「behind enemy lines」の意味と使い方|『モダンファミリー』S10E19で学ぶ英会話

「behind enemy lines」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

応援しているチームのユニフォームを着たまま、相手チームの応援席に座ることになったら、居心地の悪さを感じるはずです。周りが全員、自分とは反対の側の人たちだからです。

そんな状況を、少し大げさに言い表す表現が「behind enemy lines」です。『モダンファミリー』シーズン10第19話の中盤、ジェイがジャニスに用心しながら話しかける場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「behind enemy lines」の意味とニュアンス

behind enemy lines
意味:敵地のただ中で、敵陣の中で

behind enemy linesは、直訳すると「敵の戦線の後ろに」で、敵が支配している地域の奥に入り込んでいる状況を指します。behindは「~の後ろに」、enemy linesは「敵の戦線」という意味です。敵の戦線を越えて、その向こう側にいるという位置関係が、そのまま表現になっています。

日常会話では、本物の戦場の話ではなく、自分の味方がいない環境や、対立する側の人たちに囲まれた場面を、たとえて言うときに使います。たとえば、ライバルチームの応援席にいるとき、競合する会社の集まりに一人で出向いたときなどです。実際には誰も敵ではなくても、「ここは自分の側ではない」という感覚を、少しユーモアを込めて伝えられます。

形としては、be behind enemy linesが基本です。I’m behind enemy lines here.のように、be動詞のあとに置いて、今いる場所の状況を述べます。「ここは敵陣のど真ん中だ」と、場の雰囲気を一言で言い切る使い方になります。

訳語は、「敵地のど真ん中」「敵陣の中」です。スポーツの場面なら「完全にアウェー」と言い換えても、意味は大きく変わりません。

【ここがポイント!】

  • 文字どおりには「敵の戦線の後ろ」で、「相手側の陣営の中にいる」という比喩として使う
  • 本当の敵がいなくても、自分の味方がいない環境を大げさに表せる
  • sort ofを添えると、言い切りがやわらぎ、たとえとして使っている感じが出る

『モダンファミリー』S10E19のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジェイが、目立たないようにしなければならないと前置きして、ジャニスに話を切り出す場面です。文の途中で何度も言いよどむ様子や、聞き返されたあとの取りなし方が、聞きどころになります。

Jay: Listen, I, uh, got to be discreet. Uh, I’m sort of behind enemy lines here. But, uh, if I’m not mistaken, you’re a fellow, uh,
(いいか、俺は、その、目立たないようにしなきゃならん。その、ここは言ってみれば敵地のど真ん中でな。だが、その、俺の見間違いじゃなければ、あんたは同じ、その、)

— “swinger.”
(「スウィンガー」。)

Janice: Excuse me?
(はい?)

Jay: No, no, it’s okay. I’m cool.
(いやいや、いいんだ。俺は問題ない。)

Modern Family Season10 Episode19 (Yes-Woman)

シーン解説と心理考察

ジェイの発言は、Listen, I, uh, got to be discreet.から始まります。Listenは「いいか、聞いてくれ」と注意を引く言葉で、uhは言いよどみです。got toは「~しなければならない」のくだけた言い方で、discreetは「目立たないよう慎重にふるまう」という意味です。つまり、人目を気にして控えめに動く必要がある、という前置きです。

そのあとのI’m sort of behind enemy lines here.に、今回の表現が入っています。sort ofは「言ってみれば、いくぶん」とやわらげる言葉で、「ここは敵地のど真ん中だ」と言い切るのではなく、「ちょっと敵地みたいなものでね」くらいの、やわらげた言い方にしています。hereは、ジェイが今いる場所を指しています。

But, uh, if I’m not mistaken, you’re a fellow, uh,のif I’m not mistakenは、「間違いでなければ」と、控えめに確かめる前置きです。fellowは「仲間、同じ立場の人」という意味で、you’re a fellow ~は「相手は同じ~の仲間だ」という形になります。ここでも、uhで言いよどんだまま、文が途切れます。この途切れた文に、続く一語がつながります。

それを受けて、ジャニスはExcuse me?と聞き返します。Excuse me?は、相手の発言を聞き返すときの言い方です。そのあとのジェイのNo, no, it’s okay.は、聞き返されたことに対する打ち消しで、「気にしないでくれ」という取りなしになります。I’m cool.は、「俺は問題ない」という意味です。coolは、ここでは「気にしない、構わない」という意味合いで使われています。

全体を通して、用心深く切り出す前半と、聞き返されて取りなす後半の落差が、この場面の面白さです。behind enemy linesという大げさな前置きが、用心の度合いをいっそう強調しています。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

地図の上に、自分の旗だけが相手の陣地の奥に立っている絵を描いてみます。まわりはすべて相手側の旗で、自分だけが違う立場に立っています。この「相手の陣地の奥にぽつんと立つ旗」が、behind enemy linesの絵です。

ジェイの言い方に合わせて、I’m sort of behind enemy lines here.をまるごと口に出しておけば、自分の味方がいない場にいるときの一言として、すぐに取り出せます。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「behind enemy lines」

behind enemy linesは、スポーツ観戦にも、仕事の場面にも使えます。観戦、打ち合わせ、イベントと場面を変えて、使い方の幅を確認します。

As the only fan of our team in the stadium, I felt like I was behind enemy lines.
(スタジアムで自分のチームのファンは私だけで、敵地のただ中にいる気分でした。)
アウェーの観戦で心細さを話す場面です。felt like ~で、「~のような気分だった」とたとえに変えています。

A: How was the meeting with the other team?
B: Tense. It felt like being behind enemy lines.
(A:相手チームとの打ち合わせはどうだった?)
(B:緊張したよ。敵地に乗り込んだ気分だった。)
対立する立場との打ち合わせを話す往復会話です。It felt like ~ingの形で、感想として使っています。

Going to the rival company’s event felt like walking behind enemy lines.
(ライバル会社のイベントに行くのは、敵陣に入っていくような感覚でした。)
競合の場に出向く場面です。walking behind enemy linesとすると、奥へ入っていく動きが加わります。

あわせて覚えたい関連表現

in enemy territory
(敵の領地で、相手の本拠地で)
in enemy territoryは、相手のなわばりの中にいることを表す、ほぼ同じ意味の言い方です。behind enemy linesは、戦線の奥深くまで入り込んでいる感じが加わります。

in the lion’s den
(危険な場所の真ん中に、敵の巣窟に)
in the lion’s denは、危険な相手が待つ場所に、自ら入る状況を指します。behind enemy linesは、相手側の陣営の中という立場に注目します。

like a fish out of water
(場違いな場所にいて落ち着かない)
like a fish out of waterは、慣れない環境で居心地が悪い様子を表します。behind enemy linesは、環境が慣れないかどうかより、周りが相手側であることを表します。

Note|「敵の戦線の後ろ」から「相手側の陣営の中」へ、behind enemy linesの比喩の広がり

behind enemy linesは、文字どおりの意味から、日常の比喩へと広がった表現です。この広がり方を順に見ると、使える場面の見当がつきます。

文字どおりの意味は、「敵の戦線の後ろ」です。enemy linesは、敵と味方が向き合う境目の線のことで、その後ろにいるというのは、敵の勢力圏の奥にいることを表します。ここから、「周りが相手側の人ばかりで、自分の味方がいない」という状況へ意味が移ります。

比喩の段階では、敵は本物の敵である必要がありません。ライバルチームの応援席や、競合会社の集まりのように、自分と立場が違う人たちが多い場所なら、behind enemy linesと呼べます。実際に敵意があるわけではなく、「アウェー」に近い軽さで使うことができます。

もう一つ押さえたいのは、sort ofの働きです。劇中のI’m sort of behind enemy lines here.のように、sort ofを添えると、「ちょっと敵陣みたいなところでね」とやわらかくなります。大げさなたとえに、少しだけ引き気味の言葉を添えて、たとえ話としての軽さを出す使い方です。たとえ話として使うのか、状況を真剣に述べるのかは、この一語で調整できます。

まとめ|自分の味方がいない場を、一言で言い表す

behind enemy linesは、敵の戦線の後ろにいるという文字どおりの意味から、相手側の陣営の中にいるという比喩へ広がった表現です。I’m sort of behind enemy lines here.のように、be動詞のあとに置いて使います。

関連表現のうち、in enemy territoryはほぼ同じ意味で入れ替えられます。in the lion’s denやlike a fish out of waterは、危険や居心地の悪さのほうに重心が移ります。

ジェイが用心深く前置きするなかで使ったこの一言は、sort ofでやわらげながら、場の空気を大げさに言い表していました。周りが自分と違う立場の人ばかりという場面を一言で伝えたいときに、思い出してください。

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