に to boot でもう一押しする、基本の形です。
The flight was delayed, and they lost my luggage to boot.
(フライトは遅れたし、おまけに荷物まで無くされた。)
災難が重なった場面です。良い方向だけでなく、困った出来事の駄目押しにも使えます。
A: The hotel had a pool and a free breakfast.
B: And an ocean view to boot, right?
(A:ホテルにはプールと無料の朝食があったよ。)
(B:おまけにオーシャンビューもね?)
良かった点を言い添える会話です。相手の話に「おまけに〜も」と乗せる、軽妙なやり取りが生まれます。
あわせて覚えたい関連表現
on top of that
(その上、さらに)
同義ですが、文頭や文中で使うことが多い表現です。to boot が文末専用なのに対し、on top of that はより口語的で、置く位置の自由が利きます。
as well
(〜も(また))
中立的に「〜も」と付け足すだけの言い方です。to boot は「おまけに」という駄目押し・強調のニュアンスが加わる点が違います。
into the bargain
(おまけに、その上)
to boot とほぼ同義の、やや古風で英国寄りの表現です。どちらも「取引にさらに付いてくる」という発想を持っているのが共通点です。
Note|長靴と無関係な to boot の boot
to boot の boot を見て、「なぜ長靴が『おまけに』になるの?」と不思議に思った方もいるかもしれません。実はこの boot、履き物の boot とは、まったく別の単語なのです。
to boot の boot は、古英語の bōt という語に由来するとされています。この bōt は「利益・埋め合わせ・追加分」といった意味を持っていた言葉です。何かに「さらに付け加えるもの」「おまけ」というニュアンスですね。つまり to boot は、もともと「おまけとして」「追加で」という意味だったわけです。一方、足を包む boot(長靴・ブーツ)は、これとは別系統の語で、後にフランス語などを経て英語に入ってきたと言われます。綴りと発音がたまたま同じになっただけで、両者に意味のつながりはありません。中世以来使われてきた「追加」の bōt が、現代ではこの to boot という慣用句の中に、化石のように生き残っているのです。
似た発想の表現に into the bargain(おまけに)があります。こちらも「取引に、さらに付いてくる」というイメージで、to boot と同じ「上乗せ」の感覚を共有しています。
日常でよく使う短い一言の中に、千年前の言葉がそっと息づいているのですね。
まとめ|チャックのツッコミから学ぶ「おまけに」の表現
to boot は、文末に置いて「しかも〜でもある」ともう一点を付け加える表現でした。also や as well より口語的で、「おまけに」という軽い駄目押しの響きを添えられるのが持ち味です。
良い点を畳みかけるときも、困った出来事を並べるときも、文の最後にこの一言を足せば、話に小さなひとひねりが効きます。boot が古い「追加」の言葉だと知っておくと、意味もすっと腑に落ちます。
チャックが驚きに軽口を上乗せしたこの表現を、あなたの会話のレパートリーに加えてみてください。
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