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終わってから振り返ると、あのときこうすればよかったと簡単に分かるのに、渦中にいたときはまるで見えていなかった。そんな経験はありませんか。逆に「後から言うのは簡単だよ」と返されて、言葉に詰まったことがあるかもしれません。
そんな感覚を言い当てた「hindsight is 20/20」を、『メンタリスト』シーズン6第8話の終盤、長く続いてきた因縁に区切りがつく場面でのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「hindsight is 20/20」の意味とニュアンス
hindsight is 20/20
意味:後から見れば何でもよく分かる、後知恵なら何とでも言える
20/20 は、アメリカの視力検査で使われる数値表記で、日本の視力1.0にほぼ相当する「正常な視力」を意味します。過去の出来事を振り返るときの理解力を完璧な視力にたとえ、渦中にいた当時は見えなかったことも、後から振り返れば鮮明に見える、という感覚を表した言い回しです。
使われ方は大きく二通りあります。ひとつは、相手の後知恵的な指摘に対して「今だから言えることだ」と軽くいなす使い方。もうひとつは、自分の過去の判断を振り返って「今なら分かるけれど」と前置きする使い方です。
どちらの場合も、当時の判断を全面的に否定しているわけではない、という含みが残ります。だからこそ、反省の言葉としても、反論の言葉としても機能します。
【ここがポイント!】
- 20/20 は「正常な視力」を表す数値表記からきている一言
- 「今だから見える」ことへの、少し皮肉を含んだ言い方
- 相手の後付けの指摘を受け流すときにも、自分の判断を弁護するときにも使えるのがコツ
『メンタリスト』S06E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
物語全体を通じた大きな謎の答え合わせにあたる場面です。詳しい経緯はここでは伏せますが、ジェーンが積み重ねてきた推理を、長年の相手にぶつけていく終盤のやり取りから見ていきます。なお、以下は物語の核心に触れない範囲で要約しています。
Jane: …And you brought the body to my house in the trunk of your car and you put it alongside Stiles and Haffner.
(…そして、その死体を車のトランクで僕の家まで運び、二人の遺体の横に並べたんだ。)Red John: Very good. Your hindsight is 20/20.
(お見事。後から見れば何でも見通せるものだね。)The Mentalist Season6 Episode8 (Red John)
シーン解説と心理考察
長年追い続けてきた謎の真相を、ジェーンが一つひとつ言い当てていきます。対する相手は否定せず、むしろ淡々と正解を認め続けている点が印象的です。
「お見事」と称賛しつつ、その直後に添える hindsight is 20/20 は、賞賛のようでいて皮肉としても響きます。今だから分かることを、さも最初から見抜いていたかのように語るな。そんな含みが、短い一文に折り込まれています。
追い詰められているはずの側が、なお言葉の上での主導権を手放していない。称賛と牽制を同じ一言でこなすこの返し方に、この人物が長く保ってきた余裕がにじんでいます。ジェーンの側が沈黙で応じている点も、二人の関係の距離を映しています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
「振り返って見るとき(hindsight)だけは、いつも完璧な視力(20/20)になる」というイメージで覚えると分かりやすい表現です。
渦中にいるときは霧の中にいるようにぼんやりとしか見えなかったことが、時間が経つと急にくっきり見えてくる。あの感覚がそのまま比喩になっています。
劇中でも相手は、ジェーンが今になってすべてを見抜いたことを「後からなら誰でも見える」といなしており、視力の比喩がそのまま台詞のトーンと重なっています。前を見るときの視力ではなく、後ろを振り返るときだけ良くなる視力。そう覚えておくと、使いどころも一緒に思い出せます。
例文で覚える「hindsight is 20/20」
過去の判断や出来事を振り返って評価する場面で使える表現です。3つの例文で、使われ方の幅を見ていきましょう。
Of course the deal fell through—hindsight is 20/20, but nobody could’ve predicted it at the time.
(もちろん取引は破談になった――後から見れば分かることだけど、当時は誰にも予測できなかったよ。)
失敗した案件を振り返る会議での場面です。but 以降に「当時は分からなかった」と続けるのが定番の形になります。
It’s easy to criticize the coach’s decision now, but hindsight is 20/20.
(今となっては監督の判断を批判するのは簡単だけど、後知恵なんだよね。)
スポーツの論評などで見かける使い方です。後から出てきた批判に対する反論として機能します。
A: You should’ve just told them the truth from the start.
B: Well, hindsight is 20/20. At the time, I thought I was doing the right thing.
(A:最初から本当のことを話しておけばよかったのに。)
(B:まあ、後から見れば何とでも言えるよ。あのときは正しいと思ってやったんだ。)
過去の判断を指摘された場面での返答です。当時の自分の判断を静かに弁護する言い方としても使えます。
あわせて覚えたい関連表現
Monday morning quarterback
(結果を見てから偉そうに批評する人)
hindsight is 20/20 が「後から分かる」という状況を指すのに対し、こちらは「後から偉そうに批評する人」という人物像を指す名詞句です。
easier said than done
(言うは易く行うは難し)
計画や提案の実行の難しさを指す表現で、過去を振り返るという時間軸のニュアンスは持ちません。
know better now
(今なら分かっている)
自分自身の学びや成長に焦点がある表現で、他人への皮肉として使われることは少ない点が違いになります。hindsight is 20/20 はより一般論的・格言的な響きを持ちます。
Note|20/20という数値はどこから来たのか
hindsight is 20/20 という表現の鍵を握るのは、20/20 という一見不思議な数字です。
20/20 は、アメリカで使われる視力検査の表記で、20フィート離れた位置から、正常な視力の人が20フィート先で見分けられるものを見分けられる、という意味になります。日本の視力1.0 にほぼ相当し、検査結果として「正常」を示す代表的な表記です。20/40 なら、正常な視力の人が40フィート先から見分けられるものを、20フィートまで近づかないと見分けられない、という読み方になります。分子が測定距離、分母が基準距離という構造を知っておくと、数値の意味がつかみやすくなります。この医学的な表記が「完璧に見える」という比喩として日常会話に転用され、hindsight(後知恵、振り返り)と組み合わさることで、今の言い回しが定着したと説明されます。ただし、この組み合わせがいつ頃から定型句として使われ始めたかについては、はっきりとした記録は確認できていません。
数値そのものは医学的な基準に基づきながら、そこに後知恵という人間くさいテーマを重ねているところに、この表現の面白さがあります。視力は前を見るためのものなのに、この言い回しでは後ろを見るときにだけ働くことになっているのも、皮肉が効いています。
視力の話のはずが、いつのまにか人の心理を言い当てる言葉になっているのです。
まとめ|今だけ見える景色に、名前をつけた表現
hindsight is 20/20 は、渦中では見えなかったことが、後から振り返れば鮮明に見えるという感覚を表す表現です。
視力検査の数値を比喩に使うという発想を知っておくと、この言い回しに出会ったときの理解がぐっと深まります。
長く追いかけてきたものにようやく答えが出た、その直後に置かれた一言でした。重い場面の空気を、ほんの少しだけ軽くしてみせる余韻が残ります。


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