海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
人の話を聞いている最中に、ふと自分の用件を思い出して、「その話で思い出したんだけど」と切り出したくなった経験はありませんか。
そんな場面で使える「speaking of」を、『モダンファミリー』シーズン10第6話の前半、クレアに講座の心配をされたフィルの返事を受けて、息子のルークが自分の履修の話を切り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「speaking of」の意味とニュアンス
speaking of
意味:〜といえば、その話で思い出したけれど
speaking of は、会話の中でいま出てきた話題や語を受け止めて、それに関係のある別の話へ移るときに使う切り出しの表現です。speak(話す)に of(〜について)が付いた形なので、文字どおりには「〜について話すなら」という意味になり、日本語の「〜といえば」がそのまま当てはまります。
後ろに置く形はいくつかあります。speaking of the weather のように名詞を直接続ける形、speaking of that のように直前の内容を指す語を続ける形、speaking of which のように直前の話の中身を which で受ける形です。どの形でも、前の発言に手がかりがあることを前提にして、そこから次の話題へ橋をかける働きをしています。
話題を変える言い方には by the way もありますが、by the way は前の話と関係があってもなくても使えるのに対して、speaking of は、いま出た語や話題そのものを足がかりにして移る点が違います。つながりを言葉で示してから話し始めるので、聞き手は「さっきの話の続きなのだな」と流れをつかみやすくなります。話題を変える合図でありながら、前の話を切り捨てない点が、この表現の持ち味です。
【ここがポイント!】
- 「speaking of」の核は、いま出た話題を足場にして次の話へ移る切り出しの一言
- 後ろに名詞、that、which のどれが来るかで、前の話の何を受けているかが変わる表現
- 前の発言に手がかりがあるかどうかが、by the way との使い分けの目印
『モダンファミリー』S10E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルは不動産入門講座の講師で、クレアから「最少人数を割ったら講座が中止になるのでは」と心配されています。フィルは余裕のある返事をしたうえで、今日が授業を取りやめられる最後の日だと付け足します。その言葉を受けてルークが口にする一言に注目です。
Phil: Not to worry. Serge worships me, and the rest of the class is super solid. Plus, it’s the last day to drop classes anyway.
(心配いらないさ。セルゲイは俺を崇拝してるし、クラスのほかの連中もすごく安定してる。それに、どのみち今日は授業を取りやめられる最後の日だしな。)Luke: Oh, speaking of that, I’m thinking about dropping history.
(ああ、その話で思い出したけど、僕、歴史の授業を取りやめようかなって考えてるんだ。)Phil: How come?
(どうしてだ?)Luke: It’s not really exciting me. Plus, we’ve got this huge paper due today that I haven’t quite finished starting. It’s on the Monroe Doctrine.
(あんまりワクワクしないんだ。それに、今日が提出期限のでかいレポートがあるんだけど、まだ書き始めてもいなくてさ。モンロー・ドクトリンについてのやつなんだ。)Modern Family Season10 Episode6 (On the Same Paige)
シーン解説と心理考察
クレアの心配に、フィルは「セルゲイは俺を崇拝している」「ほかの生徒もしっかりしている」と答えて、講座の先行きに自信をのぞかせます。そのうえで「どのみち今日は授業を取りやめられる最後の日」と付け足した一言が、ルークの発言の足がかりになっています。
ルークの「その話で思い出したけど」は、フィルの話の中の「授業を取りやめる」という部分を拾って、自分の歴史の授業へ話を移す言葉です。話題をまったく別の方向へ変えるのではなく、フィルが口にした内容に結びつけてから切り出すので、会話の流れが途切れずに続いています。
フィルが「どうして」と尋ねると、ルークは授業にわくわくしないこと、今日が提出期限の大きなレポートがまだ書き始めてもいないことを、順に挙げていきます。レポートの題材はモンロー・ドクトリンだと、ルークは中身まで添えています。親子の気安いやり取りの中で、つなぎの言葉が話題の移り変わりをなめらかにしている場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
橋をかける動きで覚えると、使いどころが見えやすくなります。いま話に出た話題が川のこちら岸にあり、次に話したいことが向こう岸にあるとして、speak(話す)に of(〜について)が付いた speaking of は、こちら岸の話題に足場を置いて橋をかけるための言葉です。
ルークの一言も、フィルが口にした「授業を取りやめられる最後の日」という足場から、自分の歴史の授業という向こう岸へ渡る形でした。足場になる話題が先に言葉として出ているかどうかを確かめてから使う、というのが目印になります。橋のたもとが見えていれば、渡った先の話が少し唐突でも、聞き手はついてきてくれます。
例文で覚える「speaking of」
話題の足場になる語を、speaking of のすぐ後ろに置く形を中心に、3つの例文で確認していきましょう。
Speaking of coffee, have you tried the new café near the station?
(コーヒーといえば、駅の近くにできた新しいカフェにはもう行った?)
友人との雑談で、コーヒーの話題から新しい店の話へ移る場面です。足場にした coffee を後ろに置くと、話がどこから来たのかが相手に伝わります。
Speaking of deadlines, I need to send this report by five o’clock.
(締め切りといえば、このレポートを5時までに送らないといけません。)
職場で締め切りの話題が出たところから、自分の用件へ移る場面です。deadlines という語を受けているので、唐突な報告になりません。
A: Did you see Mia’s new puppy?
B: Speaking of Mia, she’s coming to dinner on Friday.
(A:ミアの新しい子犬、見た?)
(B:ミアといえば、金曜の夕食に来る予定だよ。)
人物の名前を足場にして、予定の連絡へ移る往復会話です。子犬の話題の中に出てきた Mia という名前が、次の話をつなぐ手がかりになっています。
あわせて覚えたい関連表現
by the way
(ところで、ついでに言うと)
前の話題と関係があってもなくても使える話題転換の言い方です。speaking of は直前に出た語や話題に結びつけて次へ移る点が違います。
that reminds me
(それで思い出した)
思い出したことを切り出す言い方で、その内容は前の話題と関係がなくても構いません。speaking of は、話題のつながりを言葉で示してから話し始める表現です。
on that note
(その流れで、それに関連して)
話の流れを受けて、次の話や締めくくりへ進む言い方です。speaking of は、いま出た語そのものを手がかりにする点で、on that note より足場がはっきりしています。
Note|後ろに続く形で何を受けているかが変わる、speaking ofの3つの顔
speaking of の後ろには、名詞、that、which のどれかが続く形があり、それぞれ前の話の受け方が少しずつ違います。
名詞を続ける形では、足場にする語をそのまま言い直します。Speaking of the weather, is it going to rain tomorrow? なら、直前の会話に出た the weather という語が足場です。that を続ける形は、語ではなく直前の内容のまとまりを指して受けます。ルークの Oh, speaking of that は、フィルが話した「授業を取りやめられる最後の日」という内容をまとめて受けた形でした。which を続ける形は、直前の話の中身を which で受けて、We talked about the trip. Speaking of which, have you renewed your passport? のように、そこから関連する確認や質問へつなぎます。
どの形でも共通しているのは、前の発言に足場があることです。名詞なら語、that や which なら内容を手がかりにして、次の話題へ移る点が by the way との違いになります。日本語に直すと、どれも「〜といえば」や「その話で思い出したけど」で足りますが、英語では何を足場にしているかが後ろの語で示されます。
足場を言葉にしてから話し始める、その一手間が、会話をなめらかにつないでいます。
まとめ|ルークの切り出しから学ぶ、話題のつなぎ方
speaking of は、いま出た話題を足場にして、関連する別の話へ移るときの切り出しの表現です。
フィルの「授業を取りやめられる最後の日」という一言を受けて、ルークが自分の歴史の授業の話を始めたように、前の発言に手がかりがあれば、話題が変わっても会話の流れは途切れません。後ろに名詞、that、which のどれを置くかで、何を受けているかも伝えられます。
話の途中で別の用件を思い出したときに、前置きなしに切り出さず、まず足場を示してから話し始められます。speaking of は、そんな一言です。


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