「right off the bat」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E16で学ぶ英会話

「right off the bat」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

初対面の相手が、名乗り終わるか終わらないかのうちに「まず最初に申し上げますが」と切り出してきて、少し身構えてしまったことはありませんか。

そんな場面で使われる「right off the bat」を、『メンタリスト』シーズン2第16話の序盤、ウイルス漏洩の通報で研究施設に駆けつけたリズボンとジェーンの前に、施設の責任者が現れて全面協力を宣言するシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「right off the bat」の意味とニュアンス

right off the bat
意味:のっけから、まず最初に、いきなり

何かが始まった直後、一拍も置かずに事が起きたことを表す言い方です。野球で打者が最初の一球をそのまま打ち返す様子から生まれたとされ、バットを離れた瞬間にはもう打球が飛んでいる、という速さがそのまま意味になっています。

日本語にすると「まず最初に」となりますが、順序としての一番目を指す first of all とは重心が違います。first of all が「一、二、三」と並べたときの一番目なのに対し、right off the bat は「間を置かずに」という時間の感覚を伝えます。様子見の一球を見送らなかった、という含みがあると考えると分かりやすくなります。

文頭に置いて「これから本題に入ります」と宣言する使い方が最も多く、会議や面談の切り出しでよく耳にします。一方で「彼はのっけから給料の話をしてきた」のように、相手の唐突さへの戸惑いを伝える形でも使われます。カジュアルな雑談から仕事の場まで幅広く使えて、堅すぎず砕けすぎない、扱いやすい表現です。

【ここがポイント!】

  • 打者が第一球を打ち返す速さがそのまま意味になっている表現
  • 「順序として最初に」ではなく「間を置かずに」という時間の感覚が核
  • 切り出しの宣言にも、相手の唐突さへの戸惑いにも使える二面性が便利

『メンタリスト』S02E16のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

致死性ウイルスが漏れたという通報を受け、リズボンとジェーンが研究施設に到着した直後の場面です。現場はすでに州の疾病対策当局が押さえていて、責任者のハーケンは主導権がこちらにあることを二人に念押しします。そこへ割り込むように現れるのが、施設を運営する企業側の責任者プライス。彼の第一声に、このフレーズが使われます。

Harken: Our investigation has priority. Now are we cool with that?
(我々の調査が優先だ。それでいいな)

Lisbon: Absolutely.
(もちろんです)

Price: Scott Price, I manage this facility for Zitek Biosystems Division. Right off the bat, let me assure you that we as a company are 110% committed to giving you the best possible cooperation.
(スコット・プライスです。ザイテック生物工学部門でこの施設を管理しています。まず最初に申し上げておきますが、当社は全力でご協力する所存です)

Lisbon: Thank you, Mr. Price. Shall we? There’s a sense of urgency here.
(ありがとうございます、プライスさん。先を急ぎましょう)

The Mentalist Season2 Episode16(Code Red)

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シーン解説と心理考察

名乗りと協力表明が、ひと息のうちに続けて出てくるのが特徴的な場面です。プライスは質問される前に答えを置き、110%という数字まで添えて誠意を印象づけようとします。相手が疑問を口にする隙を作らない話し方であり、この滑らかさこそがジェーンの観察対象になっていきます。

対するリズボンの返しは短く、礼を述べたあとすぐ案内を促します。急を要する現場で、企業側の前置きに付き合う時間はないという判断が伝わってきます。三者の力関係と、それぞれが何を優先しているかが、わずか数十秒で提示される場面と言えます。

このあと施設のセキュリティが二か月間停止していた事実が明らかになりますが、プライスはその時点でそれを把握していました。開口一番の全面協力宣言が、実は自分の落ち度から視線をそらすための先手だったと分かる作りになっており、後から見返すと味わいの変わるシーンです。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

バッターボックスに立った打者が、投げ込まれた第一球をいきなり振り抜く。その打球音を思い浮かべると、この表現の速度感がそのまま体に残ります。様子を見る一球目がない、というのがこの言葉の中身です。

劇中のプライスは、名乗りと協力表明を一息でつなげ、相手に質問の隙を与えません。バットの一振りと、彼の切り出しの速さを重ねて記憶しておくと、会議の冒頭で「まず最初に」と言いたくなった瞬間に、この表現が口をついて出やすくなります。バットから離れた球が、もう外野へ飛んでいる。その残像ごと覚えておきたい表現です。

例文で覚える「right off the bat」

文頭に置く使い方と、相手の唐突さを語る使い方の両方があります。三つの例文で、その振れ幅を見ていきましょう。

Right off the bat, I want to thank everyone for making time on such short notice.
(まず最初に、急なお願いにお時間をいただいた皆さんにお礼を申し上げます)
社外の相手を招いた打ち合わせの冒頭で、本題に入る前に謝辞を置く場面です。前置きを短く切り上げて要点へ進むという合図として機能します。

I knew right off the bat that this apartment was the one.
(この部屋だと、見た瞬間に分かりました)
内見の思い出を語るような、くだけた場面での使い方です。じっくり検討したのではなく、入った瞬間に決まったという即断ぶりが伝わります。

A: How was the interview?
B: Rough. They asked about my salary expectations right off the bat.
(A:面接どうだった?)
(B:きつかったよ。のっけから希望年収を聞かれてさ)
友人同士で面接の感想を交わす会話です。順番を飛ばして核心から入られた戸惑いが、この一語に込められています。

あわせて覚えたい関連表現

from the get-go
(最初っから)
right off the bat が「開始直後の一撃」を指すのに対して、こちらは開始時点からずっと続いている状態を表します。「最初からそうだった」と言いたいときはこちらが自然です。

at the outset
(冒頭で、当初は)
同じく物事の初めを指しますが、書き言葉寄りで硬さがあります。報告書や式辞では収まりがよく、友人との雑談では堅苦しく響きます。

straight away
(すぐに、ただちに)
行動の早さだけを表し、「始まりの地点」という含みは薄い表現です。イギリス英語での使用頻度が高い点も、覚えておくと使い分けの助けになります。

Note|バットから飛び出した言葉

野球の一球から生まれた言い回しが、なぜ会議室の冒頭で使われているのでしょうか。この表現の来歴をたどると、アメリカ英語の地層のようなものが見えてきます。

right off the bat は、打者が最初の投球をそのまま打ち返す様子に由来し、20世紀初頭のアメリカで広まったとされています。ただし異説もあり、クリケットの打席を起源とする見方も紹介されていて、決着はついていないとされています。確かなのは、この表現が定着した時期のアメリカで野球が国民的な娯楽だったという背景です。

英語には、野球由来とされる日常表現が驚くほど多く残っています。おおよその見積もりを指す ballpark figure、連絡を取り合う touch base、予想外のところから来た話を指す out of left field、失敗を表す strike out、備えを固める cover all the bases。いずれも球場の光景を知らなくても意味が通じるまでに一般化していて、もはや野球の話をしている自覚なしに使われています。日本語で「土俵際」「肩透かし」を相撲と切り離して使うのと似た現象と言えます。

この背景を知っておくと、right off the bat が持つ「様子見をしない」という感触の理由が腑に落ちます。一球目を見送るという選択肢を捨てた打者の姿が、表現の芯に残り続けているためです。

打席の一振りは、今も会話の冒頭で鳴り続けています。

まとめ|プライスの「まず最初に」が残したもの

right off the bat は、順序の一番目ではなく、間を置かない速さを伝える表現です。第一球をそのまま打ち返す打者の姿が芯にあり、様子を見る時間を省いたという含みが常について回ります。

会議の冒頭で結論を先に置きたいとき、あるいは相手の唐突な切り出しに戸惑ったとき、この一語があるだけで話の輪郭がはっきりします。堅すぎず砕けすぎない位置にあるため、仕事の場でも友人との会話でも同じ形で使えるのが心強いところです。

劇中のプライスは、この言葉で誠意を先に差し出してみせました。速さそのものが何かを隠す道具にもなるという、少し皮肉な使われ方です。切り出しの一言として、表現の引き出しに加えてみてください。

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