海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
新しい挑戦を勧められたとき、過去の失敗が頭をよぎって、気が乗らなくなった経験はありませんか。
そんな失敗を言い切る「crash and burn」を、『モダンファミリー』シーズン7第6話の後半、ソースを売る話に気が乗らないグロリアが、過去のヘアの件を引き合いに出される場面から、一緒に見ていきましょう。
「crash and burn」の意味とニュアンス
crash and burn
意味:大失敗する、(計画・挑戦などが)派手に失敗して終わる
crash and burn は、計画や挑戦が、見るも無残な形で失敗に終わることを表す口語表現です。crash は「墜落する」「衝突する」、burn は「燃える」という意味の動詞で、墜落して燃え上がるという、二重の惨事を思い浮かべさせる言い方です。
失敗といっても、少しうまくいかなかった程度ではなく、勢いよく始まったものが一気に崩れて終わる、というイメージが中心にあります。事業の立ち上げ、発表、オーディション、恋愛など、何かに挑戦して失敗した場面で使えます。
crash と burn は and でつながれた並列の動詞なので、時制は両方そろえます。過去の出来事なら crashed and burned、これからのことなら will crash and burn のようになります。このシーンでの実際の形は過去形の crashed and burned で、「失敗した」と言い切る形です。
自分の失敗を自虐的に語るときにも、他人の過去の失敗を指すときにも使えます。日本語では、「大失敗する」「盛大にこける」「惨敗する」のように、場面に合わせて訳を選びます。
【ここがポイント!】
- 「crash and burn」の核は、墜落して燃え上がるような、派手な失敗のイメージ
- 2つの動詞を and でつなぐので、時制は両方そろえるのがコツ
- 自分の失敗にも、他人の過去の失敗を指すときにも使える言い切りの表現
『モダンファミリー』S07E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ソースをファーマーズ・マーケットで売るよう勧められているグロリアが、乗り気でないと話す場面です。グロリアの考えに賛同する声が上がり、グロリアが礼を言ったあとで、ジェイが「Yeah,」と切り出し、売らないというグロリアの考えに同調する形で、グロリアの過去のヘアの件を引き合いに出します。今回のフレーズは、そのジェイの一言に出てきます。
Gloria: He wants me to sell my sauce at the Farmers’ Market, but I am not interested.
(彼は、私のソースをファーマーズ・マーケットで売らせたがっているけど、私は興味ないわ。)— I agree with Gloria.
(グロリアの言うとおりだと思う。)Gloria: Thank you so much.
(本当にありがとう。)Jay: Yeah, you crashed and burned with the hair thing.
(ああ、お前はヘアの件で大失敗したじゃないか。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
シーン解説と心理考察
グロリアは、ソースをファーマーズ・マーケットで売ることを勧められている状況を、「He wants me to sell my sauce」と説明し、「I am not interested」と、はっきり関心がないと伝えます。売ることを勧める人と、乗り気でない自分という構図を、一息で言葉にしています。
その気持ちに対して、「I agree with Gloria.」という賛同の声が上がります。グロリアが「Thank you so much.」と応じる流れから、グロリアの側に味方がいることが伝わってきます。ここまでは、グロリアの考えがそのまま受け入れられる展開です。グロリアの返事も、短い礼の言葉でまとまっています。
そこへ、ジェイの「Yeah, you crashed and burned with the hair thing.」が続きます。「Yeah,」という相づちから始まっていて、売らないというグロリアの考えに同調する形で、話題が過去のヘアの件へと移っています。crashed and burned は、その件が「派手に失敗して終わった」ことを、はっきり言い切る強い言い方です。
賛同と感謝で一度落ち着いた会話の中に、過去の失敗という別の材料が差し込まれる運びです。ソースを売るかどうかという話に、グロリア自身のこれまでの経験が重なり、会話の温度が変わっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
crash and burn は、空高く飛んでいた飛行機を思い浮かべて覚えられます。バランスを崩して地面に落ちるだけでも大きな出来事なのに、そのうえ炎まで上がる。この「落ちる」と「燃える」の二段構えが、見るも無残な失敗のイメージにつながります。
ジェイの言う「crashed and burned」は、グロリアの過去のヘアの件が、その二段構えで終わったと言い切る一言です。「失敗した」と言うだけでなく、「派手に」という強さが、2つの動詞を並べることで伝わります。
小さなつまずきには向かず、誰の目にも明らかな失敗に使う表現だ、と覚えておくと、言葉の強さに合う場面を選べます。
同じ飛行機のイメージで、墜落だけなら crash、炎だけなら burn と、片方ずつ別の動詞として思い浮かべてから、二つを and でつないで一続きの出来事として捉え直すと、並列の形も定着します。
例文で覚える「crash and burn」
挑戦が派手に失敗したことを言い表す crash and burn を、3つの例文で確認していきましょう。
His first business crashed and burned within a year.
(彼の最初の事業は、1年もたたないうちに大失敗に終わった。)
起業の失敗を説明する、ビジネスの場面です。within a year で、失敗に至るまでの期間の短さを添えています。
She was afraid her plan would crash and burn in front of everyone.
(彼女は、自分の計画がみんなの前で大失敗するのではないかと恐れていた。)
挑戦の前の不安を語る、感情表現の場面です。would のあとは動詞の原形なので、crash and burn と原形のまま並びます。
A: How did the audition go?
B: Honestly, I crashed and burned.
(A:オーディションはどうだった?)
(B:正直、大失敗だったよ。)
結果を聞かれて答える、友人同士の会話です。Honestly と添えて、自分の失敗を率直に認めています。
あわせて覚えたい関連表現
fall flat
((冗談・企画などが)まったく受けない、不発に終わる)
fall flat は、期待した反応が得られず不発に終わる、という失敗を表します。crash and burn が壊滅的に失敗した強い言い方なのに対して、fall flat は不発という程度の失敗です。
go down in flames
((計画・挑戦が)華々しく失敗する、大失敗に終わる)
go down in flames も、炎のイメージで大失敗を表します。crash and burn は動詞が2つ並ぶ分、失敗の勢いが強調されます。
blow it
((機会などを)台無しにする)
blow it は、自分でチャンスをふいにすることに重点があります。crash and burn は、結果として派手に失敗して終わったことを描写する言い方です。
Note|crash and burn の並列動詞と、時制のそろえ方
crash and burn は、and で2つの動詞をつないだ表現です。ここでは、今回のシーンの crashed and burned を手がかりに、時制のそろえ方を整理します。形を押さえておくと、過去の失敗を語るときも、これからの不安を語るときも、迷わずに動詞を選べます。
基本の形は crash and burn で、動詞の原形が2つ並びます。過去のことを言うなら、両方を過去形にして crashed and burned とします。「大失敗しつつある」という進行の形は crashing and burning、これから起きるかもしれないことは will crash and burn、すでに経験として語るなら have crashed and burned と、2つの動詞は、そろって同じ形に変わります。
どちらか一方だけを変える形、たとえば crashed and burn のような形は、並列の動詞としてはそろっていないので、不自然です。and でつながれた動詞は、同じ時制に足並みをそろえるのが、この表現を使うときの決まりです。
ジェイの you crashed and burned with the hair thing は、主語の you に続けて、2つの動詞が過去形でそろった形です。with のあとには、失敗した対象が続き、ここでは the hair thing が置かれています。主語、2つの動詞、失敗した対象という並びを押さえれば、自分の失敗を語るときにも、そのまま当てはめられます。
まとめ|失敗を、2つの動詞で言い切る
crash and burn は、計画や挑戦が派手に失敗して終わることを表す口語表現です。墜落と炎という2つの動詞を並べることで、失敗の勢いと見るも無残な結末を、一言で言い切れます。
2つの動詞は時制をそろえる、という決まりを守れば、過去の失敗にも、これからの不安にも使えます。小さなつまずきではなく、誰の目にも明らかな失敗を語る場面で、言葉の強さがそのまま働きます。
グロリアの気が乗らない話の途中に、過去の失敗を一言で言い切るジェイの言葉が差し込まれ、そこから会話の向きが変わっていきました。


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