海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
一生懸命がんばっているのに、身近な人から今ひとつ信じてもらえていない——そんなもどかしい瞬間があります。
その「信頼」をめぐる「have faith in」を、『フレンズ』シーズン4第3話の後半、母親の本心を知ったモニカが皮肉まじりに言い放つシーンから、一緒に見ていきましょう。
「have faith in」の意味とニュアンス
have faith in
意味:〜を信頼する、〜を信じる、〜の力を信用する
have faith in は、人の力量や人柄、これから先の可能性を信じ、期待を寄せることを表す表現です。事実として信じる believe よりも一歩深く、「心からその人を信じ、賭ける」という情緒的な信頼のニュアンスがあります。
in のうしろには信じる対象が続き、have faith in someone(人を信頼する)の形が基本です。相手が人でなくても、have faith in the plan(その計画を信頼する)のように、仕組みや将来にも使えます。in yourself を続けた have faith in yourself(自分を信じる)は、励ましの定番フレーズです。否定形の not have any faith in ~ にすると「まったく信用していない」という強い不信を表し、劇中でもこの否定の形で使われています。
【ここがポイント!】
- 核は「心からその人を信じ、期待を寄せる」情緒的な信頼で、in のうしろに対象が来る一言
- believe より一段深く、人にも計画にも使える表現
- have faith in yourself で自分を、否定形で強い不信を表せるのが使いこなしどころ
『フレンズ』S04E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
「腕を認めて雇った」と言っていた母ジュディが、実はモニカの失敗を見越して冷凍ラザニアを隠し持っていた——その事実が発覚します。深く傷ついたモニカは、皮肉な笑いを浮かべながら、母への不信を言葉にします。
Judy: Honey, come on. Have a sense of humor. You’re never able to laugh at yourself.
(ちょっと、冗談でしょ。あなたって自分のことを笑い飛ばせないんだから。)Monica: That’s right. My mom doesn’t have any faith in me. Oh, that’s hilarious.
(そうね。母さんは私をこれっぽっちも信じてないの。ああ、笑っちゃう。)Judy: No. I have faith.
(違うわ。信じてるわよ。)Monica: No. You have lasagnas.
(違う。あるのはラザニアでしょ。)Friends Season4 Episode3(The One with the Cuffs)
シーン解説と心理考察
doesn’t have any faith in me という否定の一言に、モニカが母から受け取ってきた長年の不信が凝縮されています。皮肉な笑いでやり過ごそうとしながらも、声の奥に本物の傷が透けて見える場面です。続く I have faith(信じてる)と You have lasagnas(あるのはラザニアでしょ)の応酬は、faith(信頼)と、失敗に備えて用意された lasagnas(ラザニア)を並べる言葉遊びになっており、母娘のすれ違いを鮮やかに象徴しています。母の「信じている」という言葉と、その裏で用意された保険とのギャップが、会話の温度を静かに沈ませています。have faith in が否定形で使われることで、モニカが本当は何を求めていたのかが、痛切ににじむ場面です。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
faith は「根拠を超えた信頼・信念」。have faith in は、相手の中(in)に「信頼という灯り」をともして持っているイメージです。believe が「頭で事実を信じる」なら、have faith in は「心でその人を信じ、賭ける」感覚だと捉えると違いがつかめます。劇中では、母が娘を信じきれずにラザニアを隠していた——つまり faith の代わりに lasagnas を用意していた——という言葉遊びが刺さります。あの対比を思い出すと、「faith=心からの信頼」という核が鮮明に残ります。in のうしろに、信頼を向ける相手を置くイメージで覚えましょう。
例文で覚える「have faith in」
「心から信じる」感覚を、肯定と否定の両方を含む3つの場面で確かめてみましょう。
I have faith in you. You’ve trained hard for this.
(あなたを信じてる。ここまで必死に練習してきたんだから。)
挑戦する相手を励ます場面です。このフレーズの最も前向きな中心の使い方で、in you に信頼の矢印がまっすぐ向きます。
You just have to have faith in yourself.
(とにかく、自分を信じるしかないよ。)
自信をなくした相手を勇気づける場面です。in yourself を続けると「自分を信じる」という励ましの定番表現になります。
A: Do you think this new plan will actually work?
B: Honestly, I don’t have much faith in it.
(A:この新しい計画、本当にうまくいくと思う?)
(B:正直、あまり信用してないんだ。)
計画への懸念を率直に伝え合う会話です。否定形の not have much faith in で、劇中と同じ「あまり信じていない」という不信を表せます。
あわせて覚えたい関連表現
believe in
(〜(の力・存在)を信じる)
have faith in に非常に近い表現です。believe in someone も「人の力を信じる」で使えますが、have faith in のほうが「信念・情緒的な確信」の色合いが濃くなります。
trust
(〜を信頼する)
「裏切らないと信じる」という、実務的・対人的な信頼を表す語です。力量や将来への期待までも含む have faith in と並べると、信頼の向く先の違いが見えてきます。
count on
(〜を頼りにする、当てにする)
「実際に頼る・当てにする」という行動寄りの表現です。信じる気持ちそのものに重心がある have faith in に対し、こちらは具体的に頼る場面で活躍します。
Note|「信仰」の faith が「人への信頼」を表すまで
have faith in の温度を決めているのは、faith という語が背負ってきた歴史です。
faith は、もともと宗教的な「信仰」を核とする語です。神や教えを、目に見える証拠がなくても信じ受け入れる——それが faith の出発点でした。英語圏の文化では、この宗教的な faith が長らく生活の中心にあり、keep the faith(信念を持ち続ける)のような言い回しにもその面影が残っています。やがて faith は、宗教の文脈を離れて、人や計画、未来といった対象へと広がっていきました。共通しているのは「確かな証拠がなくても、それでも信じる」という姿勢です。だからこそ have faith in someone は、単に「その人が正しいと思う」ではなく、「たとえ結果が見えなくても、その人の力や可能性を信じる」という、一歩踏み込んだ信頼を表します。証拠を積み上げて信じる believe や、裏切らないという安心に基づく trust とはひと味違う、根拠を超えて寄せる信頼——それが faith という語の由来から流れ込んでいるニュアンスです。
この成り立ちを知ると、have faith in が持つ「心から信じ、期待を寄せる」という核が、より深く感じ取れます。
証拠より先に信じる——そこに faith の芯があります。
まとめ|母娘の「信頼」がすれ違う瞬間
have faith in は、人の力量や人柄、未来の可能性を、根拠を超えて信じ、期待を寄せる表現です。in のうしろに信頼を向ける相手を置き、in yourself とすれば「自分を信じる」、否定形にすれば強い不信へと、一語で幅広く表せます。
このフレーズが身につくと、「信じている」という気持ちを、believe や trust とは少し違う、心を込めた信頼として相手に伝えられるようになります。
「信じてる」と言う母と、「あるのはラザニアでしょ」と返す娘。faith という言葉の重さが、あのキッチンに静かに残る場面でした。


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