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会議で上司の意見にどうしても違う考えを伝えなければならなくて、角を立てずに切り出す言葉を探したことはありませんか。
そんな場面で頼りになる「with all due respect」を、『フレンズ』シーズン6第17話の前半、ジョーイが研究の参加者を受け付ける施設の受付で、丁寧に切り出しながら申し込みを頼み込むシーンから、一緒に見ていきましょう。
「with all due respect」の意味とニュアンス
with all due respect
意味:失礼ながら、恐れ入りますが
with all due respect は、相手への敬意を示したうえで、異なる意見や反論を切り出すときの前置きです。due は「当然払うべき」という意味で、全体を直訳すると「当然払うべき敬意をすべて払ったうえで」となります。反対意見を述べる前に、敬意はきちんと持っていますよ、と先に示しておく形です。
あとには、but のあとに続くような反対の内容が来るのが基本です。「失礼ながら、私はそうは思いません」「恐れ入りますが、それは事実と違います」のように、丁寧な言い方で、はっきりと異を唱えます。かたい響きを持つ表現なので、会議、交渉、議論など、相手に敬意を示しながら意見を述べたい場面によく合います。
ただし、丁寧な言い方でありながら、そのあとに来るのは反対の内容だと受け取られやすい表現でもあります。相手から見ると、これから異論を述べる合図として聞こえるため、使うときは、反論の中身を落ち着いた言葉で続けることが大切です。
【ここがポイント!】
- 核は、相手への敬意を先に示したうえで、異なる意見を切り出す前置き
- 反対の内容を丁寧に述べたいときに使う、かたい響きの表現
- 文頭に置いても、コンマで挟んで文の途中に置いても使える形
『フレンズ』S06E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ジョーイが、研究に参加する人を受け付けている施設の受付を訪れます。フルネームで名乗ったあと、with all due respect と前置きしながら研究への参加を申し出ますが、受付からは、今は参加者を募集していないと返されます。
Joey: Hi. Uh, I’m Joey Tribbiani and, with all due respect I’d like to donate some fluids.
(どうも。えっと、俺はジョーイ・トリビアーニなんだけど、失礼ながら、体液を提供したいんだ。)Receptionist: We’re actually at the end of one of our research cycles so we’re not looking for applicants right now.
(実は今、研究の1サイクルが終わるところで、応募者は募集していないんです。)Joey: Oh, that’s too bad; I kind of been saving up. Uh… are you sure there’s no studies I could participate in?
(ああ、そりゃ残念だな。俺、ちょっとためてたんだけどさ。えっと……参加できる研究は本当にないのか?)Receptionist: Well, here’s a schedule of what’s coming up.
(えっと、これから始まる研究の予定表がこちらです。)Friends Season6 Episode17(The One with Unagi)
シーン解説と心理考察
ジョーイは、Hi. Uh, と切り出してから、I’m Joey Tribbiani とフルネームで名乗ります。その直後に置かれたのが with all due respect です。この表現は、本来は反論の前置きとして使われるため、あとには反対の内容が続くのが基本ですが、ここでは I’d like to donate some fluids と、自分の申し出が続いています。反論ではなく、丁寧に切り出したい気持ちを添えるために、この形を使っています。
つまり、with all due respect の意味そのものより、「丁寧な切り出し方」という響きだけを借りている場面です。名乗りのあとにこの形を挟むことで、ジョーイなりに礼儀正しく頼んでいる様子が伝わります。
受付の返答には、actually が入っています。We’re actually at the end of one of our research cycles と、「実は」と前置きして、募集していない事情を伝えます。not looking for applicants right now の right now は、「今は」という限定です。ずっと募集していないのではなく、ちょうど今の時期は受け付けていない、という言い方になっています。
ジョーイは Oh, that’s too bad と言ったあと、I kind of been saving up と続けます。この kind of been は、have が抜けた口語の形で、くだけた話し方がそのまま出ています。そして are you sure there’s no studies I could participate in? と、すぐには引き下がらず、本当に他の研究はないのかと確かめます。are you sure は、相手の答えを疑うというより、念を押して確認する言い方です。
受付は、それに対して here’s a schedule of what’s coming up と、これから始まる研究の予定表を示します。断る一方で、次につながる情報を差し出す対応です。丁寧に切り出したジョーイと、予定表を示す受付とのやり取りが続く流れになっています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
with all due respect を覚えるコツは、相手にまず一礼してから、そっと意見を差し出す様子を思い浮かべることです。敬意(respect)を先に置いて、そのあとの反対意見の角を丸くする言葉、と覚えておくと、使う場面が想像しやすくなります。
ジョーイの場面は、礼儀正しく一礼してから、自分の申し出を差し出す姿と重なります。もちろん、ここでは反論ではなく申し出ですが、一礼してから話すという順序は同じです。敬意を先に、中身はあとに。この順番を押さえておくと、会議で反対意見を述べるときにも、自然と口から出てきます。
例文で覚える「with all due respect」
丁寧に反対意見を切り出す with all due respect を、3つの例文で確認していきましょう。
With all due respect, I think the deadline is too tight.
(失礼ながら、締め切りは厳しすぎると思います。)
会議で、日程に異を唱える場面です。文頭に置いて、そのあとに自分の意見を続ける、いちばん基本の形です。
With all due respect, that’s not what we agreed on.
(失礼ながら、それは私たちが合意した内容ではありません。)
約束や契約の内容を確かめ直す場面です。丁寧な前置きがあるため、指摘が強くなりすぎず、落ち着いた調子で伝わります。
A: Let’s order pizza again tonight.
B: With all due respect, we’ve had pizza three nights in a row.
(A:今夜もピザを頼もうよ。)
(B:失礼ながら、3日連続でピザだったよ。)
友人同士の夕食の相談で、少し改まった調子で異を唱える会話です。前置きのあとに、理由を具体的に続けると、反対の意図が明確に伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
no offense, but
(悪気はないんだけど)
with all due respect がかたい響きで、会議や交渉の場に合うのに対し、no offense, but はくだけた言い方で、友人同士の会話でも使えます。
I hate to say this, but
(言いたくないんだけど)
I hate to say this, but は、言いにくいことを言う気まずさを示す前置きです。with all due respect は、気まずさではなく、相手への敬意を前面に出します。
if I may
(よろしければ)
if I may は、発言や提案をしてよいかと許可を求める前置きです。with all due respect は、許可を求めるのではなく、反対意見を述べる前に敬意を示す前置きです。
Note|with all due respect を文のどこに置くか
今回のシーンで、ジョーイは I’m Joey Tribbiani and, with all due respect I’d like to donate some fluids. と言いました。with all due respect が、名乗りと申し出の間に挟まれている形です。この位置に注目すると、with all due respect の置き方が見えてきます。
with all due respect は、文頭に置く形がいちばん基本です。With all due respect, I disagree. のように、コンマのあとに主張の文を続けます。反対意見を述べる前に、最初に敬意を示すため、聞き手にも心の準備をしてもらえます。
一方、コンマで挟んで、文の途中に置くこともできます。The plan, with all due respect, is too risky. のように、主張の文の途中に挟む形です。この形では、主語を述べたあとに敬意を添えて、続く内容を和らげます。
ジョーイの発言も、この文の途中に置く形にあたります。and のあとに with all due respect を挟み、そのあとに I’d like to donate some fluids と続けています。文頭に置くのではなく、名乗りを済ませてから切り出す形にしたことで、名乗りと申し出の間に、ひと呼吸の丁寧さが入ります。
文頭なら、最初に敬意を示す。文の途中なら、内容を和らげる。置く位置で、前置きの働き方が少し変わります。
まとめ|敬意を先に示して、意見を切り出す
with all due respect は、相手への敬意を示したうえで、異なる意見を切り出す前置きの表現です。かたい響きを持つため、会議や交渉など、丁寧に反対意見を述べたい場面に合います。
文頭に置いても、コンマで挟んで文の途中に置いても使えます。敬意を先に示して、中身はあとに続ける。この順序を押さえておくと、角を立てずに意見を伝える手がかりになります。
相手に敬意を払いながら、自分の考えをきちんと伝えたい場面が来たら、表現の引き出しに加えてみてください。


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