海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分の力を低く見せる一言が、思いがけない方向へ話を運んでいく瞬間が、ドラマには時々あります。
そんな場面で使われた「be A material」を、『モダンファミリー』シーズン6第13話の中盤、プリンストン大学の面接に臨むアレックスが、面接の相手のヴァネッサへ、自分をどう評価するかを語る場面から、一緒に見ていきましょう。
「be A material」の意味とニュアンス
be A material
意味:Aにふさわしい素質がある、Aの器だ
be A materialは、人を「素材」にたとえて、ある立場や役割になるだけの素質を持っていると表す口語表現です。materialは「素材、材料」という意味で、Aの部分に入る職業や立場の「材料」として十分かどうかを言い表します。
Aには、名詞を置きます。manager material(管理職向きの人)、college material(大学に行ける素質のある人)のように、名詞をmaterialの前に並べる形です。「この人は、Aという完成品を作る材料として向いている」という見方が、そのまま「Aの器だ」という評価になります。
否定の形も、よく使われます。not A materialなら、「Aの器ではない」「Aに向いていない」という意味です。not exactly A material(Aの器というわけではない)のように、程度を弱める形もあります。自分に対しても他人に対しても使えて、適性を評価する場面で活躍します。
見出しのAには、職業名でも、学校名のような固有名詞でも入れられます。シーンでは、Princetonという固有名詞が入り、I’m probably not Princeton material.の形で出てきます。「プリンストンにふさわしい人間ではない」という意味です。
【ここがポイント!】
- 「be A material」の核は、人を「素材」にたとえて素質を語る見方
- Aには職業や立場、学校名が入り、名詞をmaterialの前に置く
- not A materialなら、「Aの器ではない」という否定の評価になる
『モダンファミリー』S06E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
アレックスがプリンストン大学の面接で、ヴァネッサと話しています。アレックスが、自分はプリンストンにふさわしくないと切り出し、その理由を語ると、ヴァネッサが聞き返します。そこから話がどう展開していくのか、続くアレックスの話の流れにも注目です。
Alex: This was a big mistake. I’m probably not Princeton material anyways. I mean, I spent most of last night in the back of a squad car.
(これは大きな間違いでした。どうせ私は、たぶんプリンストンにふさわしい人間じゃないんです。なにしろ昨夜は、ほとんどパトカーの後部座席で過ごしたので。)Vanessa: Wait, what?
(え、何ですって?)Alex: Well, crazy story– my friend Enzo’s dream was to run the bases at Dodger Stadium. And I was just like, “Screw it, let’s do it. Oh, by the way, cute dress. Is that a Nanette Lepore?
(まあ、変な話なんですけど、友人のエンゾの夢がドジャー・スタジアムでベースを走ることで。それで私が「もういいや、やっちゃおう」って。あ、そういえば、素敵なドレスですね。ナネット・レポールですか?)Vanessa: Oh, my God, yes. Good eye.
(まあ、そうなの! お目が高いわね。)Modern Family Season6 Episode13 (Rash Decisions)
シーン解説と心理考察
アレックスは、「これは大きな間違いでした」と切り出します。続けて、I’m probably not Princeton material anyways.と述べます。probablyが入っているので、断言ではなく「たぶん」と、自分を低く見積もる言い方です。そのうえで、理由として、昨夜はほとんどパトカーの後部座席で過ごしたと言います。
ヴァネッサは、その理由を受けて「え、何ですって?」と聞き返します。アレックスはそれを受けて、友人エンゾの夢がドジャー・スタジアムでベースを走ることだった、という話を始めます。「もういいや、やっちゃおう」と自分が言った、という流れで、パトカーの件につながる経緯を語ります。
ところが、話の途中で、アレックスは急に相手の服へ話題を移します。「素敵なドレスですね。ナネット・レポールですか?」という問いかけは、それまでの話とは別の方向です。ヴァネッサは「まあ、そうなの! お目が高いわね」と応じます。not Princeton materialという自己評価の言葉と、そのあとの話の展開のギャップが、この場面のおもしろさです。自分は向いていないと言いながら、相手の服を褒めていくアレックスの様子が、会話の温度を変えています。
ここで、be A materialの形が使われた位置にも注目してみましょう。この表現は、アレックスの最初の長い発言のなかに、二つ目の文として入っています。「大きな間違い」という総括のあとに、理由を述べる文が続き、その理由をさらに補うのが、パトカーの話です。評価の一言が、理由を導く土台になっている構造です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
be A materialは、粘土のかたまりを思い浮かべると覚えやすくなります。粘土(material)は、まだ形の定まらない素材です。どんな器になれるかは、素材の質次第だと考えます。
Aに入る言葉は、その器の名前です。manager materialなら、管理職という器を作れる粘土、Princeton materialなら、プリンストンという器を作れる粘土です。not Princeton materialは、「その器を作る粘土としては向いていない」という言い方になります。
シーンのアレックスは、自分をそう評価しながら話し始めました。粘土のかたまりに向いていないと自分で札を付けたところから、次の話が転がり出す、そんな絵を頭に置いておくと、be A materialの形が思い出しやすくなります。
例文で覚える「be A material」
人の素質を「素材」にたとえるbe A materialを、3つの例文で確認していきましょう。
She’s manager material. She listens and makes decisions fast.
(彼女は管理職向きだ。人の話をよく聞くし、決断も早い。)
同僚の適性を評価する場面です。理由を後ろに添えると、評価の根拠がはっきりします。
I don’t think I’m leadership material.
(自分はリーダーの器じゃないと思う。)
昇進の話を断る場面です。I don’t thinkを前に置くと、断定を避けた柔らかい言い方になります。
A: Do you think Jake could run the store?
B: Honestly, I don’t think he’s manager material yet.
(A:ジェイクに店を任せられると思う?)
(B:正直、まだ店長の器じゃないと思うな。)
後任を相談する会話です。yetを添えると、「今はまだ」という含みが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
be cut out for
(〜に向いている)
be cut out forは、後ろに名詞や動名詞が来る構文です。be cut out for teachingのように使います。be A materialは、Aをmaterialの前に置く点が違います。
have what it takes
(必要な資質を持っている)
have what it takesは、対象を特定せず、「必要な力がある」と言う表現です。be A materialは、Aを具体的に挙げて評価する点が違います。
be right for
(〜に合っている)
be right forは、適合を中立に述べる、一般的な言い方です。be A materialは、素質や器を評価する、口語的な言い方になります。
Note|名詞のあとにmaterialを置く形と、否定形の作り方
be A materialは、語順と否定の作り方さえ押さえれば、Aを入れ替えて何にでも使える形です。ここでは、その構文を整理します。
語順は、「名詞 + material」が基本です。manager material、college material、leadership materialのように、素質を問う立場や役割の名詞を前に置き、あとにmaterialを続けます。シーンのPrinceton materialのように、固有名詞が入る場合も、同じ語順でそのまま並べます。
否定は、be動詞のあとにnotを置きます。I’m probably not Princeton material.のように、probablyなどの副詞をnotの前に入れることもできます。not exactly team captain material(キャプテンの器というわけではない)のように、exactlyを挟んで否定を和らげる形もあります。
be cut out forとの違いも、構文で説明できます。be cut out forは、後ろに名詞や動名詞が来るのに対し、be A materialはAが前です。両方とも、向き不向きを語る表現です。
形を押さえれば、自分の適性を語るときも、他人の器を評価するときも、Aを入れ替えるだけで使い回せます。
まとめ|自分に付けた札が、話を動かした場面
be A materialは、人を素材にたとえて、Aにふさわしい素質があるかどうかを語る表現です。名詞をmaterialの前に置く語順と、not A materialの否定形を押さえておくと、適性の評価を自在に述べられます。
be cut out forやhave what it takesとの違いも、構文と対象の点から整理しておくと、選びやすくなります。
アレックスが自分に付けた「プリンストンの器ではない」という札は、そのあとの話の展開で、ヴァネッサの反応を引き出していきました。自己評価の一言が会話を動かす様子が、粘土の絵と重なる場面でした。


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