海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン5第10話は、クリスマスイブの一日を描いた回です。フィルはエリプティカルマシンで、家からカナダまでに相当する距離を歩き切ろうとしています。
「やめる」と言いたいとき、英語では quit と give up のどちらを選ぶか迷いがちです。この回には、途中で投げ出す宣言、あきらめを促す一言、引き際をめぐる持論がそろっているので、場面ごとに使い分けを確かめていきます。
「give it up」は相手にあきらめを促す一言
マシンに乗り続けるフィルに、クレアが声をかけます。
Claire: Oh, Phil, give it up.
(ちょっとフィル、もうあきらめたら。)Phil: Oh, you would love that, wouldn’t you?
(おっと、そうなったら君はうれしいんだろ?)Modern Family Season5 Episode10 (The Old Man & the Tree)
give it up は、相手が続けていることを指して「もうやめなよ」「あきらめなよ」と促す言い方です。it は、フィルが打ち込んでいるマシンの挑戦そのものを受けています。命令文の形ですが、Oh と名前の呼びかけを添えることで、本気で止めるというより、あきれ半分の呼びかけとして響きます。
フィルの返事 you would love that, wouldn’t you? は、「そうなったらうれしいんだろ?」と相手の本音を見透かしたように言い返す形です。would で仮定の気持ちを表し、付加疑問の wouldn’t you? で念を押しています。フィルは別の場面で、カナダまでたどり着けなければクレアの勝ちになると話しているので、この切り返しには勝ち負けへのこだわりもにじみます。
give up は目的語なしで「降参する」、give up on ~ で「〜に見切りをつける」と、形によって意味の向きが少し変わります。give it up はその中でも、目の前の相手の行動を止めたいときによく使われる言い方と言えます。
「quit」はしていることを途中でやめる
残り5マイルの地点で、フィルはまた弱音を吐きます。少し前に「好きにすれば」という調子を見せていたルークは、次の宣言にもあっさり応じます。
Phil: I’m gonna quit.
(もうやめる。)Luke: Cool.
(いいんじゃない。)Phil: What’s one more failure? You ever wonder why we take such a crazy route to school? So I don’t have to drive by certain places — the flute teacher’s house I went to once The French cooking academy I quit after learning only two of the five mother sauces The hot yoga studio I left after “happy baby.
(失敗がひとつ増えたって何だってんだ? なんで学校までやたら遠回りしてるか、考えたことあるか? ある場所の前を通らずに済むようにだよ——一回だけ行ったフルートの先生の家、五つの基本ソースのうち二つ習っただけでやめたフランス料理学校、「ハッピーベイビー」でやめたホットヨガのスタジオ。)Phil: I guess there’s no avoiding this big failure sitting in my garage.
(ガレージに居座るこのでかい失敗からは、逃げようがないってわけか。)Modern Family Season5 Episode10 (The Old Man & the Tree)
quit は、仕事・習い事・習慣など、していることを途中でやめるという行為そのものを表します。I’m gonna quit. は「やめる」と決める宣言で、I quit after ~ は「〜したところでやめた」と、やめた時点を添える形です。フィルの列挙は、どれも始めてから途中で手を引いたものばかりです。
quit は後ろに名詞や ~ing を置いて、quit my job(仕事を辞める)、quit smoking(たばこをやめる)のようにも使えます。「もう無理」という気持ちを表す I give up. に比べると、I quit. は「ここで手を引く」という行動の宣言に近い響きです。
- A: I’m thinking of quitting the gym.
(ジム、やめようかと思ってるんだ。) - B: Already? You just signed up last month.
(もう? 先月入ったばかりでしょ。)
there’s no avoiding ~ は「〜は避けようがない」という言い方で、フィルはガレージに置かれることになるマシンを「失敗」と呼んでいます。このガレージの話が出た直後、ルークの態度が変わります。
Luke: Get up.
(立って。)Phil: I appreciate it, buddy, but
(ありがたいけどさ、相棒……)Luke: Get up.
(立って。)Luke: I don’t know anything about flutes or cooking or happy babies But I’m damn sure getting my dad to Canada.
(フルートも料理もハッピーベイビーも知らないけど、父さんは絶対にカナダまで連れていく。)Luke: Now, mount that beast.
(さあ、そいつにまたがって。)Phil: Thank you, son.
(ありがとな、息子よ。)Modern Family Season5 Episode10 (The Old Man & the Tree)
Get up. を重ねるのは、quit と言った相手に「まだやめさせない」と伝える短い一言です。I’m damn sure getting ~ to … は「〜を必ず…まで行かせる」と、強い決意を表す言い方です。
「give up」と引き際を知ること
一方、木を切りに出かけたジェイとマニーのあいだでは、give up が話題になります。
Manny: I thought Pritchetts never give up.
(プリチェット家は決してあきらめないんじゃなかったの。)Jay: They know when to give up, which is its own kind of victory.
(引き際を心得てるのさ。それもひとつの勝ちってもんだ。)Manny: Unless
(ただし……)Jay: What?
(何だ?)Manny: No it’s crazy.
(いや、ばかげてる。)Manny: Unless
(ただし……)Jay: Are you really gonna make me ask you again?
(また俺に聞き直させる気か?)Modern Family Season5 Episode10 (The Old Man & the Tree)
give up は、見込みがないと判断して手放す気持ちの面に重心があります。know when to give up は「どこで手を引くべきかを分かっている」、つまり引き際を知っているという意味で、ジェイはそれを its own kind of victory(それなりの勝ち)と言い換えています。
マニーの Pritchetts のように、姓を複数形にすると「〜家の人たち」という意味になります。never give up は「決してあきらめない」という信条を語るときの形で、ジェイはそれを否定せずに、あきらめるタイミングを見極めることも大事だという方向へ話をずらしています。its own kind of ~ は「それなりの〜」「一種の〜」という言い方で、負けに見えるものを別の見方で言い直すときに使えます。
マニーが Unless と言いかけてはためらい、ジェイが Are you really gonna make me ask you again? と続きを促すやり取りも見どころです。言いかけてやめた相手に「もったいぶらずに言って」と伝えたいときに使える形で、Unless を文の途中で止めると「ただ、ひとつ手が……」と含みを持たせる言い方になります。
| 表現 | 意味の中心 |
|---|---|
| quit | していることを途中でやめる行為 |
| give up | 見込みがないと手放す・あきらめる |
| give it up | 相手に「もうやめなよ」と促す |
| know when to give up | 引き際を心得ている |
| Get up. | やめかけた相手を立ち上がらせる |
まとめ|やめる行為と、あきらめる気持ち
quit は途中でやめる行為、give up は手放す気持ちに重心があり、give it up は相手に向けた促しになります。know when to give up や Get up. まで並べると、「やめる・やめない」をめぐる言い方の幅が見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の会話を手がかりに、場面ごとの英語を拾っていきましょう。
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