海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
子どもが巣立つ日が近づくと、その子の将来を思い描いて、つい大きな言葉をかけたくなります。
そんな親心に寄り添う「make one’s mark」を、『モダンファミリー』シーズン8第22話の前半、贈られた時計をルークが気に入った直後、フィルが息子の門出を語り出す場面から、一緒に見ていきましょう。
「make one’s mark」の意味とニュアンス
make one’s mark
意味:名を成す、足跡を残す、頭角を現す
make one’s mark は、ある分野や場で、自分の存在や実力をはっきり印象づけることを表す表現です。make は「つける・つくる」、mark は「印・跡」で、文字どおりには「印をつける」という意味になります。自分の跡を、周りの人の目に見える形で残していく動きが、そのまま「名を成す」「頭角を現す」という日本語につながります。
形の面で押さえたいのは、one’s の部分に主語と同じ人を表す語が入る点です。彼なら make his mark、私なら make my mark、彼女たちなら make their mark となります。今回のシーンでは、フィルが息子について話しているので、make his mark の形になっています。
場所や分野を添えたいときは、前置詞を使います。make her mark in medicine なら「医療の分野で名を成す」、make his mark on the company なら「会社に足跡を残す」という意味です。分野には in、影響を与える相手には on と、後ろに置く語で選びます。
時制は make の部分だけが変わります。実績をすでに残したなら made his mark、これから残すなら will make his mark となり、one’s と mark の形はそのままです。
卒業、就職、独立のように、新しい場へ進む人の目標や期待を語るときに使いやすい表現です。本人が「名を成したい」と語る場面でも、周りが「きっと名を成すだろう」と期待を込める場面でも、同じ形で使えます。
【ここがポイント!】
- 「make one’s mark」の核は、自分の跡をはっきり残して存在を印象づけること
- one’s は主語に合わせて my・his・her・their などに入れ替わる
- 分野は in、影響を与える相手は on で添える
『モダンファミリー』S08E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
卒業式の日、ルークが贈られた時計を「気に入ったよ」と受け取った直後の場面です。その一言を受けて、フィルが時計にちなんだ言い回しで話を始め、息子の門出について語ります。ルークの返事のあとに、フィルの話がどこへ向かうのかを、順に追ってみます。
Luke: I love it.
(気に入ったよ。)Phil: What time is it? Time for my little man to go out in the world and make his mark like the tiny trouper he used to be.
(今何時だと思う? うちの小さな息子が、ちっちゃな頑張り屋だった頃みたいに、世の中に出て爪痕を残す時間だよ。)Luke: Hold on. I’ll be right back.
(ちょっと待って。すぐ戻るから。)Phil: I remember when he was so small, we’d give him a bath in the sink.
(あいつがすごく小さかった頃のことを思い出すよ。流しで風呂に入れてやってたんだ。)Modern Family Season8 Episode22 (The Graduates)
シーン解説と心理考察
ルークが I love it. と答えた時計は、卒業式の日に身につけるために贈られた品です。フィルはその返事に応えて What time is it? と切り出しますが、これは時刻を尋ねる質問ではありません。時計にかけた言い回しで話を始めて、そのまま本題に入っています。
本題の中心は、Time for my little man to go out in the world and make his mark の一文です。my little man は「うちの小さな息子」で、卒業を迎えた息子をあえて「小さな」と呼んでいます。go out in the world は「世の中に出ていく」、make his mark は「彼が足跡を残す」です。卒業を、世の中に出て自分の跡を残し始める節目として語る言葉になっています。
like the tiny trouper he used to be は、「かつての、ちっちゃな頑張り屋だった頃のように」という意味です。いまの息子の門出に、幼かった頃の姿を重ねる言い方で、期待の言葉の中に昔の面影が入り込んでいます。
ルークが Hold on. I’ll be right back. と短く告げると、フィルは I remember when he was so small と、息子が小さかった頃の話に移ります。we’d give him a bath in the sink は、流しで風呂に入れてやったものだ、という思い出です。この we’d は we would の短縮形で、過去にくり返したことを述べる形です。
「世の中に出て爪痕を残す」という将来の話から、「流しで風呂に入れた」という幼い頃の話へ、フィルの言葉は一続きに進みます。大きな期待と小さかった頃の記憶が同じ口から出てくるところに、息子の成長をまぶしく感じる父親の気持ちが表れた場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
mark は「印・跡」です。まっさらな砂浜に、自分の足跡をくっきり残しながら歩いていく姿を想像してみましょう。make は「つくる」ですから、make one’s mark は「自分の跡をつくる」となり、そこから「名を成す」へと意味が広がります。
フィルの言葉を、この砂浜に重ねてみると、世の中という広い浜辺に息子が最初の一歩を踏み出す場面になります。足跡をつける人が変わればその人の跡になるので、his が her や my に入れ替わる理由も、絵と一緒に思い出せます。
例文で覚える「make one’s mark」
進路や仕事の場面で、使い方を三つの形で確かめましょう。
She hopes to make her mark in the fashion industry.
(彼女はファッション業界で頭角を現したいと考えています。)
知人のキャリアの目標を紹介する場面です。in のあとに業界名を置くと、どの分野で名を成したいのかがはっきりします。hopes to のあとに続けると、本人の願いを周りが紹介する言い方になります。
He made his mark on the company within a year.
(彼は1年のうちに、会社に確かな足跡を残しました。)
同僚の活躍を振り返る場面です。on のあとに会社を置くと、その会社に与えた影響という響きが加わります。within a year のような期間を添えると、成果の早さも伝わります。
A: What are your plans after graduation?
B: I want to make my mark in medicine.
(A:卒業後の予定は?)
(B:医療の分野で名を成したいんだ。)
将来の夢を友人に話す会話です。I want to のあとに続けると、自分の目標を語る言い方になります。
あわせて覚えたい関連表現
leave one’s mark (on …)
((〜に)跡を残す、影響を残す)
make one’s mark は、これから、あるいはいま存在感を示すことに重心があります。leave one’s mark は、あとに残った影響に重心があります。
make a name for oneself
(名を上げる、有名になる)
make a name for oneself は、名前が知られるようになることに重心があります。make one’s mark は、はっきりした足跡や実績を残す点に重心があります。
stand out
(目立つ、際立つ)
stand out は、周りと比べて目立つ状態を表します。make one’s mark は、成果や影響まで含めて印象を残す点で、一歩進んだ表現です。
Note|同じ「跡」でも示す時点が違う。make one’s mark と leave one’s mark と make a name for oneself
make one’s mark と並べて覚えたい表現が二つあります。leave one’s mark と make a name for oneself です。三つとも「名や跡を残す」という日本語に訳せますが、示している時点と対象が違います。
make one’s mark は、跡をつくる動きそのものを表します。She made her mark in medicine. なら、医療の世界で存在感を示す実績をつくった、という意味です。これから跡をつくる人にも、すでにつくった人にも使えるのが特徴です。
leave one’s mark は、あとに残るものに焦点が移ります。leave は「あとに残す」ですから、その人が去ったあとにも続く影響が話題になります。He left his mark on the team. なら、チームに影響が残った、という意味です。
三つめの make a name for oneself は、跡ではなく名前が主役です。a name は「名前、評判」を表すので、世の中に名が知られるようになった、という意味になります。実績があっても名が広まらなければ、この表現は選びません。
フィルが make his mark を選んだ場面は、息子がこれから世の中へ出ていく話でした。これから跡をつくり始める人を送り出す言葉なので、あとに残った影響を述べる leave や、名が広まった結果を述べる make a name ではなく、動きそのものを語る make one’s mark が選ばれています。
まとめ|時計の針が進むように、世の中へ出ていく息子を送り出す一言
make one’s mark は、自分の跡をはっきり残して、存在や実力を印象づけることを表す表現です。one’s の部分は主語に合わせて入れ替え、分野には in、影響を与える相手には on を添えます。
フィルは、贈った時計にかけた言い回しで話を始め、息子が世の中に出て爪痕を残す時間だと語りました。ルークが「すぐ戻る」と告げたあとには、流しで風呂に入れていた頃の思い出へ話が移っていきます。期待の言葉と思い出話が並ぶところに、卒業の日の父親の気持ちが映っていました。


コメント