海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
同僚の様子がいつもと違う、掲示板の貼り紙がいつのまにか増えている。何をどう聞けばいいのかはわからないけれど、とにかく事情を知りたい。そんな場面が、日常には時々あります。
そのときに使えるのが「what’s the deal with」で、〜はどうなっているのか、という意味です。『メンタリスト』シーズン1第22話の中盤、ジェーンが大人の目を離れた数分間に、学校の生徒たちから話を聞き出す場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。
「what’s the deal with」の意味とニュアンス
what’s the deal with
意味:〜はどうなっているのか、〜って何なんだ
deal はもともと「取り決め」「話のつけ方」を指す言葉です。What’s the deal with 〜? は直訳すると「〜についての取り決めはどうなっている?」となり、そこから「その件はいったいどういうことなのか」と事情を尋ねる言い方に広がりました。
最大の特徴は、質問の中身を限定しないところにあります。経緯なのか、金額なのか、人間関係なのか。何を答えるかは相手に委ねられ、聞き手はいちばん話したいところから話し始められます。だから、事前情報がほとんどない状態で切り出すのに向いています。
響きはかなりくだけていて、口調しだいで色が変わります。純粋な好奇心にもなれば、腑に落ちない気持ちや軽い抗議にもなる。改まった場では、Can you explain what the deal is with 〜? のように間接疑問にすると角が取れます。この形では語順が what the deal is に変わる点も、あわせて覚えておきたいところです。
【ここがポイント!】
- 核にあるのは、その裏にある取り決めを見せてほしい、という感覚
- 何を答えるかの選択ごと相手に委ねる、枠を決めない質問の型
- 間接疑問(what the deal is)に変えると、丁寧さと語順が同時に切り替わる
『メンタリスト』S01E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
学校側は、生徒と話すときは教職員の同席が必要だと主張し、CBIが子どもたちに直接近づくのを阻んでいます。そこでジェーンは、屋外授業を担当していた教官の手をロープで縛り、校長に言われたと嘘をついて事務所へ走らせました。教官が戻るまでのわずかな時間が、大人抜きで話を聞ける唯一の機会になります。子どもたちを集めたジェーンが、被害者についてどう切り出すかが見どころです。
Bryan: Elliot’s been here, like, two years, so he knows everything.
(エリオットはもう2年ぐらいここにいるから、なんでも知ってるよ)Jane: Wow, that’s a long time to be stuck out in the woods, huh?
(へえ、森の中にそんなに長く閉じ込められてるのか)Elliot: I like it here.
(僕はここが好きです)Jane: Yeah? So what’s the deal with Justin? Who disliked him?
(そうかい。で、ジャスティンはどうだったんだ? 彼を嫌っていたのは誰かな)Elliot: Nobody. He was fine.
(誰も。いいやつでしたよ)The Mentalist Season1 Episode22 (Blood Brothers)
シーン解説と心理考察
ジェーンは、時間がないにもかかわらず、事件の核心から入っていません。まず学校に長くいる生徒を特定し、そのうえで被害者について「どうだったのか」と、答えの枠を決めない形で投げています。捜査官らしい詰問にしないことで、子どもたちが身構えずに口を開ける空気が生まれています。
この聞き方には、もうひとつの効き目があります。枠がないぶん、返ってきた答えの選び方そのものが情報になるのです。誰も嫌っていなかった、いいやつだった。当たり障りのない答えが返ってきた瞬間、ジェーンは「まるでとんでもない嫌われ者みたいな言い方だな」と揺さぶりをかけました。曖昧な質問だからこそ成立する返しだと言えます。
大人の同席という壁を強引に外してまで確保した数分で、ジェーンが選んだのは尋問ではなく雑談の形でした。相手が子どもであることを踏まえた距離の取り方が、この一言に表れています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
目の前の出来事の裏に、一枚の書類が伏せて置かれている絵を思い浮かべてください。what’s the deal with 〜 は、その紙をめくって「で、これはどういう取り決めになっているの?」と尋ねる動作にあたります。
大事なのは、めくるまで中身がわからないという点です。金額の話が出てくるかもしれないし、人間関係の話かもしれない。聞く側が中身を決めないからこそ、相手は自分の言葉で話し始めます。劇中でジェーンが被害者について投げたのも、まさにこの紙をめくらせる質問でした。伏せた書類をめくる手つきで覚えておくと、雑談でも聞き取りでも使いどころが見えてきます。
例文で覚える「what’s the deal with」
事情をまるごと尋ねる表現なので、話題を切り出す場面によくなじみます。くだけた会話から仕事の確認まで、三つの場面で見てみましょう。
What’s the deal with the new parking rules?
(新しい駐車ルールって、どうなってるの?)
掲示だけ出て説明がない社内ルールについて、同僚に尋ねる場面です。制度や決まりごとを対象にすると、軽い不満のにじむ響きになります。誰が決めたのか、いつからなのか、答えの範囲は相手に任されます。
Can someone explain what the deal is with the delay?
(遅延がどういうことなのか、どなたか説明していただけますか)
進捗が止まった案件を確認する会議での一言。間接疑問にすると語順が what the deal is に変わり、苛立ちの角も取れます。原因を特定せずに全体の説明を求められるのが利点です。
A: Hey, what’s the deal with Tom? He’s been quiet all week.
B: He’s just swamped. Big deadline on Friday.
(A:ねえ、トムどうしたの? 今週ずっと静かだけど)
(B:単に手一杯なだけだよ。金曜が大きな締め切りでね)
同僚の様子が気になって仲間に尋ねる往復です。人を対象にすると、様子がいつもと違うという含みが自然に加わります。
あわせて覚えたい関連表現
what’s with 〜
(〜は何なんだ)
さらに短く縮めた形で、物や状態に向けて使われることが多くなります。同じ第22話の冒頭でも、リズボンが遺体の足に付いた装置を指して What’s with the ankle bracelet? と尋ねる場面があり、聞き比べの材料になります。
what’s going on with 〜
(〜はどうなっているのか)
状況の移り変わりを中立に尋ねる言い方です。腑に落ちないという含みは薄く、心配や進捗確認の色が強くなります。相手を責める響きが出ないため、職場でも使いやすい形です。
what’s the story with 〜
(〜のいきさつは何なのか)
ほぼ同義のくだけた表現で、背景の物語を聞かせてほしいという響きがあります。事実だけでなく経緯まで求めるため、噂話との相性がとくによい言い方です。
Note|質問の枠を相手に渡す聞き方
英語には、何を答えるかの選択ごと相手に手渡してしまう質問がいくつもあります。what’s the deal with 〜 はその代表格で、聞き手の準備不足を、そのまま相手の自由に変えてしまう型だと言えます。
同じ働きをする言い方を並べてみると、共通点が見えてきます。Tell me about 〜、What’s going on with 〜、So, 〜? と語尾を上げるだけの形。いずれも尋ねる中身を指定せず、相手がいちばん話しやすいところから話し始められるようになっています。取材やインタビューの入り口でこうした質問が好まれるのも同じ理由で、範囲を狭めた質問から入ると、聞き手が想定した答えしか出てこないためです。逆に、範囲を決めない質問には、話し手が何を重要だと思っているかが表れます。劇中のジェーンも、返ってきた「誰も嫌っていなかった」という答えの当たり障りのなさから、次の一手を組み立てていました。
日本語にも「〜ってどうなってるの?」という近い言い方がありますが、英語のほうが軽口の色が濃く、深刻な問い詰めには向きません。裏を返せば、重い話題でも空気を重くせずに切り出せる表現だということになります。
聞き方を決めないことが、いちばんよく聞ける方法になる場面もあります。
まとめ|「で、どうなってるの?」を英語で
what’s the deal with 〜 は、事情の中身を指定せずに、その件についてまるごと説明を求める表現です。deal がもともと持っていた「取り決め」の感覚が残っているため、表からは見えない裏側を見せてほしい、という響きになります。
会話に入れておくと、情報がほとんどない状態でも話を切り出せるようになります。制度でも、人の様子でも、請求書の見慣れない項目でも、同じ形で尋ねられる。丁寧に運びたいときは間接疑問に切り替えれば、そのまま職場でも使えます。
劇中のジェーンは、限られた時間の中であえて枠のない質問を選び、返ってきた答えの薄さから次の一歩を見つけました。何を聞くか迷ったときの入り口として、表現の引き出しに加えてみてください。


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