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面白くない結論でも、理屈としては相手が正しいと分かって、渋々うなずくしかなかった経験はありませんか。
そんな場面で使える「fair is fair」を、『フレンズ』シーズン6第10話の中盤、ジャニーンの踊りの相手に指名された男の言い分を認めざるを得なくなったジョーイが、ぼやくように口にするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「fair is fair」の意味とニュアンス
fair is fair
意味:公平は公平だ、筋は通さないと
fair is fair は、ルールや理屈に照らして「それが公平だ」と認めざるを得ないときに使う決まり文句です。fair(公平な)という同じ語を繰り返し、「公平なものは公平なのだから」と言い切ることで、相手の言い分や結果を受け入れる、あるいは約束を守るよう促すという働きをします。
使われる場面は、順番や分担の話、勝負の結果を認める場面、貸し借りを清算する場面などです。自分が損をする結論でも、筋が通っていると認めるときに口にする形が代表的で、言い方によって、前向きに割り切る調子にも、渋々受け入れる調子にもなります。
「A is A」の形で同じ語を繰り返すため、理屈というより「そういうものだ」という納得の響きがあります。見出しの表記と作中の英文はほぼ同じ形で、前に hey, you know が付き、話しながら考えを整理するような調子で登場します。
【ここがポイント!】
- 「fair is fair」の核は、公平さという理屈を根拠に、結論を受け入れる決まり文句
- 損な結論でも認めるときに使えて、渋々にも、割り切りにも聞こえる幅がある
- 同じ語を繰り返す形が、「そういうものだ」という納得の響きを生む
『フレンズ』S06E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーイは、ジャニーンの踊りの相手を務める背の高い男に、相手の交換を持ちかけて断られます。そこで、連れの女性との関係を尋ねられ、答えに詰まったところで、男から予想外の返しを受けます。
Tall Guy: Look, you dating this girl you came with?
(なあ、その連れの子とは付き合ってるのか?)Joey: Well, I was hoping after tonight that maybe I could…
(いや、今夜のあとでもしかしたら、と思っててさ……)Tall Guy: No, no, she’s fair game if you ask me.
(いや、それなら彼女は誰が狙ってもいい相手だろ。)Joey: All right. Hey, you know, fair is fair. I mean, when you’re right you’re right. What can I say, but…
(わかったよ。まあ、公平は公平だよな。正しいもんは正しいし。何て言えばいいんだか、でも……)Friends Season6 Episode10(The One with the Routine)
シーン解説と心理考察
ジョーイの返事は、「I was hoping after tonight that maybe I could…」と、最後まで言い切らずに途切れます。今夜が終わった後に何かを期待している、という気持ちは伝わっても、付き合っているとは言えないという事情が、言葉の切れ目に表れています。
その途切れを受けて、男は「she’s fair game」と、交際していないなら誰が狙ってもよい相手だと言い切ります。ここで使われる fair game は、競争や交際の対象にしてよい相手という意味の別の表現で、男の理屈の中では、付き合っていない相手に先約の権利はないという筋道になっています。
ジョーイは反論せず、「All right.」と一度受け止めたうえで、fair is fair と続けます。相手の理屈を公平だと認める言い方ですが、「What can I say, but…」と再び言い切らずに途切れる点に、このまま終わらせない含みがにじみます。
このすぐ後、男が「小学2年生か」とあきれ、ジョーイが「ズボンを濡らしたのはそっちだ」と言い返します。fair is fair と引き下がる言葉を口にしながら、ジョーイがそのまま引き下がってはいないことが、この続きから分かります。
会話全体を見ると、ジョーイの手持ちの札は、連れの女性と来たという事実と、年越しのカウントダウンに向けた自分の計画でした。その札が男の理屈の前で通用しなくなり、表向きは「筋は通っている」と認める一言でした。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
天秤の両方の皿に、同じ重さの分銅が載ってぴったりつり合っている様子を思い浮かべてみましょう。fair が2回並ぶと、左右の皿が同じ高さで止まり、どちらにも傾かない状態が浮かびます。傾かないものに文句はつけにくい、という感覚が、この表現の芯にあります。同じ高さで止まった天秤を前にすると、誰でも一度は口をつぐむものです。
ジョーイの「fair is fair」は、男の言い分という分銅が置かれて、自分の側の皿が上がってしまったときに、口の上では、天秤は正しく動いていると認めてみせる一言でした。表向きは目盛りは動かせないと受け止めてみせる言い方です。
貸し借りや順番の話題が出たときに、天秤の絵を頭に描いて、つり合っているか確かめる習慣をつけておくと、この表現を使う場面が見えてきます。左右の皿にそれぞれ何が載っているのかを言葉にすると、fair is fair の前後に置く理由づけも自然に浮かびます。
例文で覚える「fair is fair」
損得の話でも、約束の話でも、この表現は同じ形で使えます。3つの例文で確認していきましょう。
You paid last time, so I’ll get lunch. Fair is fair.
(前回は君が払ったから、今日の昼は僕が出すよ。公平にいこう。)
貸し借りを清算する場面です。last time のように前回の話を添えると、なぜ公平と言えるのかが伝わります。
A: I cooked, so you’re doing the dishes.
B: Fair is fair. Fine.
(A:私が作ったんだから、皿洗いはあなたね。)
(B:それはそうだね。わかったよ。)
家事の分担を話す場面です。相手の言い分を受け入れる返事として、fair is fair を使う形を確認できます。
We all worked late, so everyone gets a day off. Fair is fair.
(全員が遅くまで働いたんだから、全員1日休みにしよう。公平にいかないとね。)
職場での取り決めの場面です。全員に同じ扱いを認める理由づけとして、fair is fair を添えています。
あわせて覚えたい関連表現
fair enough
(もっともだ、それもそうだね)
fair enough は、相手の言い分に軽く同意する返事です。fair is fair は、公平さを理由に結論を受け入れたり求めたりする決まり文句です。
fair and square
(正々堂々と)
fair and square は、勝ち方ややり方が不正なく行われたことを表します。fair is fair は、公平さを根拠に結論を受け入れる言い方で、働きが異なります。
fair game
(狙ってよい相手、批判してよい対象)
fair game は名詞的に「対象にしてよいもの・人」を指す表現です。今回の場面で男が使った語で、fair is fair とは別の意味を持ちます。
Note|fair is fair、fair enough、fair and square は働きが違う
fair を含む表現には、fair is fair のほかに、fair enough や fair and square があります。どれも「公平」という語を使いますが、会話の中で果たす働きが、少しずつ違います。
fair enough は、相手の言い分を聞いて「それもそうだね」と軽く同意する返事です。たとえば、遅れた理由を説明されたあとに Fair enough. と返せば、その説明を受け入れたという意味になります。fair is fair は、結論を公平さの理由で受け入れる、あるいは相手に求める言い方で、Fair is fair, you should pay. のように、理由づけを前に出せます。fair and square は、やり方の正しさを表す副詞的な言い方で、win fair and square なら、不正なく勝ったという意味になります。
3つを並べると、返事として同意する fair enough、結論を受け入れる根拠を示す fair is fair、やり方の正しさを示す fair and square という分担が見えてきます。同じ fair でも、会話の中の役割が違うため、置き換えはできません。
ジョーイの fair is fair は、相手の言い分を公平だと認める、理由づけの形でした。
3つの違いを知ると、公平さの話題が、細かい聞き分けで聞こえてきます。
まとめ|筋は通さないと、を一言で
fair is fair は、ルールや理屈に照らして公平だと認めざるを得ないときに使う決まり文句です。同じ語を繰り返す形で、相手の言い分や結果を受け入れる、あるいは約束を守るよう促すという働きをします。
貸し借りの清算や、順番、分担の話題で、筋を通す一言として使えます。fair enough や fair and square との違いを押さえておくと、伝えたい内容に合わせて選び分けられます。
ジョーイは、相手の理屈を認める言葉を口にしながらも、そのまま引き下がってはいませんでした。認める言葉の後ろに、次の一手を用意している場面でした。


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