海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「もうこの仕事、続けられない」と心が決まった瞬間、上司にどう切り出そうか——そんな場面を想像したことはありませんか。辞める意思をきちんと伝えるとき、英語には決まった言い方があります。
その定番が「give one’s notice」という表現です。『フレンズ』シーズン3第10話の中盤、ウェイトレスの仕事に嫌気がさしたレイチェルが、カフェの店員ガンターに辞意を告げる場面から、一緒に見ていきましょう。
「give one’s notice」の意味とニュアンス
give one’s notice
意味:退職を(所定の期間前に)正式に申し出る/辞意を伝える
notice は「気づき」だけでなく「事前の通知・告知」を指す言葉です。give one’s notice で「辞める意思を、所定の予告期間つきで正式に伝える」という意味になります。単に「辞める」と言うのではなく、雇い主に前もって知らせるという手続きの含みがあるのが特徴です。
数字を挟んで give a week’s notice(1週間前予告)、give two weeks’ notice(2週間前予告)のように、予告期間を示すこともよくあります。似た形の put in one’s notice や hand in one’s notice も同じ意味で使われます。仕事の退職だけでなく、賃貸契約の解約などを事前に通知する場面にも広く応用できる、実用度の高い表現です。
【ここがポイント!】
- 核は notice=「事前の通知」、give one’s notice で「辞意を正式に伝える」
- a week’s / two weeks’ と数字を挟んで予告期間を示せるのが便利
- 「ただ辞める(quit)」との違いは、前もって知らせる手続きの含みにあり
『フレンズ』S03E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
デカフェとレギュラーのポットの区別さえどうでもいい——そんな自分を「最低のウェイトレス」と言い切ったレイチェルは、その場で退職を決意します。まずは「1週間前予告」という社会人らしい言い方で切り出しますが、我慢できずに本音がこぼれ出ます。
Rachel: This is not what I want to do. So I don’t think I should do it anymore. I’m going to give you my week’s notice.
(これは私のやりたいことじゃない。だからもう続けるべきじゃないと思う。1週間前に退職を申し出るわ。)Rachel: Gunther, I quit.
(ガンター、私、辞めます。)Friends Season3 Episode10(The One Where Rachel Quits)
シーン解説と心理考察
このシーンの見どころは、レイチェルのセリフが二段構えになっている点です。まず「give you my week’s notice(1週間前予告)」ときちんとした手続きの言葉で切り出しながら、その直後に「I quit(辞めます)」と衝動的に言い切ってしまいます。形式を踏もうとする理性と、抑えきれない勢いのあいだで揺れる心理が、この短いやりとりに凝縮されていると言えます。
背景には、彼女がファッション業界を目指しながら、惰性でカフェの仕事を続けてきた鬱屈があります。「自分はこの仕事をどうでもいいと思っている」と認めた瞬間、迷いが吹っ切れる流れが自然に伝わってきます。give one’s notice という落ち着いた表現と、勢い任せの quit の温度差が、決断の瞬間のリアルさを際立たせています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
このフレーズは、上司の机に一枚の紙をそっと置く動作でイメージすると覚えやすくなります。give(渡す)+ notice(お知らせ)で、「辞めますというお知らせを差し出す」場面が絵として浮かびます。手のひらから相手へ紙が渡る瞬間を思い描けば、「前もって知らせる」という手続きの含みまで一緒に記憶できます。
レイチェルの場面を重ねれば定着はさらに進みます。「week’s notice」ときちんと言った次の瞬間に「I quit」と口走る二段構えを思い出せば、give one’s notice(正式な予告)と quit(ただ辞める)の違いも、感覚でつかめるようになります。
例文で覚える「give one’s notice」
退職の場面で頻出する実用フレーズです。予告期間を示す形も含め、3つの場面で見てみましょう。
I gave my two weeks’ notice yesterday, so Friday is my last day.
(昨日2週間前予告で退職を申し出たから、金曜が最終出社日なの。)
転職を友人に報告する場面です。give two weeks’ notice はアメリカで最も定番の言い方で、そのまま覚えておくと便利です。
If you want to leave, you’re required to give a month’s notice.
(退職したいなら、1か月前に申し出ることが必要です。)
就業規則を説明するフォーマルな場面です。予告期間の数字を入れ替えるだけで、いろいろな規定に対応できます。
A: Wait, you’re leaving? When did this happen?
B: I gave my notice last week. I start the new job next month.
(A:えっ、辞めるの? いつの話?)
(B:先週辞意を伝えたんだ。来月から新しい仕事だよ。)
同僚に退職を打ち明ける場面です。予告期間を省いた give one’s notice の基本形で、「もう正式に申し出た」という完了のニュアンスが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
hand in one’s resignation
(辞表を提出する。)
書面の「辞表」を提出する、よりフォーマルな言い方です。口頭でも成立する give one’s notice に対し、こちらは正式な文書を出すニュアンスがあります。
quit (a job)
(仕事を辞める。)
辞めるという事実だけを表し、「事前に知らせる」という含みはありません。give one’s notice が持つ予告のニュアンスとの違いを意識すると、使い分けがはっきりします。
put in one’s notice
(退職を申し出る。)
give one’s notice とほぼ同義の口語表現です。put in には「(書類などを)提出する」感覚があり、手続きとして申し出るニュアンスがわずかに強まります。
Note|アメリカの「two weeks’ notice」という慣習
give one’s notice を学ぶと、その先に「two weeks’ notice(2週間前予告)」というアメリカの労働慣習が見えてきます。
アメリカでは、退職する際に少なくとも2週間前に辞意を伝えるのが一般的なマナーとされています。法律で厳密に義務づけられているわけではありませんが、引き継ぎの時間を確保し、職場に迷惑をかけずに去るための礼儀として広く根づいています。この慣習は文化に深く浸透していて、同名の恋愛映画のタイトルにもなったほどです。円満に辞めた人ほど、次の転職の推薦状(reference)などでも良い関係を保ちやすい、という実利的な側面もあります。日本では「1か月前まで」を就業規則とする会社が多く、予告期間の相場が国によって異なる点も、比べてみると興味深いところです。
こうした背景を知ると、give two weeks’ notice が単なる言い回しではなく、「きちんと筋を通して辞める」という文化的な作法とセットになっていることが見えてきます。
去り際こそ、その人の印象を決める——そんな価値観がこの表現には映し出されています。
まとめ|レイチェルの決断から学ぶ「辞め方」の英語
「give one’s notice」は、辞める意思を前もって正式に伝える、退職場面の定番表現です。ただ「辞める(quit)」と言うのではなく、予告期間つきで筋を通して申し出るニュアンスがあると押さえておくと、ビジネスの会話でも迷いません。
a week’s notice、two weeks’ notice のように数字を挟めば、予告期間まで一言で伝えられます。退職に限らず、契約の解約を事前に知らせる場面にも応用でき、実生活でそのまま役立つ表現です。
「week’s notice」と切り出した直後に「I quit」とこぼしてしまうレイチェルの姿を思い浮かべながら、この表現を会話のレパートリーに加えてみてください。


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