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学校の行事や職場の会議の前に、機材を運び込んで、ちゃんと使える状態に整えておく。そんな準備の場面は、日常のあちこちにあります。
そんな準備を表す「set up」を、『モダンファミリー』シーズン4第14話の後半、ゴルフの最終ホールが続く中で、ペッパーが父との関係を口にし、フィルが自分の父の思い出を語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「set up」の意味とニュアンス
set up
意味:〜を設置する、準備する、セッティングする
set up は、機材や道具を所定の場所に据えて、使える状態に整えるという意味が基本です。set は「置く、据える」、up は「立ち上げて使える状態にする」という向きの副詞なので、置いて、立ち上げて、動かせる状態にする、という流れがひとまとまりで表されています。
同じ形のまま、目的語が変わると意味も広がります。会社や店を「設立する」、会議や通話の日程を「取りつける」、人を「はめる、陥れる」といった意味です。どの意味にも、何かを立ち上げて、動く状態にするという流れが共通して残っています。
今回のシーンの set up は、機材を設置して使えるようにする、基本の意味です。I’d set up the sound system と、目的語が音響システムで、集会のために機材を整えた場面を表しています。
set up は2語でひと組の動詞句で、目的語が代名詞のときは set it up のように、間に入ります。名詞のときは、set up the projector と set the projector up のどちらの語順も使えます。
なお、名詞や形容詞として、ひとつながりで setup と書く形もあります。「セットアップ」とカタカナで言うと機材や設定に偏って聞こえますが、英語では設置、設立、取りつけ、と広い範囲を受け持つ動詞です。
【ここがポイント!】
- 「set up」の核は、置いて立ち上げ、使える状態に整える動き
- 目的語が機材なら設置、会社なら設立、日程なら取りつけと、意味が広がる
- 代名詞が目的語のときは、set it up のように up の前に置く
『モダンファミリー』S04E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルが最終ホールの大事なパットに臨むなかで、ペッパーが父との関係は「いつだって複雑」だったと口にし、フィルが「うちは違う」と、自分の父の思い出を語る場面です。父が学校の集会でどんな声を出したのか、というフィルの語りに注目です。
— You’re up, ace.
(君の番だぞ、エース。)Pepper: I was the same way with my father. It’s always complicated.
(僕も父とはそんな感じだったよ。親子っていつだって複雑なのさ。)Phil: Not for mine. My dad was just supportive. Never missed a tumbling meet or a break-dance brawl. Heck, I’d set up the sound system for our school assembly, he’d be the loudest voice in the crowd.
(うちは違うな。うちの父さんは、とにかく応援してくれたんだ。体操の大会もブレイクダンスの対決も、一度も欠かさず来てくれてさ。いやあ、学校の集会で俺が音響システムをセッティングしたら、父さんは会場でいちばんでかい声を出したもんだよ。)Modern Family Season4 Episode14 (A Slight at the Opera)
シーン解説と心理考察
ペッパーの「僕も父とはそんな感じだったよ」は、父との関係を語る入り口になっています。It’s always complicated と続く言い方から、親子の間柄がすっきりしたものではなかったことが伝わってきます。
これにフィルは Not for mine と返します。mine は my father を受けた言葉で、次の文で My dad と言い直されます。「うちは違う」と切り出したあと、My dad was just supportive と、とにかく応援してくれた父だったと続けます。just supportive の just は、余計な条件のつかない、ひたすらな応援というニュアンスを添えています。
思い出の中身も具体的です。体操の大会も、ブレイクダンスの対決も、一度も欠かさず来てくれた。そして set up の場面へ進みます。フィルが学校の集会で音響システムを準備したときも、父は会場でいちばん大きな声を出したといいます。準備をしただけの場面でさえ、父は全力で声を出す人だった、という語りになっています。
he’d be the loudest voice in the crowd と続く部分では、会場の中で父の声がいちばん大きく響いていた、という光景が浮かびます。ペッパーの複雑な父子関係と、フィルの応援一色の思い出が並ぶことで、この会話の対比がくっきりします。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
床にスピーカーを置き、コードをつなぎ、スイッチを入れると音が出る。そこまでの一連の動きを、ひとまとまりで思い浮かべてみましょう。ただ置くだけでなく、立ち上げて、使える状態にするところまでが set up です。
フィルの思い出に重ねると、音響システムを整えるフィルの姿と、会場でいちばん大きな声を出す父の姿が、ひとつの絵になります。準備が整った瞬間に、一番の応援の声が上がる。その絵と一緒に、「立ち上げて使える状態にする」という動きを覚えておくと、set up のどの意味にも同じイメージで応用できます。会社を立ち上げる、日程を立てる、といった意味も、この動きの延長です。
例文で覚える「set up」
機材の設置、会社の設立、日程の取りつけと、意味の異なる3つの例文を並べます。どの例文も、set up のあとの目的語が何かに注目です。
I’ll set up the projector before the meeting starts.
(会議が始まる前に、プロジェクターをセッティングしておきます)
会議の準備を引き受ける場面です。目的語が機材なので、ドラマのシーンと同じ「設置する」の意味になります。
He set up his own company after leaving the bank.
(彼は銀行を辞めたあと、自分の会社を立ち上げました)
知人の経歴を紹介する場面です。目的語が company なので、「設立する」という意味になります。
A: Can you set up a call with the client this week?
B: Sure. I’ll send a few time slots this afternoon.
(A:今週、お客さんとの電話の日程を取りつけてもらえる?)
(B:もちろん。午後に候補の時間をいくつか送るよ)
同僚どうしで日程調整を頼み合う会話です。目的語が call なので、「取りつける」という意味になります。
あわせて覚えたい関連表現
set something up for someone
(人のために〜を準備する)
set up の目的語のあとに for をつけると、誰のための準備かを示せます。シーンの set up the sound system for our school assembly も、集会のための準備という意味です。
arrange
(手配する、取りはからう)
arrange は、日程や段取りを取りまとめる意味が中心です。機材を物理的に据える意味では、ふつう使わないので、物の設置にも使える set up とは守備範囲が違います。
put up
((テントや棚を)立てる、掲示する)
put up は、物を上に立てる、掲げるという動きが中心です。set up は、立てたあとに使える状態まで整えるニュアンスが加わる点が異なります。
Note|set up の目的語で意味が変わる仕組みを整理する
set up は、あとに続く目的語の種類で、意味の中心が動きます。
ひとつめは、機材や道具が目的語の形です。set up the sound system のように、設置して使える状態にする意味になります。ふたつめは、会社や店、組織が目的語の形です。set up a company と言えば、「会社を設立する」という意味です。みっつめは、会議や通話など、日程にかかわるものが目的語の形です。set up a meeting は、「会議を取りつける」という意味になります。よっつめは、人が目的語の形です。set someone up には、誰かをはめる、陥れるという意味があります。
4つの形を並べると、共通しているのは、何かを立ち上げて動く状態に持っていく、という流れです。機材を立ち上げる、会社を立ち上げる、日程を立ち上げると、目的語ごとに立ち上げるものが変わり、人が目的語のときは、その人をはめる仕掛けを立ち上げる形になります。
日本語に訳すときは、「セットアップする」とカタカナに頼らず、「設置する」「設立する」「取りつける」と、目的語に合わせて言い換えると、意味が正確に伝わります。
フィルの set up the sound system は、ひとつめの形にあたります。目的語を見て、どの意味の set up かを見分けるくせをつけておくと、初めて出会う形にも対応できます。
まとめ|音響システムの準備に込められた父の応援
set up は、置いて立ち上げ、使える状態に整える動きを表す表現です。機材なら設置、会社なら設立、日程なら取りつけと、目的語によって意味が広がります。
代名詞が目的語のときは set it up の形になり、for を添えれば誰のための準備かを示せます。会議の準備、行事の準備、日程の調整など、日常の幅広い場面で使えます。
準備をしただけの場面でも、会場でいちばん大きな声を出したというフィルの父の思い出には、応援の温かさがにじんでいました。会話のレパートリーに加えて、準備や設置の場面を思い浮かべながら、使いどころを探してみてください。


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