海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン4第14話では、ミッチェルが父のジェイとゴルフで勝負する場面が描かれます。最終ホールの大事な一打の前にかけられた励ましの言葉を、そばにいたペッパーは「相手を動揺させる作戦だ」と疑います。
勝負の場で相手の言葉をどう受け取るか、そして本心だったことを後からどう伝えるか。疑う側と伝え直す側、両方の英語表現を場面の順に見ていきます。
「play on your emotions」と「lose your edge」
勝負の背景として、ミッチェルは子どもの頃の父との関係をこう振り返ります。
Mitchell: I wasn’t the best athlete growing up, and my dad never missed an opportunity to point that out.
(僕は子どもの頃、運動が得意じゃなかった。そして父さんは、それを指摘する機会を一度も逃さなかったんだ。)Modern Family Season4 Episode14 (A Slight at the Opera)
never miss an opportunity to ~ は「〜する機会を決して逃さない」という意味で、ここでは「ことあるごとに言われた」という苦い記憶を表しています。勝負の相手が、その父親だという点がこの場面の前提です。
最終ホールを迎え、ミッチェルは緊張を口にします。
Mitchell: One stroke down on the final hole.
(最終ホールで1打差の負け。)Mitchell: It’s such a big putt.
(すごく大事なパットだ。)Mitchell: Such a big, big putt.
(すごく、すごく大事なパットだ。)Modern Family Season4 Episode14 (A Slight at the Opera)
one stroke down は「1打差で負けている」という意味です。big を重ねて言い直すところに、緊張の高まりが表れています。この一打の前に、ミッチェルにはこんな言葉がかけられます。
Jay: Hey, seriously, good luck.
(おい、本当に、がんばれよ。)Jay: You played good.
(いいプレーだったぞ。)Jay: I’m proud of you.
(お前を誇りに思う。)Mitchell: Really?
(本当に?)Jay: We should do this again sometime.
(またいつかやろうじゃないか。)Modern Family Season4 Episode14 (A Slight at the Opera)
I’m proud of you. は家族や仲間をねぎらう定番の言葉で、We should do this again sometime. は「またいつかやろう」と次の機会を持ちかける決まり文句です。どちらも本心として使われることもあれば、別れ際の社交辞令として使われることもあります。You played good は文法的には well が標準ですが、くだけた話し言葉ではこうした形も使われます。
これを聞いたペッパーは、ミッチェルに「Don’t listen to him.」と耳を貸さないよう言い、理由をこう説明します。
Pepper: He’s playing on your emotions so you lose your edge.
(あなたの感情を揺さぶって、勝負勘を鈍らせようとしてるのよ。)Pepper: I do it to my son all the time.
(私も息子にしょっちゅうやってるもの。)Modern Family Season4 Episode14 (A Slight at the Opera)
play on someone’s emotions は「人の感情につけ込む、感情を利用する」という意味です。edge は刃先の鋭さから「勝負どころの鋭さ、優位」を表し、lose one’s edge で「調子や切れ味を失う」となります。so ~ は「〜するように」と目的を示し、励ましの言葉が実は相手を動揺させる手だと読み解いているわけです。自分も同じ手を使うと明かすところに、ペッパーらしいおかしみがあります。
「I was serious about ~」と本心の伝え直し
勝負のあと、ジェイはミッチェルにこう話しかけます。ペッパーの疑いとは逆に、さっきの言葉は本気だったと伝える場面です。
Jay: Hey, I was serious about we should play again sometime.
(なあ、またいつか一緒にやろうって言ったのは本気だぞ。)Jay: It’s a crazy thing that if I’d been less of a hard head when you were a kid, we could have had 20 years in this dumb game.
(おかしなもんだな。お前が子どもの頃に俺がもう少し頑固じゃなければ、このくだらないゲームを20年一緒にやれてたんだ。)Mitchell: No, it was half my fault.
(いや、半分は僕のせいだよ。)Mitchell: I mean, I-I used to be pretty sensitive.
(つまり、僕もけっこう繊細だったからさ。)Modern Family Season4 Episode14 (A Slight at the Opera)
I was serious about ~ は「〜は本気だった」と、前に言ったことを後から本心だと念押しする表現です。about のあとに we should play again sometime という文がそのまま続く、くだけた話し言葉の形になっています。
2文目の if I’d been ~, we could have had ~ は、if 節に過去完了、主節に could have + 過去分詞を使う仮定法過去完了です。「あのとき〜だったら、〜できたのに」と、実際には起こらなかった過去を振り返るときの形です。hard head は「頑固者」で、less of a hard head は「もう少し頑固でなければ」という意味になります。
これに対するミッチェルの it was half my fault は、相手の反省を受け止めつつ「責任は半分ずつだ」と返す一言です。全面的に相手を責めず、自分の側の事情として I used to be pretty sensitive と続けることで、話が謝罪の押しつけ合いにならずに収まります。used to ~ は「以前は〜だった」と過去の状態を表す形です。
最終ホールでペッパーが疑った励ましと、勝負のあとのジェイの言葉を並べると、同じ「またやろう」という誘いが、受け取り方しだいで作戦にも本心にも聞こえることが分かります。言葉の裏を読む表現と、本心を伝え直す表現がひと続きの流れで登場するのが、この回の見どころです。疑いをかけられた言葉に、あとから本人が「本気だった」と言い添えることで、聞き手の受け取り方が変わる様子が伝わってきます。
まとめ|疑う言葉と伝え直す言葉
play on your emotions や lose your edge は相手の言葉の裏を疑うときに、I was serious about ~ や it was half my fault は本心を伝え直すときに使える表現です。仮定法過去完了も含め、気持ちの行き違いを言葉にする助けになります。
『モダンファミリー』の親子のやりとりを観ながら、これからも英語の言葉の裏表を味わっていきましょう。
この回のほかのコラムやフレーズ記事では、商談や学校の劇の場面の英語も取り上げています。


コメント