海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
うまくいかなくなった仕事や暮らしを前にして、何から手をつければいいのか分からなくなる瞬間が、誰にでもあるはずです。
そんな場面で使える「pick up the pieces」を、『モダンファミリー』シーズン6第5話の中盤、ジェイがマニーとグロリアを相手に、ソフィーと会うことを禁じて感情をぶつけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「pick up the pieces」の意味とニュアンス
pick up the pieces
意味:(壊れた状況の)後始末をして立て直す
pick up the piecesは、壊れたものの破片(pieces)を拾い集めるという文字どおりの意味から、失敗や災難のあとで崩れてしまった状態をなんとか立て直すことを表す表現です。pick upは「拾い上げる」、piecesは「破片、かけら」で、割れた食器や崩れた積み木を一つずつ拾い集める動作が、そのまま比喩になっています。
使うときは、ジェイの発言のpick up the pieces of my lifeのように、立て直す対象をofで続ける形がよく見られます。my life、his career、the businessなど、うまくいかなくなったものが対象になります。対象が文脈から明らかなときは、pick up the piecesだけで言い切ることもできます。piecesは複数形のままtheを付けた形で使うので、pick up a pieceのように単数にすると、この意味にはなりません。
失恋や失業、倒産といった出来事のあとに、生活や仕事を立て直す場面で使われます。日常会話でもニュースの語り口でも使えるので、つらい出来事の当事者が自分で語るときにも、周りの人が状況を説明するときにも登場します。「元通りにする」というより、残ったものを集めて次の形に組み直すイメージなので、大きな出来事のあとの再建を語るときに合う表現です。
【ここがポイント!】
- 「pick up the pieces」の核は、壊れたものの破片を拾い集める動作のイメージ
- 失敗や災難のあとに、生活や状況を立て直す場面で使う表現
- pick up the pieces of my lifeのように、立て直す対象をofで続けられるのがコツ
『モダンファミリー』S06E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ソフィーは、ジェイが最大の敵と呼ぶアールの孫です。そのソフィーを連れてきたマニーに対して、ジェイは会わないよう言い渡します。グロリアが「不公平」と口を挟んだところで、ジェイの不満が一気にあふれ出す場面です。
Jay: What else did you discuss with her? Did you mention we’ve been experimenting with lighted hanging rods?
(あの子と他に何を話した? 照明つきのハンガーパイプを試してるって話したか?)Manny: I don’t have a great rap with girls, but it’s better than that.
(僕は女の子を口説くのが上手いほうじゃないけど、そんな話よりはましだよ。)Jay: Well, you’re gonna use it with someone else ‘cause I forbid you to see her.
(なら、その口説きは別の子に使うんだな。あの子と会うのは俺が禁じる。)Manny: What?
(え?)Gloria: That’s not fair.
(そんなの不公平よ。)Jay: What’s not fair is me picking up the pieces of my life while Earl gets to be an extra on “Dallas”!
(不公平ってのはな、俺が自分の人生の後始末をして立て直してる間に、アールは『ダラス』のエキストラになれるってことだ!)Modern Family Season6 Episode5 (Won’t You Be Our Neighbor)
シーン解説と心理考察
ジェイはソフィーの祖父がアールだと知って腹を立てていて、マニーの口説き文句を「別の子に使え」と突き放します。ソフィーと会うことを禁じる一言には、ジェイの強い拒絶がにじんでいます。
マニーの「え?」とグロリアの「そんなの不公平よ」という反応を受けて、ジェイは「不公平」という言葉をそのまま拾い上げます。「不公平ってのは」と切り出し、自分が人生の後始末をしている間にアールは『ダラス』のエキストラになれる、と言い返します。グロリアの短い一言が、ジェイの長い反論を引き出す形になっていて、相手の言葉をそのまま拾う流れが、会話の温度を変えています。マニーの「え?」も含めて、短い反応が2つ続いたあとに、ジェイだけが長く話す構図です。
ここでpicking up the pieces of my lifeは、ジェイが自分自身の人生について語る言葉として使われています。アールが『ダラス』のエキストラになれるというのは、ジェイの言い分です。自分は後始末をしているのに、という対比が、この一言にはこもっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
割れた食器の破片(pieces)を、一つずつ拾って(pick up)集める様子を想像してください。床に散らばったかけらを、一つ残らず集めていく地道な作業が、「後始末をして立て直す」という意味につながります。
ジェイの「俺が自分の人生の後始末をして立て直してる」という言葉も、散らばったものを自分の手で集めている最中だ、という感覚として読み取れます。pick upの動作と、the piecesの破片のイメージを重ねておくと、picking up the pieces of my lifeという形も自然に思い出せます。ofの前までが「破片を拾い集める」動作で、ofのあとが「何の破片か」という持ち主を示すと分けて覚えると、形が頭に残りやすくなります。会話の中で「何の後始末をしたのか」を続けて言いたくなったときも、この分け方が手がかりになります。
例文で覚える「pick up the pieces」
立て直す対象を自由に変えられるpick up the piecesを、会社、町、自分の生活と、規模の違う3つの場面の例文で確認していきましょう。
After the company closed, he had to pick up the pieces and start over.
(会社が閉鎖したあと、彼は立て直してやり直さなければならなかった。)
失業や倒産のあとの再出発を語る場面です。start overと並べると、後始末のあとに新しく始める流れが伝わります。
The town is still picking up the pieces after the storm.
(その町は、嵐のあと今も復旧に取り組んでいる。)
災害のあとの復旧をニュースの語り口で伝える場面です。進行形のpicking upにすると、今も作業が続いている感覚が出ます。
A: How are you holding up?
B: I’m slowly picking up the pieces of my life.
(A:調子はどう?)
(B:少しずつ、生活を立て直してるところだよ。)
つらい出来事のあとの近況を友人に話す会話です。slowlyを添えると、時間をかけて立て直している様子まで伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
get back on one’s feet
(立ち直る、再び自立する)
pick up the piecesが「壊れたものを拾い集める」作業に重点があるのに対し、get back on one’s feetは立ち直った結果の状態、つまり再び自分の足で立つ姿に重点があります。
start over
(最初からやり直す)
pick up the piecesが残ったものを集めて立て直すのに対し、start overは白紙に戻してゼロから始めるニュアンスです。
clean up someone’s mess
(人の散らかした後始末をする)
clean up someone’s messは他人の失敗の尻ぬぐいを指します。pick up the piecesは自分自身の生活や状況にも使える点が違いです。
Note|pick up the pieces に続く of の形と、立て直す対象の入れ方
pick up the piecesは、ひとまとまりの決まった形として覚えられる表現ですが、立て直す対象をどう示すかで、文の形が少し変わります。
基本の形はpick up the piecesです。これだけでも「(状況の)後始末をして立て直す」という意味で通じます。対象をはっきり示したいときは、piecesのあとにofを置いて、立て直す対象を続けます。ジェイの発言のpicking up the pieces of my lifeが、この形です。他にもpick up the pieces of her career(彼女のキャリアを立て直す)、pick up the pieces of the business(事業を立て直す)のように、of以下を入れ替えれば、いろいろな場面に応用できます。文脈から対象が明らかなときは、After the breakup, she had to pick up the pieces.のようにofを省いた形でも通じます。なお、動詞の形はpick、picked、pickingと使い分けられるので、過去の出来事にも、今まさに進行中の作業にも使えます。
今回のジェイの一言は進行形で、ofのあとにmy lifeが続いていました。進行形の-ingが「今もその作業を続けている」感覚を運び、of my lifeが「立て直す対象は人生そのもの」と範囲を示しています。
形を知っておけば、自分の場面でも「何を立て直したのか」を過不足なく言えるようになります。たとえばI’m trying to pick up the pieces of my career.と言えば、キャリアの立て直しの最中だと一文で伝わります。ofのあとに入れる名詞を変えるだけなので、応用の効きやすい形です。
まとめ|自分の人生を立て直す言葉としてのpick up the pieces
pick up the piecesは、壊れたものの破片を拾い集めるイメージから、崩れた状況を後始末して立て直すことを表す表現です。
立て直す対象はof以下で示せて、対象が明らかなときはpick up the piecesだけでも通じます。仕事や暮らしの再建を語る場面で、会話の中に取り入れやすい形です。
ジェイが「人生の後始末をして立て直してる」と口にした一言には、アールへの不満がはっきり込められていました。エキストラの話まで持ち出した勢いも、この表現の重みを引き立てています。後始末が必要になった場面で、この一句を口に出してみてください。


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