海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
やけに親切な申し出を前に、「この人、何か裏で得しようとしてるんじゃ?」とつい勘ぐってしまった経験はありませんか。世の中、まっすぐな善意ばかりとは限らないものです。
そんな疑いの目を表す「work an angle」を、『CHUCK』シーズン2第10話の中盤、詐欺師の父ジャックが、娘サラの堅実そうな暮らしを「何か仕掛けているに違いない」と決めつけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「work an angle」の意味とニュアンス
work an angle
意味:たくらみがある、策を弄する、うまい切り口を仕掛ける
「angle」には「角度」のほかに、「物事を有利に運ぶための切り口・狙い・たくらみ」という意味があります。「work an angle」で、その切り口を「働かせる」=自分の利益のために策を巡らせる、という意味になります。
このフレーズには、抜け目なく立ち回る、やや否定的なニュアンスが伴います。誰かが裏で得をしようと画策している様子を指して使われることが多く、「あの人、何か企んでるな」という警戒のトーンを帯びます。
関連して「What’s your angle?(あなたの狙いは何?)」という言い回しも頻出です。相手の親切や提案の裏にある本当の意図を問いただすときの定番表現で、こちらもセットで覚えておくと便利です。まっすぐではなく、計算された角度から攻める——その感覚がこの表現の核にあります。
【ここがポイント!】
- 「angle」は「角度」だけでなく「有利に運ぶ切り口・たくらみ」を指す
- 「work an angle」は、抜け目なく策を巡らせるやや否定的なニュアンス
- 「What’s your angle?(狙いは何?)」とセットで覚えると、警戒の表現が広がる
『CHUCK』S02E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
久しぶりに現れた詐欺師の父ジャックは、娘サラのフローズンヨーグルト店員という地味な暮らしと、チャックという恋人を見て、これは何かの詐欺の仕込みに違いないと疑います。生涯詐欺師の彼が、娘の堅実な生活すら裏があると決めつける一言に注目です。
Jack: This place. Your job. Your name. Sarah Walker? You’re working an angle. I mean, he’s probably the son of some, uh, rich Beverly Hills family?
(この場所。その仕事。その名前。サラ・ウォーカー、だと? お前、何か仕掛けてるな。あいつ、どうせビバリーヒルズの金持ちの息子か何かだろ?)Sarah: Look, Chuck is my boyfriend, and he makes $12 an hour, so you stay away from him.
(いい? チャックは私の恋人で、時給12ドルなの。だから彼には近づかないで。)
シーン解説と心理考察
ジャックの「You’re working an angle」には、まっとうな人生を信じられない詐欺師の職業病的な視点がにじむ場面です。彼にとって、人生とは常に「angle(うまい切り口)」を探すもの。だから娘もそうに違いないと、自分の生き方を投影してしまいます。
皮肉なのは、サラが本当に正体(CIAエージェント)を隠している点です。父の勘は方向こそ外していますが、「娘は何かを隠している」という直感は半分当たっているという二重構造が、このシーンの妙味になっています。
それを冷静に「時給12ドルの恋人よ」と切り返すサラの端的な口調が、プロのスパイらしい感情の抑制を表しています。疑う父と、隠し通す娘。二人の探り合いが会話の緊張を生んでいると言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
ビリヤードの台を思い浮かべてください。上級者は的球をまっすぐ狙わず、わざと「角度(angle)」をつけてクッションに当て、有利な位置へ球を運びます。この「まっすぐではなく、計算された角度から攻める」動きが、work an angle の核心イメージです。
ジャックは詐欺師なので、娘の人生すら「どんな angle で得をしようとしているのか」という目で見てしまいます。まっすぐ=正直、角度をつける=たくらみ、と対比して、台の上で斜めに走る球を思い描けば、「策を弄する」という意味が手応えとともに記憶に残ります。
例文で覚える「work an angle」
相手の下心を見抜く場面でも、自分の戦略を語る場面でも使えます。場面の違う3つの例文で幅をつかんでみましょう。
I could tell he was working an angle the moment he offered to help for free.
(彼が「無料で手伝う」と言い出した瞬間、何かたくらんでるなと分かった。)
相手の下心を見抜く場面です。親切の裏を疑う、劇中のジャックに近い使い方です。
The negotiator was working an angle that no one else had noticed.
(その交渉人は、誰も気づいていない切り口を仕掛けていた。)
交渉の裏戦略を語る場面です。否定的な意味だけでなく、「うまい切り口」という中立的な使い方もできます。
A: Why is he suddenly being so nice to the boss?
B: Trust me, he’s working an angle. He wants that promotion.
(A:なんで彼、急に上司にあんなに愛想いいの?)
(B:間違いないよ、何か企んでる。あの昇進を狙ってるんだ。)
同僚の立ち回りを評する場面です。「裏に狙いがある」という警戒のニュアンスがよく出ています。
あわせて覚えたい関連表現
have an ulterior motive
(下心がある、裏の動機がある)
motive(動機)に焦点を当てた表現です。work an angle が「動いて仕掛ける」行動寄りなのに対し、ulterior motive は隠れた意図そのものを指します。
play the system
(制度を逆手に取る、うまく立ち回る)
ルールや仕組みを利用して得をする意味です。work an angle がより個別の「うまい切り口」を狙うのに対し、こちらは仕組み全体を利用するニュアンスです。
be up to something
(何かたくらんでいる)
漠然と「怪しいことを企んでいる」を表します。work an angle が「利益のための具体的な策」を含意するのに対し、be up to something はもっとぼんやりした疑いを示します。
Note|「angle」が「たくらみ」を意味するまで、角度から狙いへ
「work an angle」を語るには、「angle」という語がたどった意味の旅を見るのが近道です。
angle はもともと幾何学の「角度」を指す言葉でした。それが20世紀のアメリカ口語で、「物事を有利に運ぶための視点・切り口」という比喩的な意味を獲得します。同じ発想は、ジャーナリズムの「news angle(記事の切り口)」にも見られます。同じ出来事でも、どの「角度」から報じるかで記事の印象は変わる——この「視点・切り口」の感覚が、やがて「自分に有利な狙い」、さらには「たくらみ」という語義へと広がっていきました。まっすぐ正面からではなく、斜めの角度から狙う、という空間的なイメージが、抜け目なさのニュアンスを生んだわけです。
この成り立ちを知ると、ジャックの「You’re working an angle」が、単に「企んでいる」ではなく「うまい角度を見つけて立ち回っている」という、詐欺師ならではの含みを持つ一言だと見えてきます。
角度を変えれば、見える景色も狙いも変わるのです。
まとめ|ジャックの猜疑心から学ぶ「狙い」の一言
「work an angle」は、自分の利益のために抜け目なく策を巡らせることを表す表現でした。「angle」が「角度」から「有利な切り口・たくらみ」へと広がった経緯を踏まえると、まっすぐではなく斜めから狙う、という独特のニュアンスがつかめます。
この表現を知っておくと、「あの人、何か企んでるな」という警戒を、ネイティブらしい言い回しで表現できるようになります。「What’s your angle?」と合わせれば、相手の本当の狙いを問う場面でも使えます。
娘の暮らしすら疑う詐欺師ジャックの猜疑心とともに、「work an angle」を会話のレパートリーに加えてみてください。
このエピソードを見るには
(タップすると各配信サービスの視聴ページへ移動します)
※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


コメント