「mull over」の意味と使い方|『モダンファミリー』S05E01で学ぶ英会話

「mull over」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

すぐには答えを出さず、しばらく頭の中であれこれ考え続けていたことを、ようやく相手に切り出す。そんな場面で使える表現があります。

時間をかけて考えていたことを伝える「mull over」を、『モダンファミリー』シーズン5第1話の中盤、アレックスのサクラメントの件をずっと考えていたと切り出すフィルのシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「mull over」の意味とニュアンス

mull over
意味:じっくり考える、あれこれ思いめぐらす

mull over は、すぐに結論を出さず、ある問題や決断について時間をかけて考えることを表す表現です。頭の中で考えを何度も転がして、いろいろな角度から眺め直す様子を思い浮かべると、感覚がつかめます。

単に「考える」と言うより、「結論に向けて時間をかけて考えている」という長さと粘り強さが加わるのが特徴です。ひらめきで決めるのではなく、選択肢を比べながら思案を重ねる場面に合います。転職、引っ越し、提案への返事など、すぐには決められない事柄が典型例です。

形としては、「mull over ~」のように後ろに考える対象を置きます。「mull ~ over」のように対象を間に挟むこともできます。フィルの「I’ve been mulling over ~」のように現在完了進行形にすると、「これまでずっと考えてきた」という継続の意味が加わり、考えていた期間の長さまで伝わります。

【ここがポイント!】

  • 「mull over」の核は、考えを頭の中で転がして、時間をかけて思案するイメージ
  • 結論を急がず、あれこれ比べながら考える表現
  • 現在完了進行形にすると、これまで考え続けてきた期間まで伝わるのがコツ

『モダンファミリー』S05E01のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

フィルが、アレックスのサクラメントの件をずっと考えていたと切り出す場面です。アレックスが言いかけても、フィルは話を続け、行き先の別の案をほのめかします。「mull over」から始まった会話がどこへ向かうのかに注目です。

Phil: I’ve been mulling over your Sacramento decision.
(君が決めたサクラメントの件を、ずっと考えていたんだ。)

Alex: It wasn’t exactly my
(別に私が決めたっていうか――)

Phil: of course I want my baby girl close, but I got to get used to you leaving. Because college and knowing you, a great college is right around the corner. Am I right? Now, habitat will look good on an application, but does Sacramento really move the needle? I have another place in mind. Little hint it starts with an “el.
(もちろん、かわいい娘には近くにいてほしい。でも、俺は君が家を出ていくことに慣れないといけない。だって大学が、それも君なら立派な大学が、もう目の前だからな。そうだろ? さて、ハビタットは願書の見栄えにはいいが、サクラメントで本当に差がつくのかな? 別の場所を考えてるんだ。ヒントは、「エル」で始まるところだ。)

Alex: El Salvador? Are you serious?
(エルサルバドル? 本気で言ってるの?)

Modern Family Season5 Episode1 (Suddenly, Last Summer)

シーン解説と心理考察

フィルの切り出しは、「ずっと考えていた」という前置きから始まります。mulling over という進行の形が、思いつきではなく、時間をかけて考えてきたという印象を先に作っています。

アレックスは「別に私が決めたっていうか」と言いかけますが、フィルはその言葉を受けずに話を続けます。かわいい娘には近くにいてほしいという気持ちを認めつつ、家を出ていくことに慣れなければいけないと語り、大学が目の前だと理由を重ねていきます。「そうだろ?」と同意を求める一言は、返事を待つ形をとっていても、話の流れを自分のほうへ引き寄せる働きをしています。

そのあとフィルは、ハビタットは願書の見栄えにはいいが、サクラメントで本当に差がつくのか、と疑問を投げかけます。そして、別の場所を考えていると言い、「エル」で始まるところというヒントだけを出します。答えを言わずにヒントで誘導する運び方が、フィルの陽気な語り口によく合っています。

最後に、アレックスが「エルサルバドル? 本気で言ってるの?」と聞き返します。「Are you serious?」の一言に、フィルの提案をすぐには受け止めきれない驚きが込められています。じっくり考えたと言う父と、その結論に驚く娘との温度差が、短いやり取りに出た場面です。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

手のひらに乗せた小さな石を、ゆっくり転がしながら、いろいろな角度から眺めている様子を思い浮かべてみましょう。ひとつの考えを、手の中で何度も裏返して確かめているところです。すぐに手放さず、じっくり眺める動きが、mull over の姿そのものです。

フィルは、アレックスのサクラメントの件を、頭の中でずっと転がしていたと切り出しました。転がしていた時間が長いほど、結論に向けた思いが強くなっていく点も、進行形の mulling over とよく合います。

考えを転がして眺めるイメージを覚えておくと、「すぐには決めない」という感覚が言葉に残ります。フィルの一言を思い出しながら、転がしている石の姿と一緒に口に出すと、記憶に残りやすくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「mull over」

時間をかけて考える場面で使える mull over を、3つの例文で確認していきましょう。

I need some time to mull over your offer.
(あなたのご提案について、じっくり考える時間が必要です。)
提案への返事を保留するビジネスの場面です。need some time のように時間がほしいと添えると、結論を急がない姿勢がはっきり伝わります。

She spent the weekend mulling over the job change.
(彼女は週末いっぱい、転職についてじっくり考えていました。)
友人の悩みを説明する場面です。spent the weekend のように期間を添えると、考えていた時間の長さが具体的に伝わります。

A: Have you decided yet?
B: Not yet. I’m still mulling it over.
(A:もう決めた?)
(B:まだ。まだじっくり考えているところ。)
決断を保留している友人との往復会話です。mull it over のように代名詞を間に挟む形は、口語で使われる語順です。

あわせて覚えたい関連表現

think over
(よく考える)
think over は「よく考える」という一般的な言い方です。mull over は、時間をかけてあれこれ思いめぐらす点に重みがあります。

chew on
(じっくり噛みしめて考える)
chew on は、噛みしめるようにあれこれ考え続ける感じが強い、口語的な言い方です。mull over は、結論を出すための思案に重点があります。

sleep on it
(一晩置いて考える)
sleep on it は「一晩置いて、明日決める」という具体的な姿勢を表します。mull over は、考える行為そのものを指す点が違います。

Note|mull over の語順と、目的語が代名詞のときの形

mull over は、後ろに考える対象を置く形のほかに、対象を間に挟む形があり、語順が場面で変わります。フィルの一言を手がかりに整理してみましょう。

考える対象が名詞のときは、「mull over the plan」と「mull the plan over」のどちらも使えます。フィルの「mulling over your Sacramento decision」は、対象を後ろに置いた形です。一方、対象が it や that のような代名詞になると、「mull it over」のように、動詞と over の間に代名詞を入れる語順になります。代名詞のときは mull it over の語順が一般的です。この点は、動詞と小さな語がひとまとまりになった表現で、目的語が代名詞のときに見られる決まりのひとつです。

もうひとつ、mull は over を付けずに単独で使うこともできます。「She mulled the offer for a week.」のように、対象を直接置く形で、意味は mull over と同じ「じっくり考える」です。考える対象を直接置くため、文が短くまとまります。

フィルの「I’ve been mulling over ~」は、対象が名詞なので後ろに置いた形が選ばれ、進行形で継続の意味が加わっています。語順と形を押さえておくと、mull over を場面に合わせて使い分けられます。

語順の決まりを知っておくだけで、mull の使い道は広がります。

まとめ|すぐに答えを出さず、じっくり転がす

mull over は、すぐに結論を出さず、時間をかけてじっくり考えることを表す表現です。ひらめきで決めるのではなく、選択肢を比べながら思案を重ねる場面にそのまま合います。

名詞が対象なら「mull over the plan」、代名詞なら「mull it over」と語順が変わり、mull 単独でも使えます。現在完了進行形にすれば、考えてきた期間の長さも伝わります。提案への返事を保留する場面から、友人の悩みを説明する場面まで、思案の途中にいる状態を表せます。

フィルが、サクラメントの件をずっと考えていたと切り出したシーンには、考えたうえでの提案を、陽気な調子で運ぶ様子が出ていました。表現の幅を広げてみてください。

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