海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
隠しごとが今にもばれそうになった瞬間、とっさに口から出まかせの説明が飛び出してしまう場面が、ドラマにはときどきあります。
そんな場面にぴったりの「rip off」を、『フレンズ』シーズン6第11話の中盤、ロスの持つテーブルの出どころをめぐって、レイチェルがとっさに言い張る場面から、一緒に見ていきましょう。
「rip off」の意味とニュアンス
rip off
意味:(デザインなどを)パクる・盗用する
rip offは、他人のデザインやアイデアをそっくり真似て使うことを表す句動詞です。日本語の「パクる」に近い響きがあり、真似ることそのものに対する非難の気持ちが含まれます。あとには、真似された物やデザインなどが続きます。
同じ形で、人を目的語にした「rip 人 off」という言い方もあります。この形では「(人)からお金を不当に取る」「ぼったくる」という意味になります。日本語では別の言葉になる2つの意味が、英語では同じrip offで表されます。どちらの意味なのかは、あとに続く目的語と、話の流れで見分けます。
場面で使われている形は「has ripped off the design of our antique」です。見出しにしている原形のrip offが現在完了のhas ripped offになり、目的語にはthe design of our antiqueが置かれています。ripの過去分詞はpを重ねたrippedです。「私たちのアンティークのデザインをパクった」という意味の文で、パクった側と、パクられた品がはっきり示されています。
【ここがポイント!】
- 「rip off」の核は、他人のものを引きはがして自分のものにするイメージ
- 物やデザインが目的語なら「パクる」、人が目的語なら「ぼったくる」
- 過去形・過去分詞は ripped off になる
『フレンズ』S06E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ロスのシーツをめぐるやり取りのあと、フィービーがテーブルの出どころをたずねる場面です。ロスが店の名前を答えると、レイチェルがそれを受けて声を上げ、フィービーもその話に加わっていきます。
Phoebe: Where did you get this?
(これ、どこで手に入れたの?)Ross: At Pottery Barn, okay?
(ポッタリーバーンだよ。いいだろ?)Rachel: Oh, my God! Pottery Barn has ripped off the design of our antique!
(うっそ! ポッタリーバーンが、私たちのアンティークのデザインをパクったのよ!)Phoebe: Wow. If they’ve ripped off our table… …ours must be worth much more than one and fifty dollars.
(わあ。あっちが私たちのテーブルをパクったんなら……うちのは1ドル50セントよりずっと価値があるはずよね。)Friends Season6 Episode11(The One with the Apothecary Table)
シーン解説と心理考察
レイチェルの「Pottery Barn has ripped off the design of our antique!」は、ロスの答えをそのまま利用したとっさの言い分です。ロスの「At Pottery Barn, okay?」は、問われたことに端的に答える一言で、事実だけを述べています。その答えを聞いたレイチェルは、直後に、その店こそがパクった側だと言い切って、話の向きを変えています。
背景には、レイチェルの事情があります。同じテーブルをポッタリーバーンで買ったレイチェルは、フィービーが来る前に、ロスに、フィービーへ自分のテーブルを本物だと話したと打ち明けていました。店が真似をしたという説明は、その話とつじつまを合わせるための言葉です。ここでrip offは、事実を述べる言葉というより、状況を切り抜けるための言葉として使われています。
「Oh, my God!」のひと言を先に置いてから文を続ける運びも、会話の温度を変えています。驚きの言葉を先に出すことで、そのあとの言い分が、思いがけない発見を伝える文として響きます。
フィービーは、その説明を疑わずに受け止めます。「If they’ve ripped off our table」と、同じ言葉を使ってレイチェルの言い分を引き取り、値段の話へつなげています。作中では、テーブルの値段は1ドル50セントだとレイチェルが話していました。フィービーはその金額と見比べて、「もっと価値があるはず」と結論づけています。
事実を知るロスと、言い張るレイチェル、それを真に受けるフィービーという3人の温度差が、rip offという短い言葉の周りに集まっています。同じ「パクられた」という言葉が、話す人の立場によって、まったく違う重みを持つ場面と言えます。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
紙をびりっと引きはがして(rip off)、そのまま持っていく様子を思い浮かべてみましょう。他人のデザインを引きはがして、自分のもののような顔をして使うイメージが、rip offの芯にあります。
ぼったくりの意味も同じ感覚でつながります。お金を引きはがして持っていくイメージです。引きはがされる対象が、デザインなら「パクる」、お金なら「ぼったくる」と変わります。
ロスのテーブルを前にしたレイチェルの一言も、「店に引きはがされた」という設定を、その場でつくり出したものでした。引きはがす側と、引きはがされる側という2つの立場を思い出すと、使い方の形もすっと頭に入ります。パクる意味なら「誰が、何を」、ぼったくる意味なら「誰が、誰から」と、主語と目的語の組み合わせを確かめながら覚えるのがおすすめです。
例文で覚える「rip off」
パクる、ぼったくる、会話と、使い方の幅を3つの例文で確認していきましょう。
That store ripped off my design and sold it as their own.
(あの店は私のデザインをパクって、自分たちの商品として売った。)
模倣に怒る場面です。目的語のmy designが、真似された物にあたります。
I think the taxi driver ripped me off. It cost three times the usual price.
(あのタクシーの運転手にぼったくられたと思う。いつもの3倍もしたんだ。)
高すぎる料金に気づいた場面です。人を目的語にすると、「ぼったくる」の意味になります。meがripとoffの間に入っている点にも注目です。
A: Doesn’t this logo look familiar?
B: Yeah, they totally ripped it off.
(A:このロゴ、見覚えない?)
(B:うん、完全にパクってるよね。)
似たデザインに気づく往復会話です。itが指す物が、真似された側になります。
あわせて覚えたい関連表現
copy
(まねる・コピーする)
copyは、中立的に「まねる」を表す語です。rip offは、不当にそっくり真似たという非難の気持ちが加わります。
knock off
(まねて作る・模倣品)
knock offは、模倣して作る動作や、その模倣品(a knockoff)を指します。rip offは、真似る行為そのものへの非難を込めた動詞です。
cheat
(だます)
cheatは「だます」全般を指します。rip 人 offは、お金を取ってだます場面に寄った言い方です。
Note|同じrip offで表す、「パクる」と「ぼったくる」
rip offは、日本語では別々の言葉になる2つの意味を持っています。目的語に何が来るかで、どちらの意味になるかが決まります。
物やデザインを目的語にすると、「パクる」の意味になります。場面の「ripped off the design of our antique」がこの形で、真似された品が目的語として続いています。
人を目的語にすると、「ぼったくる」の意味になります。「They ripped me off」のように、rip 人 offの形で、人がripとoffの間に入ります。同じ動詞でも、目的語の置き場所と種類で、意味が切り替わります。
この2つの意味は、どちらも「不当に奪う」という点でつながっています。デザインなら考えた人の成果を、ぼったくりなら相手のお金を、不当に取っていくという感覚です。
名詞のrip-offもあり、「ぼったくり」を表します。「What a rip-off!」のように、高すぎる値段への不満を一言で言い表せます。
会話で出会ったときは、目的語が物なのか、人なのかを先に見分けると、訳し方に迷いにくくなります。
まとめ|「パクる」を伝える一言
rip offは、他人のデザインやアイデアを不当に真似ることを表す句動詞です。人を目的語にすれば、お金を不当に取る意味にもなります。
模倣に気づいたときにも、料金に納得がいかないときにも、目的語を変えるだけで使い分けられる表現です。
同じテーブルを前に、店が真似をしたのだと主張するレイチェルと、それを真に受けるフィービー。その温度差の中心にあった短い言葉として、rip offを覚えておくと、場面の記憶と一緒に定着しやすくなります。


コメント