「pull strings」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E03で学ぶ英会話

「pull strings」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

正規の手続きでは通らないはずの話が、誰かの一声であっさり動いてしまう。そんな場面に居合わせて、少し複雑な気持ちになったこと、ありますよね。

そのときの動きをひとことで言い表すのが「pull strings」です。『メンタリスト』シーズン2第3話の中盤、上司ミネリがリズボンを呼び、事件の担当をどう差し替えたかを打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「pull strings」の意味とニュアンス

pull strings
意味:裏で手を回す、コネを使って物事を動かす

strings は操り人形につながった糸のことです。舞台の上では人形が自分で動いているように見えますが、実際には上から見えない糸が引かれている。その光景をそのまま人の社会に当てはめたのが pull strings で、表向きの手続きの裏で誰かが力を働かせている状態を指します。

正式な決裁ではなく、人脈や立場を使って結果を動かすところが要点です。犯罪や不正とまでは言いませんが、公にはしにくい後ろ暗さがつきまといます。とはいえ責める言い方に限られるわけではなく、「無理を通してあげた」という好意的な文脈でも使われます。

pull some strings、pull a few strings のように数量を挟むと「多少は動いた」という程度を示せます。the をつけて pull the strings とすると、その場を実際に動かしている黒幕を指す響きが強まります。

【ここがポイント!】

  • 核は操り人形の糸、表に見えないところで結果を動かすイメージ
  • 不正とまでは言わないが、公にはしにくい後ろ暗さが残る表現
  • some / a few を挟むと程度を、the をつけると黒幕の含みを出せるのが使い分け

『メンタリスト』S02E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

凶器から出た指紋がリズボンのものと判明し、彼女とチームは事件から外されます。上司ミネリの執務室で、事件を外部へ渡すのかと問うリズボンに対し、ミネリは組織内の別部隊へ担当を移したと告げます。その采配について、彼が自分から明かす一言に注目です。

Lisbon: I UNDERSTAND. ARE WE THROWING IT TO THE FBI?
(分かりました。FBIに渡すんですか)

Minelli: HEY, LISBON. HOW ABOUT THIS, HUH? BOSCO. HE KNOWS AS MUCH ABOUT THE McTEER CASE AS YOU DO. IT MAKES SENSE. AND, YES, I HAD TO PULL SOME STRINGS.
(いや、リズボン。これでどうだ。ボスコだ。マクティアーの件は君と同じくらい知っている。筋は通る。ああ、多少は手を回したがな)

Lisbon: THANK YOU. I… GUESS.
(ありがとうございます……たぶん)

Minelli: NO, NO, DON’T– DON’T MISUNDERSTAND ME. IF YOU’RE GUILTY, I WANT YOU NAILED.
(いや、誤解するな。君がクロなら、きっちり落とす)

The Mentalist Season2 Episode3(Red Badge)

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シーン解説と心理考察

ミネリの一言には、二つの意味が同居しています。ひとつは、部下を外部の手に渡さないために自分が動いたという告白。もうひとつは、そのために借りを作ったという事実の提示です。隠さずに口にすることで、感謝を受け取る用意があると同時に、貸しの存在も相手に伝わります。

続けて「君がクロなら容赦しない」と言い添えるところに、この人物の線引きが表れています。庇護と公正さを両立させるために、まず自分の手の内を明かしてから条件を置くという順序になっています。

礼を言うリズボンの返事が歯切れを欠くのも見どころです。守られたことへの感謝と、疑われている立場への居心地の悪さが同時に来ている。pull strings が持つ後ろ暗さが、受け取る側の反応にまで及んでいると言えます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

舞台の上で踊る操り人形を、客席からではなく袖から眺めている場面を思い浮かべてみましょう。正面からは人形が自分の意思で動いているように見えますが、袖に回れば天井から伸びた糸と、それを握る手が見えます。pull strings はこの「袖から見た景色」の言葉です。

指を軽く動かすだけで舞台上の結果が変わる、という手つきの感覚ごと覚えておくと、力の入れ方まで再現できます。劇中のミネリも、決裁の書類を振りかざしたわけではなく、電話一本ぶんの力で担当を差し替えました。糸は太くなくていい、というのがこの表現の勘どころです。

例文で覚える「pull strings」

責める言い方にも、好意的な申し出にも乗せられるのがこの表現です。三つの場面で見てみましょう。

He pulled some strings to get me an interview.
(彼が手を回して、面接をセッティングしてくれた)
紹介で選考に進んだ経緯を人に話す場面です。some を挟む形が、口語ではもっとも自然に響きます。

I’d rather not pull strings. I want to get in on my own.
(コネは使いたくない。自分の力で入りたい)
周囲の申し出を断る場面です。否定形にすると、単なる事実の説明ではなく価値観の表明になります。

A: The restaurant is fully booked for Saturday.
B: Don’t worry. I know the manager. I can pull a few strings.
(A:あの店、土曜は満席だって)
(B:心配ない。店長を知ってるから、少し融通を利かせられる)
予約の取れない店をどうにかしようとする場面です。好意的な文脈でも問題なく使えることが分かります。

あわせて覚えたい関連表現

pull rank
(地位を笠に着る)
自分の役職を正面から持ち出して押し通す言い方です。表に出ない人脈を使う pull strings とは、力の見せ方が逆になります。

know someone
(顔が利く)
人脈があるという状態そのものを指します。その人脈を実際に動かした部分を言うのが pull strings で、両者は段階の違いと考えると整理しやすくなります。

call in a favor
(貸しを返してもらう)
過去の貸し借りを根拠にする言い方です。pull strings は貸しがなくても影響力だけで成立する点が違います。

Note|推薦の国で、それでも後ろ暗い言い方

英語圏では、紹介や推薦が制度として表に出ています。大学出願の推薦状、就職活動の照会先、社内の紹介制度。誰かの口添えで扉が開くことは、隠すどころか手続きの一部として組み込まれています。それなのに pull strings という言い方には、はっきりと後ろ暗さが残ります。

線を分けているのは、その働きかけが記録に残るかどうかです。推薦状は署名され、書式があり、受け手が内容を検証できます。社内の紹介制度には規定があり、紹介者が誰かも明示されます。一方 pull strings は、誰が何を言ったのかが表に出ません。結果だけが動き、経緯は残らない。だからこの表現が使われるとき、聞き手は「正規の順番が飛ばされた」と受け取ります。推薦を受けることと手を回してもらうことが同じ結果につながっても、前者は経歴に書けて後者は書けないという差は、そこから生まれます。

劇中のミネリも、担当を差し替えた理由を書類ではなく口頭で伝えました。筋は通っている、ただし手続きどおりではない。その微妙な位置をひとことで示せるのが pull strings です。

見えない糸は、見えないからこそ言葉になったのでしょう。

まとめ|見えない糸を言葉にする

pull strings は、正規の手続きではなく人脈や影響力を使って結果を動かすことを表します。不正と断じるほどではないものの、経緯が表に残らないという後ろ暗さが常についてまわります。

この一言を持っておくと、組織の中で起きた不透明な動きを、長い説明なしに言い表せます。責める調子にも、好意の申し出にも寄せられるので、相手や場面に合わせて温度を調整できるのも便利なところです。

劇中では、部下を守るために動いた上司が、自分からその事実を口にしました。表からは見えない糸と、それを引く手つき。その絵と一緒に、表現の引き出しに加えてみてください。

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