海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第1話では、副校長のキャメロンが、若者たちと打ち解けたいと言って自宅に招きます。ところが、陶器のピエロの置物がなくなり、キャメロンは若者たちを問い詰めはじめます。
親切にした相手に裏切られたと感じたとき、英語ではどう叱るのでしょうか。責める言い方、場を締める言い方、そして白状する側の英語まで、3つの場面で見ていきます。
「this is how you repay me?」で恩知らずを責める
置物がなくなったと分かると、キャメロンは家に招いた若者たちにこう迫ります。
Cameron: I invite you into my home, and this is how you repay me? Oh, I know what you were thinking.
(家に招いてやったのに、これが恩返しか? ああ、君たちの考えてたことは分かってるぞ。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
this is how you repay me? は「これがお返しか」という意味で、恩をあだで返されたと責める決まった言い回しです。repay は「お金を返す」のほかに「恩に報いる」という意味でも使われます。前半に I invite you into my home のように自分がしてあげたことを置き、後半で「それなのにこの仕打ちか」と突きつける組み立てになっています。
続く I know what you were thinking は、相手の心の中を決めつけて言い当てる言い方です。言われた側に弁解の余地を与えず、問い詰める勢いを強めています。
さらにキャメロンは、自分の肩書きを持ち出してこう言い放ちます。
Cameron: It’s Vice Principal Tucker! Show some respect.
(タッカー副校長と呼べ! 敬意を払え。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
It’s ~! で自分の正式な呼び方を示し、Show some respect. で「敬意を払え」と命じています。some を入れることで「少しは」という含みが加わり、相手の態度をたしなめる響きになります。親や先生が子どもをたしなめる場面などで使われることがある一言で、目上の人に向けると角が立つ点には注意が必要です。
もっとも、この責め立てには裏があり、その事情は最後の場面で明かされます。
「No one is ~ing until ~」で場を締める
若者のひとりスージーが帰ろうとすると、キャメロンはすぐに引き止めます。
Suzie: This is lame.
(つまんない。)
Suzie: Let’s bounce.
(帰ろ。)
Cameron: Okay, no.
(いや、だめだ。)
Cameron: No one is bouncing until I get my figurine.
(置物が戻るまで、誰も帰さないぞ。)
Belinda: But I have to get home soon.
(でも、もうすぐ帰らなきゃいけないの。)
Cameron: I’ve read your file, Belinda.
(君の記録は読んだぞ、ベリンダ。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
lame は「つまらない」「ダサい」を表すくだけた形容詞です。bounce はここでは「その場を立ち去る」という口語で、Let’s bounce. は「もう行こう」と仲間を誘う言い方になります。
キャメロンは Okay, no. と即座に退け、No one is bouncing until ~ と相手の bounce をそのまま使って返しています。No one is ~ing until ~ は「〜するまで誰も〜させない」という形で、条件を満たすまで場を解散させないと宣言するときに使えます。現在進行形にすることで、今まさに起きようとしている行動を止める響きが出ます。
ベリンダの But I have to get home soon. は、帰らなければならない事情を伝える控えめな言い分です。キャメロンは I’ve read your file と記録を読んだことを告げ、その言い分を受け付けません。file は学校や職場で個人について記録した書類を指します。
until を使った宣言は、職場で No one leaves until we finish this. のように、作業が終わるまで解散しないと伝える場面にも応用できます。
「I can’t take it anymore」で白状し、「wouldn’t admit it」で見抜く
若者たちが自分の将来を投げ出すようなことを口にし始めると、同席していたミッチェルがたまらず割って入ります。
Mitchell: No, okay, stop! I-I can’t take it anymore.
(いや、もういい、やめてくれ! も、もう耐えられない。)
Mitchell: I’m sorry.
(ごめん。)
Mitchell: I threw away the statue.
(置物を捨てたのは僕だ。)
Mitchell: It was It was just so tacky.
(あれは……あまりにも悪趣味だったから。)
Mitchell: You guys, please don’t give up on yourselves, okay? You have very bright futures.
(君たち、自分を見捨てないでくれ、いいね? 君たちには明るい未来があるんだ。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
I can’t take it anymore は「もう耐えられない」と限界を訴える言い方で、隠しごとを打ち明ける前置きにもなります。tacky は「安っぽい」「悪趣味な」という意味です。give up on oneself は「自分を見限る」で、若者たちを励ます言葉になっています。
ところがキャメロンは、ここで種明かしをします。
Cameron: I found this in the trash the other day.
(この間、これをゴミ箱で見つけたんだ。)
Cameron: I knew you put it there and wouldn’t admit it.
(君が捨てたのに、認めようとしないのは分かってた。)
Cameron: So I brought some very talented young thespians over to portray at-risk youth.
(だから、問題を抱えた若者を演じてもらうために、とびきり才能ある若い役者たちを呼んだのさ。)
Modern Family Season11 Episode1 (New Kids on the Block)
wouldn’t admit it の would は過去の意志を表し、「どうしても認めようとしなかった」という意味になります。the other day は「先日」「この間」で、日付を言わずに少し前の出来事を指します。thespian は「役者」をやや改まって言う語です。
キャメロンは置物を先日ゴミ箱で見つけていて、ミッチェルが認めないと分かっていたからこそ、若者を演じる役者たちを呼んでいたのです。ミッチェルは、キャメロンがクビになると返します。
まとめ|責める英語、締める英語、白状する英語
this is how you repay me? は恩をあだで返されたと責める言い回し、Show some respect. と No one is ~ing until ~ は場に示しをつける表現、I can’t take it anymore と wouldn’t admit it は白状する側と見抜く側の英語です。
キャメロンの仕掛けた騒動を観ながら、叱る英語の強さの違いを聞き比べるのも、この回の楽しみ方のひとつです。
同じ回のほかのコラムでは、育児書どおりにいかない場面の英語や、気まずい相手と仕事で組むときの英語も紹介しています。


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