「go through with」の意味と使い方|『フレンズ』S02E04で学ぶ英会話

「go through with」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

一度は「やる」と決めたのに、いざその場になると足がすくんで、どうしても最後まで踏み切れなかった——そんな経験はありませんか。

今回はそんな心の揺れにぴったりの「go through with」を、決めたことを最後までやり遂げる、という意味の表現として取り上げます。『フレンズ』シーズン2第4話、過去のちょっと恥ずかしい仕事についてジョーイが仲間たちに白状するシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「go through with」の意味とニュアンス

go through with
意味:(決めたこと・約束・困難な行為を)途中でやめずに最後までやり通す、実行する

go through には「(つらい経験を)くぐり抜ける」「(書類などに)ざっと目を通す」など複数の意味がありますが、後ろに with を1つ足すと、意味がぐっと絞られます。それが「いったん決めた計画・約束・気の進まない行為を、途中で投げ出さずに完遂する」という用法です。

このフレーズのポイントは、単なる「実行する」ではなく、そこに「迷いや不安、ためらいを乗り越えて」というニュアンスが含まれること。結婚、手術、契約、退職といった、決断が必要でどこか腰が引けそうな行為を「それでもやり通す」、あるいは否定形で「やり通せなかった」と語る場面でよく使われます。with があるかないかで意味が変わるため、go through との区別が学習の要になります。

【ここがポイント!】

  • 「go through with」の核は、決めたことを最後まで貫き通すというイメージ
  • 「迷いを乗り越えて実行する」という心理的なハードルが言外に含まれる表現
  • with を落として go through にすると「経験する」の意味になるので、セットで区別するのがコツ

『フレンズ』S02E04のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

レイチェルの一言で、ジョーイが昔ポルノ映画に出演していたことが仲間たちにバレてしまいます。追い詰められたジョーイは開き直りつつも、実は本番の撮影には踏み切れなかったのだと弁明します。まさに「go through with」が否定形で光る場面です。

Ross: Joey was in a porno movie.
(ジョーイ、ポルノ映画に出てたんだ)

Joey: If I’m going down, I’m taking everybody with me. All right, all right, all right. I was young, and I just wanted a job, okay? But I couldn’t go through with it, so they let me be the guy who comes in to fix the copier but can’t, because there’s people having sex on it.
(道連れにしてやる。わかったよ、若かったし、ただ仕事が欲しかっただけなんだ。でも、どうしてもやり通せなくてさ。だから、コピー機を直しに来たけど直せない男の役をやらせてもらったんだ。だって、その上で人がヤってるんだから)

Friends Season2 Episode4(The One with Phoebe’s Husband)

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シーン解説と心理考察

恥ずかしい過去を暴かれたジョーイが、いっそ皆を巻き込んでやろうと開き直る姿に、彼らしい愛嬌がにじむ場面です。勢いで仕事を引き受けたものの、いざ撮影となると決心がつかなかった——「I couldn’t go through with it」という一言に、その逡巡がそのまま表れています。

ここで go through with が否定形で使われていることが効いています。「やらなかった」ではなく「やり通せなかった」と言うことで、一度は入り口に立ったのに最後の一歩が踏み出せなかった、というニュアンスが伝わってきます。照れ隠しに早口で弁明するジョーイの人柄と、このフレーズの「ためらいを含んだ実行」という性質が、ぴたりと重なっています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

go through with は、長いトンネルに入る場面を思い浮かべると覚えやすくなります。go through が「トンネルを通り抜ける」動き、そこに with it(それを抱えたまま)が加わって、決めたものを手放さずに反対側の出口まで抜けきる——これが go through with のイメージです。

このシーンのジョーイは、撮影というトンネルに入りかけたものの、真ん中あたりで足がすくんで引き返してしまいました。トンネルの中ほどで立ち止まるジョーイの姿を思い描くと、「couldn’t go through with it(やり通せなかった)」という否定形のニュアンスまで、まとめて身体に残ります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「go through with」

決断に踏み切るとき、あるいは土壇場で断念するとき——go through with は「迷いの先にある実行」を描く表現です。3つの場面で使い方を確かめてみましょう。

She was nervous, but she went through with the presentation.
(彼女は緊張していたが、プレゼンをやり通した)
大事な発表を最後までやりきったと伝える場面です。不安を抱えながらも完遂した、という典型的な使い方です。

They decided to go through with the wedding despite everything.
(いろいろあったけど、二人は結婚に踏み切った)
障害を乗り越えて決断を実行したと語る場面です。ここを go through(経験する)にすると意味が通らないため、with の役割がよく見えます。

A: Are you really going to go through with quitting your job?
B: Yeah, I’ve thought about it for months. It’s time.
(A:本当に仕事を辞めるつもりなの?)
(B:うん、何か月も考えてきたんだ。もう潮時だよ)
相手の重大な決断を念押しで確認する会話です。「本当にやり通すの?」と相手の覚悟を問う、会話で頻出のパターンです。

あわせて覚えたい関連表現

carry out
(計画・命令を実行する)
carry out は「計画や任務を遂行する」という客観的・実務的な語です。go through with のような「迷いを乗り越えて」という心理的なニュアンスは薄く、淡々と実行する場面に向きます。

follow through
((最後まで)やり抜く)
follow through は「始めたことを途中で投げ出さず続ける」という継続性が主眼です。go through with が「実行に踏み切るかどうか」の決断部分に光を当てるのに対し、こちらは続けきる力に焦点があります。

see ~ through
(〜を最後までやり遂げる、見届ける)
see through は困難な状況を最後まで支え抜くニュアンスです。go through with は個別の決断や行為を完遂する点に重心があり、対象の粒度が少し違います。

Note|go through with / carry out / follow through の使い分け

「やり通す」と訳せる表現は英語にいくつもありますが、それぞれ焦点が違います。今回の go through with を軸に、混同しやすい carry out と follow through との距離を整理してみましょう。

まず go through with は、決断に「踏み切る」瞬間に光を当てる表現です。気が進まない、不安がある、それでも実行する——という心理的なハードルとセットで使われます。だからこそジョーイのように「couldn’t go through with it(踏み切れなかった)」という否定形が自然に成立します。一方 carry out は、すでに決まった計画や命令を「遂行する」語で、感情の揺れよりも実務的な遂行に重きがあります。研究を carry out する、任務を carry out する、といった使い方が典型です。そして follow through は、始めた物事を「途中でやめずに続けきる」継続の語で、約束や計画を最後まで守る文脈で使われます。三つとも実行に関わりますが、go through with は決断、carry out は遂行、follow through は継続、と光の当たる場所が分かれています。

同じ日本語の「やり通す」でも、心理・実務・継続のどこを言いたいかで選ぶ語が変わる——この感覚をつかんでおくと、go through with が持つ「ためらいの先の一歩」というニュアンスが、より輪郭を持って見えてきます。

英語の「やり通す」は、実は一枚岩ではないのですね。

まとめ|ジョーイの空回りから学ぶ「踏み切る」の英語

go through with は、単に「実行する」のではなく、迷いやためらいを乗り越えて決めたことを最後まで貫く——そんな心の動きまで含んだ表現です。だからこそ、否定形で「踏み切れなかった」と語るときにこそ、その本領が発揮されます。

このフレーズを知っていると、「やった/やらなかった」の二択では表せない、決断のグラデーションを英語で描けるようになります。結婚に踏み切る、転職に踏み切る、あるいは土壇場で引き返す——人生の分かれ道を語る言葉として、静かに効いてきます。

決断の前で揺れる気持ちごと、ひとつの動詞で言い表せる。そんな表現です。

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