海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン6第13話では、フィルがアシスタントのアンディと過ごす時間が増え、息子のルークとの間に小さなすれ違いが生まれます。親の側と子の側、それぞれの言い分が英語ではっきり言葉にされる回です。
「逆だよ」「だからといって〜ではない」といった、話の向きを正したり線を引いたりする言い方は、日本語で考えると英語に置き換えにくいものです。2人の会話から、その組み立て方を見ていきます。
「Kids that age want distance.」年ごろの子を語る言い方
フィルとアンディの会話の中で、話題は年ごろの子どもへと移ります。
Andy: Teenagers, huh?
(年ごろですね。)Phil: Yeah, it’s been happening more and more, but it’s natural.
(ああ、こういうことがだんだん増えてきてるんだ。でも自然なことさ。)Phil: Kids that age want distance.
(あの年ごろの子は距離を置きたがるんだよ。)Phil: One day, they’re holding your hand so tight it hurts.
(ある日は痛いくらいぎゅっと手を握ってくるのに、)Phil: The next day, they’re eating the apple you kind of wanted.
(次の日には、こっちがちょっと食べたかったリンゴを食べちゃうんだ。)Andy: Not me.
(僕は違いました。)Andy: I never turned down an offer to hang with my dad.
(父と出かける誘いを断ったことなんて一度もありません。)Modern Family Season6 Episode13 (Rash Decisions)
Teenagers, huh? は「ティーンエイジャーってそういうものですね」という相づちで、huh? を付けることで相手に同意を求める響きになります。
フィルの Kids that age want distance. は、that age で「あの年ごろ」を指し、want distance で「距離を置きたがる」と言い表す短い一文です。続く One day, ~. The next day, ~. は「ある日は〜、次の日には〜」と、変化の速さを対比で見せる組み立てです。手を握る話とリンゴの話は、フィルが年ごろの子の移り変わりを説明するために持ち出したたとえだと読み取れます。
アンディの turn down an offer は「申し出や誘いを断る」という意味です。I never turned down an offer to ~ で「〜しようという誘いを断ったことがない」となり、自分はそうではなかったと話をつなげています。年ごろの子に対するフィルの受け止めと、アンディの思い出話が並ぶことで、同じ「誘い」をめぐって立場の違いが浮かぶ場面です。
「not the other way around」と「That doesn’t mean ~」
後の場面で、ルークが見せた動画を、フィルはすでにアンディから送ってもらって見ていました。アンディの名前が続いたところで、フィルがルークに声をかけます。
Phil: That’s what I thought, but then Andy and I did some digging.
(俺もそう思ったんだけど、アンディと調べてみたんだ。)Phil: It turns out pigs are crazy musical.
(ブタってすごく音楽的らしいんだよ。)Luke: Good ol’ Andy.
(さすがアンディだね。)Phil: Is something up, buddy?
(どうかしたのか、相棒?)Luke: I said “No” one time.
(僕は一回「ノー」って言っただけだよ。)Luke: And suddenly it’s all “Andy this” and “Andy that.”
(なのに急に「アンディが」「アンディが」ばっかりじゃん。)Modern Family Season6 Episode13 (Rash Decisions)
Is something up? は「何かあった?」と様子をうかがう問いかけで、buddy は親しい相手への呼びかけです。it’s all “A this” and “A that” は「AがどうしたAがこうした、ばかり」と、話題が一人に偏っていることへの不満を表す型です。
フィルは、ルークが距離を置きたがっているように見えたので、そうしたのだと説明します。この場面で使われる space を使った言い回しは、同じ回のフレーズ記事で取り上げています。続くやりとりが、このコラムの中心です。
Phil: You’re at that age when you want to separate.
(お前は離れたい年ごろなんだよな。)Luke: Yeah, I separate from you, not the other way around.
(うん、僕が父さんから離れるんだよ。逆じゃなくて。)Luke: Maybe I don’t want to do dumb stuff with you all the time, but That doesn’t mean you get to replace me.
(父さんとバカなことばっかりしたいわけじゃないかもしれないけど、だからって僕の代わりを作っていいってことにはならないよ。)Phil: What? Are you kidding me? I could never replace you.
(何だって? 冗談だろ? お前の代わりなんているわけないじゃないか。)Phil: If it were up to me, we’d do everything together.
(俺に決められるなら、何でも一緒にやるよ。)Modern Family Season6 Episode13 (Rash Decisions)
not the other way around は「その逆ではない」という意味で、主語と目的語の向きを正すときに文末に添えます。ルークは separate をフィルの言葉から受けて、離れるのは自分のほうからだと向きをはっきりさせています。
Maybe I don’t ~, but that doesn’t mean ~ は、「〜ではないかもしれないけれど、だからといって〜ということにはならない」と、相手の言い分を一部認めながら線を引く組み立てです。you get to ~ は「〜してよい立場にある」というニュアンスで、ここでは「代わりを作っていい」という許可を否定しています。
「If it were up to me, ~」で本心を伝える
ルークの言葉を受けたフィルは、I could never replace you.(お前の代わりなんてありえない)とすぐに否定し、If it were up to me, ~ と続けます。If it were up to me は「もし自分が決めていいなら」という仮定の形で、自分の本心をそのまま伝えたいときに使える言い方です。
このあとフィルは、その本心をさらに大きな空想へと広げていきます。
Luke: Really?
(ほんと?)Phil: Yeah, I’d go to college with you.
(ああ、お前と一緒に大学に行くよ。)Phil: We’d– we’d be roommates.
(俺たち、ル、ルームメイトになるんだ。)Phil: We’d try to join a frat.
(フラタニティに入ろうとして、)Phil: None of them would take us.
(どこにも入れてもらえない。)Phil: We’d start our own.
(だから自分たちで作るんだ。)Modern Family Season6 Episode13 (Rash Decisions)
I’d ~ や We’d ~ の would は、仮定の話の中で「〜するだろう」と想像を語る助動詞です。frat は fraternity の略で、アメリカの大学にある男子学生の社交クラブを指します。フィルはこの空想に自分で盛り上がり、ルークの問いかけにこう答えます。
Luke: Why wouldn’t they take us?
(なんで入れてもらえないの?)Phil: Well, yeah, they’d take me, but I’d be like, “No way, Bradley, not without my little pal, here.”
(いや、まあ、俺は入れてもらえるんだけど、「だめだよ、ブラッドリー、この相棒なしじゃ入らない」って言うのさ。)Modern Family Season6 Episode13 (Rash Decisions)
I’d be like, “~” は「〜って言うだろうね」と、自分の想像上の台詞を紹介する口語の形です。not without ~ は「〜なしでは(しない)」という意味で、ルークを置いていかないという気持ちを、冗談まじりの空想の中で示しています。
| 表現 | 場面での働き |
|---|---|
| Kids that age want distance. | 年ごろの子の傾向を言う |
| Is something up? | 様子をうかがう |
| not the other way around | 向きを正す |
| That doesn’t mean ~ | 一部を認めつつ線を引く |
| If it were up to me, ~ | 仮定の形で本心を伝える |
まとめ|向きを正す言い方と線を引く言い方
not the other way around で向きを正し、That doesn’t mean ~ で線を引き、If it were up to me, ~ で本心を伝える。距離をめぐる会話でも、言い方を選ぶことで互いの言い分が誤解なく届くことが分かります。
次回も『モダンファミリー』を観ながら、家族の会話に出てくる英語を拾っていきましょう。
職場での注意の言い方や大学の面接の場面は、同じ回のほかのコラムでも扱っています。


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