海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かが一人で寂しそうにしているとき、そばにいて「相手をしてあげる」。そんな気遣いを英語でどう言うか、迷ったことはありませんか。
そんなときにぴったりの「keep someone company」を、『フレンズ』シーズン4第14話の前半、ブルーミングデールズで働くレイチェルが、上司のウォルサム氏からロンドンから来た姪の相手をしてほしいと頼まれるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「keep someone company」の意味とニュアンス
keep someone company
意味:(人に)付き添う、(人の)相手をする、一緒にいてあげる
「keep someone company」は、相手が寂しくないように、あるいは退屈しないように、そばにいて時間をともに過ごすことを表します。核になっているのは company という単語です。日本語だと「会社」の意味で覚えている人が多いのですが、company にはもともと「一緒にいること」「同席」「仲間といる状態」という語義があります。
だからこの表現は、単に物理的に隣にいるだけでなく、「相手が一人にならないように付き添う」という好意や気遣いのニュアンスをともないます。keep me company(私の相手をして)、keep each other company(お互いの相手をする)のように、company の前に「誰の相手か」を示す語を置いて使います。義務的な付き添いというより、一緒にいてあげるという温かみのある表現だと言えます。
【ここがポイント!】
- 核にあるのは company =「一緒にいること・同席」で、「会社」ではない
- 相手が寂しくないよう付き添う、という気遣いがにじむ一言
- keep me company / keep her company のように「誰の相手か」を挟むのがコツ
『フレンズ』S04E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ブルーミングデールズで買い物客のジョシュアに気を取られているレイチェルのもとへ、上司のウォルサム氏が近づいてきます。ロンドン(正確にはシュロップシャー)から出てきた姪のためにオペラのチケットがあるという彼が、遠回しにある頼みごとを切り出す場面です。ここで keep someone company が登場します。
Mr. Waltham: My niece, you see, is in town from London. She’s about your age, I’d say. Anyway, I have tickets for the opera, and I was wondering if you would like to keep her company this evening.
(姪がロンドンから出てきていてね。君と同じくらいの年頃だと思う。ともかく、オペラのチケットがあるんだが、今晩、姪の相手をしてやってもらえないだろうか)Rachel: Sure, you got it. Great. Count me in.
(もちろんです、お任せください。いいですね。参加します)Friends Season4 Episode14(The One with Joey’s Dirty Day)
シーン解説と心理考察
ウォルサム氏の物言いには、イギリス紳士らしい遠回しな丁寧さがにじんでいます。「相手をしてやってもらえないだろうか」という控えめな依頼の形が、keep her company という柔らかい表現とよく合っているのが見どころです。命令ではなく、あくまでお願いとして差し出しているトーンが伝わってきます。
一方のレイチェルは、上司の頼みだけに反射的に引き受けてしまいます。この直後にジョシュアからも誘われて板挟みになる展開が待っているのですが、この時点ではまだ何も知りません。keep her company という一言が、エピソード全体を動かす小さな引き金になっているのが面白いところです。付き添いを気軽に引き受けたことが、後々の空回りへとつながっていく構図が読み取れます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
keep someone company を覚えるときは、誰かの隣の椅子にそっと座る場面を思い浮かべてみてください。company は「一緒にいること」そのものを指す言葉なので、その空いた椅子を「自分がいることで埋める」イメージがぴったりです。
このシーンのウォルサム氏のように、「一人にさせない」という気遣いとセットで記憶すると定着しやすくなります。keep(保つ)+ company(同席)で「同席の状態を保つ」、つまり相手のそばにい続ける、と分解して押さえておくと、とっさのときにも口から出てきます。
例文で覚える「keep someone company」
付き添う相手を company の前に置くだけで、さまざまな場面に応用できます。日常のちょっとした気遣いから使える表現です。
Do you want me to keep you company while you wait?
(待っている間、そばにいましょうか?)
病院やバス停で誰かが待っているときにかけられる一言です。相手を気づかう、やさしい申し出のニュアンスが出ます。
My grandmother was lonely, so I stayed to keep her company.
(祖母が寂しがっていたので、相手をするために残りました。)
家族や親しい人のそばにいてあげた、という場面で使えます。lonely(寂しい)と組み合わせると、付き添いの理由がはっきり伝わります。
A: I have to work late again tonight.
B: That’s okay, I’ll bring some coffee and keep you company.
(A:今夜もまた残業しなきゃいけないんだ。)
(B:大丈夫、コーヒーを持って行って、そばにいてあげるよ。)
恋人や友人同士のやりとりで使える表現です。相手の負担にそっと寄り添う気持ちが、この一言ににじみます。
あわせて覚えたい関連表現
hang out with someone
(〜と一緒に過ごす、つるむ)
こちらはもっとカジュアルに「一緒に時間を過ごす」表現です。keep someone company が「寂しくないよう付き添う」気遣い寄りなのに対し、hang out は対等な友人同士で気ままに過ごすニュアンスが強くなります。
be there for someone
(〜の力になる、そばにいて支える)
物理的な同席だけでなく、精神的な支えまで含む表現です。keep someone company が「その場に一緒にいる」ことに焦点があるのに対し、be there for は「困ったときに支えになる」という、より深い意味合いを持ちます。
accompany someone
(〜に同行する、付き添う)
1語で「付き添う」を表すフォーマルな動詞です。意味は近いのですが、accompany はやや硬く、案内や送迎の文脈で使われます。日常会話の温かみを出したいときは keep someone company のほうが自然です。
Note|「相手をする」を英語にすると「会社」が出てくる不思議
keep someone company という表現でつまずきやすいのが、company という単語です。多くの人にとって company は真っ先に「会社」が浮かぶ単語ですが、なぜ「付き添い」の意味でここに出てくるのでしょうか。
答えは、company という語の来歴にあります。company の語源はラテン語の companio にさかのぼり、com(一緒に)+ panis(パン)で「パンを分け合う仲間」を指しました。つまりこの単語の一番古い核は「会社」ではなく「ともに過ごす仲間・同席」なのです。「会社」という意味はむしろ後から派生したもので、「事業をともにする仲間の集まり」という発想から生まれました。英語では今でも company が「同席・つきあい」の意味で日常的に使われ、enjoy your company(あなたといると楽しい)、in good company(良い仲間に囲まれて)といった表現に残っています。
こう見ると、keep someone company の company は決して特殊な用法ではなく、むしろ語源に忠実な使い方だとわかります。「会社」の意味だけで company を覚えていると出会ったときに戸惑いますが、「一緒にいること」という核をつかんでおけば、すっと腑に落ちます。
日本語の「相手をする」と英語の「company を保つ」。発想の違いが見えてくる一語です。
まとめ|レイチェルが軽く引き受けた「付き添い」から
keep someone company は、誰かが一人にならないよう、そばにいて時間をともにすることを表す表現です。company の核が「会社」ではなく「同席・つきあい」だと押さえておくと、意味がぶれずに使えます。
待っている人にそっと寄り添うとき、寂しがる家族のそばにいるとき、この一言があれば気遣いを自然に言葉にできます。レイチェルがウォルサム氏の頼みを軽く引き受けたように、日常のさりげない場面で口をついて出る表現です。
「そばにいてあげる」という気持ちを伝えたいとき、表現の引き出しに加えてみてください。


コメント