海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
完全に否定はできないけれど、正確に言うと少し違う、というときに、うまく言葉を選びたくなった経験はありませんか。
そんなときに使える「per se」を、『モダンファミリー』シーズン2第2話の終盤、若い頃の失敗談を娘に打ち明けるクレアのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「per se」の意味とニュアンス
per se
意味:それ自体は、厳密に言うと
per seは、ラテン語由来の表現で、直前に述べたことを「言葉の定義上、厳密には」と限定・訂正する際に使われるフォーマルな言い回しです。perは「〜によって」、seは「それ自体」を意味し、合わせて「それ自体によって」というのが本来の意味になります。
「完全に間違いとは言えないが、正確には少し違う」というニュアンスを加えたいときによく使われ、会話に知的でやや硬い響きを添える表現です。名詞や事実を述べた直後に軽く添えるだけで、話の内容自体を大きく変えずに、細部の正確さだけを補足できる便利な立ち位置の言葉でもあります。話の流れを止めずにさりげなく訂正できる点が、この表現ならではの使いやすさだと言えます。
【ここがポイント!】
- 「per se」の核は、直前の発言を厳密には少し訂正するニュアンス
- ラテン語由来でフォーマルな響きを持つ
- 全否定ではなく、言葉の定義にこだわって訂正したいときに使う
『モダンファミリー』S02E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
娘のアレックスから若い頃の逮捕エピソードについて突っ込まれたクレアが、言葉を選びながら事実を訂正する場面です。母娘二人だけの落ち着いた会話の中で、クレアの受け答えに注目です。
Alex: So you were arrested naked?
(つまり、ママは裸で逮捕されたってこと?)Claire: I wasn’t naked. And I was not arrested, per se.
(裸じゃなかったわよ。それに、逮捕されたって言っても厳密には違うの。)Alex: So, how long did it take before you thought it was funny?
(それで、その話を自分で笑えるようになるまで、どれくらいかかったの?)Claire: Oh, God. Ten, 15 years.
(ああ、もう……。10年か15年ね。)Modern Family Season2 Episode2 (The Kiss)
シーン解説と心理考察
アレックスに「裸で逮捕されたの?」と踏み込まれたクレアは、「裸じゃなかった」と否定しつつ、「逮捕されたって言っても、厳密には違う」とやや苦しい言い訳を重ねます。事実を完全には否定できないものの、印象を和らげようとするクレアの理屈っぽさが、このper seという言葉選びによく表れています。
続けてアレックスが「その話を自分で笑えるようになるまで、どれくらいかかったの?」と尋ねると、クレアは「ああ、もう……10年か15年ね」と正直に答えます。若い頃の失敗を娘に打ち明けることで母娘の距離が少し縮まる場面であり、完璧に見えるクレアにも過去に黒歴史があったという人間味が垣間見えるやり取りになっています。娘からの率直な質問に対して、言い訳めいた言葉を選びつつも最終的には正直に答えているところに、母親としての誠実さと、その出来事を笑い話に変えるまでの年月の長さの両方がにじんでいます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
何かを一度言った後に、「厳密に言うとそれ自体はね……」と一歩下がって言葉を選び直しているイメージを持ってみましょう。per seはラテン語由来で「それ自体によって」という意味を持ち、完全な否定ではなく、正確には少し違うという訂正のニュアンスがその核にあります。
クレアが「逮捕されたって言っても、厳密には違う」と言い直したのも、まさにこの一歩下がる感覚そのものでした。全面的な否定ではなく、言葉の定義にこだわって訂正したい、そんな場面を思い浮かべておくと、似た状況でこの表現が自然に出てくるようになります。
例文で覚える「per se」
厳密な訂正を加えたいときに使えるper seを、3つの例文で確認していきましょう。
It’s not illegal per se, but it’s definitely not encouraged.
(それ自体は違法ではないけど、間違いなく推奨されてはいない。)
グレーゾーンの話題について話す場面です。not illegalの直後にper seを添えることで、法律上は問題ないが実際には推奨されない、という微妙なニュアンスが伝わります。
The rule doesn’t prohibit this per se, but the intent is clear.
(この規則がこれを厳密に禁止しているわけではないが、意図は明確だ。)
規則や契約の解釈を話すフォーマルな場面です。ビジネスや法律関連の文脈でよく使われる硬めの言い回しです。
A: Did the plan fail?
B: Not per se, but we had to make a few changes.
(A:計画は失敗したの?)
(B:厳密には違うけど、いくつか変更が必要だったよ。)
プロジェクトの進捗を報告する場面です。Not per seという短い返しだけで、全否定ではなく部分的な訂正を伝えられる便利な言い方です。会議やチーム内の報告など、フォーマルな場面でも違和感なく使えます。
あわせて覚えたい関連表現
technically speaking
(厳密に言えば、技術的には)
per seが名詞や事実の直後に添えて限定するのに対し、technically speakingは文頭に置いて文全体を「厳密には」と限定する副詞的な言い回しです。文の冒頭で前置きとして使われることが多い表現です。
strictly speaking
(厳密に言うと)
per seとほぼ同義ですが、strictly speakingの方が口語でも学術的な文脈でも幅広く使われ、per seよりもやや硬さが少ない表現です。会話でも書き言葉でも扱いやすい万能な言い回しです。
in itself
(それ自体としては)
per seの英語での言い換え表現です。per seがラテン語由来でフォーマルな響きを持つのに対し、in itselfはより平易な英語表現で、幅広い場面で置き換えて使うことができます。
Note|ラテン語由来のper seが日常会話にまで定着した理由
per seはラテン語由来の表現で、法律や学術の文脈でよく見かける一方、現在では日常会話でも自然に耳にする言葉になっています。
英語には、ラテン語やフランス語から取り入れられた語句が数多く残っており、per seもそのひとつです。法律の分野では「per se violation(それ自体が違法となる行為)」のように、事実関係を厳密に切り分けて論じる場面で使われてきました。契約書や判例のように一語の解釈が結果を左右する文書では、意味の幅を狭める言い回しが選ばれやすく、per seもそうした場面で使われます。そうした「厳密には」という限定のニュアンスは、日常会話で「全否定はしないけれど、正確には少し違う」と言いたいときにもそのまま働きます。硬い響きを持つ表現でありながら、カジュアルな会話にもすっと馴染むのは、この「訂正したいけれど角を立てたくない」という場面が日常生活のあちこちにあるからだと言えそうです。
per seという言葉選びには、クレアが完全な否定を避けながらも事実を少しでも正確に伝えようとした姿勢が表れています。法律用語としての厳密さが、家庭内の軽いやり取りの中でも自然に生きている場面です。
硬い言葉が、思いのほか身近な場面で活躍することもあるようです。もともと専門的な響きを持つ表現ほど、うまく使いこなせたときの表現の幅は大きく広がっていきます。
まとめ|全否定でも肯定でもない、その中間を表す一言
per seは、直前に述べたことを「厳密には」と限定・訂正するラテン語由来の表現です。
法律や契約の解釈から、日常のちょっとした言い訳まで、正確さにこだわりたい場面で使える一言です。硬めの響きを持つ表現だからこそ、ここぞという場面で使うと言葉に説得力が増します。
若い頃の失敗を娘に少しずつ打ち明けていくクレアの姿には、言葉を選びながらも本当のことを伝えようとする、親としての誠実さがにじんでいました。


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