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『メンタリスト』シーズン2第9話は、宝石店の強盗事件をめぐる捜査が進んでいく回です。今回は、容疑者について語り合うジェーンとリズボンの短いやり取りから、「like someone for it」と「look good for it」という、容疑者への見立てを述べるときの捜査英語を読み解きます。
誰が犯人かという結論そのものよりも、疑いの度合いをどう言葉にするかという言い回しに注目していきます。
「I like him for it」- 直感的な疑いを言い切る言い方
尋問を終えたあと、場面はCBIのオフィスに移ります。捜査官の一人が、周囲の反対を先回りするように、自分の直感を短く言い切る場面です。ここでは、誰が怪しいと名指しされているかという捜査の中身そのものよりも、疑いの度合いを言葉でどう表すかという言い回しの機能に注目します。
Well, I don’t care what you’re gonna say. I like him for it.
(「何と言われようと構わない。あいつが怪しいと思っている。」)The Mentalist Season2 Episode9 (A Price Above Rubies)
like someone for itのforは「~の容疑で」という意味合いで使われ、like ~ for itというまとまりで「証拠はさておき、~が怪しいと思う、~が犯人だという直感がある」という捜査官の口語表現になります。日常会話のlikeが持つ好意の意味とは違い、ここでは疑いの気持ちを表している点が特徴です。I don’t care what you’re gonna sayという前置きは、反論をあらかじめ封じておく言い方で、根拠より直感を優先する話し方の癖がにじみ出ています。理屈よりも先に結論を口にする、性急な言い回しです。犯罪捜査を扱う会話では、証拠がまだ固まっていない段階での第一印象を口にする際に、こうした言い切り型の表現がしばしば登場します。
「look good for it」- 表面的な怪しさを述べる言い方
直感を言い切った側に対して、もう一方は同意とも反論ともつかない、慎重な言い回しで応じます。ここで使われているのが、疑わしく見えるという状態を客観的に述べるlook good for itという表現です。
He looks good for it, superficially, at least.
(「少なくとも表面的には、彼が怪しく見えるのは確かだ。」)The Mentalist Season2 Episode9 (A Price Above Rubies)
look good for itは、「状況証拠から見て怪しく見える、容疑者らしく見える」という意味の口語表現です。look goodはふつう「見栄えがよい」という意味ですが、for itが続くことで「その容疑にふさわしく見える」という捜査独特の意味合いに転じます。superficially, at leastという言い添えが示すとおり、これはあくまで表面上の印象を述べているにすぎず、断定を避ける慎重な言い回しになっています。like ~ for itが直感を言い切る強い言い方であるのに対し、look good for itは状況証拠に基づいた見立てを一歩引いた調子で示す言い方であり、同じ「怪しい」を表すにも温度差があることが読み取れます。断定を避けつつも疑いは残しておく、というこの絶妙な距離感こそが、look good for itという言い回しの持ち味だといえます。
まとめ|「怪しい」を語る二つの温度感
like someone for itは根拠より直感を優先する言い切り方で、look good for itは状況証拠に基づいた慎重な見立ての示し方です。同じ「容疑者として怪しい」という状況でも、話し手の確信の強さによって選ばれる言葉が変わってくることが見えてきます。
捜査の現場で交わされるやり取りには、こうした温度差のある言い回しがこれからも登場しそうです。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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